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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第三章

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18 不細工な音の目覚まし時計

休止のお知らせを書きましたが、再開しました!

またよろしくお願いいたします。

 机を見ると、机の上に先ほどアイシャが読み上げてくれた役人の支給品が置かれていた。


「いつの間に……」


 それらを手に取る。


 カンラは真っ白のカンラが二着、靴は葬儀の時に使った様な革のヒールのない茶色のパンプスの様な物だった。

 他には、革のケースに入ったカムとインク壺の携帯セットは質素だがとても上質な物だと分かった。

 それに懐中時計。これも銀色で飾りも何もないが、懐中時計というだけで佐知子には珍しく新鮮だ。それにこの村で時計を持てるのは裕福な証である。

 あとは四角い小さな鉄の箱があったのだが……アズラク語の数字に三つの針と右に回す金具、そして上部に両サイドの鉄の板を叩くような仕様になっている装置……おそらく目覚まし時計だろう。


(すごい……あんまり私の世界と仕組み変わらない……セロさんが発明したのかな?)


 そんなことを思いながら佐知子は少しいじってベルを鳴らしてみようと思う。数字はもう覚えた。

 腕時計を見て時計があっていることを確認すると針を合わせた。カンカンカンカン! と、少し小さめの鉄の板を叩く音が部屋に響く。


「ふふ……」


 つい佐知子は笑ってしまう。何だか音が不細工で音量も小さめだ。

 これで疲れてるときに起きられるのかな? でも、同じ部屋の人もいるからこの位の音でいいのかもな。と思いながら、佐知子はそれらを各々の場所に置く。

 そこでハッとした。


「ヤバい! お昼ご飯食べてなかった!」


 何時までだっけ!? と、慌ててノートを見る。昼食は十二時から十四時までだった。時計を見ると、まだ十二時半を過ぎた所だった。


「あ、よかった~……」


 空いたころに行こう……と、佐知子は少し暗い悲しそうな表情で思うと、荷物の片づけを始めた。


 ベッドの枕元に置く物、棚に置く物、机の上に置く物……。


「ふぅ、大体、片付いたかな」


 腕時計を見る。時刻は十三時過ぎだった。


(そろそろ行くかな……)


 暗い顔で佐知子は思う。

 そしてふと元の世界からつけていた腕時計が視界に入り、しばし見つめた後、腕時計を外し、電池が切れないように時計を止めると棚にしまった。

 そして懐中時計を手に持ち、ポケットへと入れる。


「よし!」


 そして佐知子は気合を入れて広間へと向かうのだった。

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