3-2 村の案内。
ヨウの説明を受けながら、佐知子は村を少し案内してもらった。
「うわぁ……」
円形状の村の一番外側はスークと呼ばれる商店街のような通りになっている。
そこには食品から日用品、武器、様々な物が売られていて、佐知子には見るもの全てが新鮮だった。
本当は降りて色々見たかった佐知子だが、そこまで図々しくはなれない。
その後、スークの内側の居住区へ向かった。そこには一般人が住んでいるらしい。
「あらぁ! ヨウ副長官じゃないの! やだぁ! その連れてる子だぁれー!?」
一般居住区の道を馬で歩いていると、ある水場で井戸端会議をしていた綺麗な女性達に、ヨウは声をかけられた。
「あー! 本当だ! ヨウ副長官が誰か連れてる! ちょっとー! みんなー!」
数人いた内の一人が他の女性達にも手を上げて声をかける。
「…………」
佐知子がきょとんとしてヨウを見上げると、
「……行くぞ」
ヨウは気まずそうに女性達の声を無視して馬を進ませた。
「あー! もう!! ヨウ副長官ってばいっつもつれないんだからー!!」
遠くなる女性達の言葉に耳も貸さず、ヨウは馬を進める。
「……ヨウくん、モテるんだね」
何気なく佐知子が言うと、
「! ち、違う!! か、からかわれてるだけだ!!」
焦ってヨウは否定した。
「そうなの? モテていいじゃん!」
あはは。と佐知子は笑う。
「…………」
ヨウは小さくため息を吐いた。
そのまま一般居住区を抜けると、一気に広い空間へと出た。
「わぁ、広いね」
「ここは広場だ」
洗濯物などがたくさんあり狭かった空が一気に抜ける。
そこは真ん中に中規模な噴水があり、周りで子供が遊んでいたり、それを眺めるお年寄りがいたりと、人々の憩いの場だった。
少し離れた所に転々と、いくつか薄い黄土色のレンガで出来た建物が広場を囲むようにあることに佐知子は気づいた。
「広場には、学校、図書館、ハンム、役場、軍警察の詰め所、病院がある。あとは中央に噴水があって、誰でも自由に使える。たまに市も開かれる……」
あれらがそうか。と佐知子は思いながら、正面に見えたレンガの塀と門に気づく。
「ヨウくん、あそこは何?」
佐知子が問うと、
「ああ……あそこに今から行くんだ……」
ヨウはそう言って馬を進ませた。




