表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

183/267

32 決意の表情。

「よかったねー! サッちゃん!」


 駆け寄って来たセロに、はい! と返事をする佐知子。他の皆が部屋を出て行く中、セロとヨウと三人で、しばし話す。


「よかったな……」


 ヨウは穏やかにほほえんでいた。


「うん……ありがとう」


 佐知子もほほえみ返した。


「でもハーシムさん、いじわるだよねー。課題とかさー、役人宿舎に引っ越しとか……」

「あー……」


 セロとヨウまでもが、複雑な表情をする。


「え……課題とか役人宿舎とか……そんなに大変なんですか?」


 眉間に皺を寄せて佐知子が問うと、


「んー、まぁ、仕事は多分大丈夫だとは思うけど……役人宿舎がねー……俺はもう二度と住みたくない、あそこ。俺、すぐ出たし」


 苦い顔をする、セロ。


「俺は軍人だから住んだことはないが……まぁ……苦手な雰囲気ではあるな……」


 ヨウはそう答えた。


「え……何それ……かなり不安なんですけど……」


 佐知子は表情を歪ませる。


「まぁ、合う人には合うよ? ただ、俺みたいな人は無理っていうかー……無理な人は無理な場所だよね?」


 セロがヨウに向けていう。


「ああ……ちょっとな」


 と、ヨウも答えた。


「ええ……」


 佐知子は先ほどのハーシムの言葉を思い出す。


『お前は何も知らなさすぎる。知識も経験も。だから課題を出す』


 その言葉を思い出し、ぎゅっと唇を引き結び、手のひらを握った。


「でも……きっとそれも通らなくちゃいけない課題なんだよね! 何も知らない私の……」


 何かを決意した顔で、佐知子は二人を見た。

 二人は少し驚いた顔をしたあと、ふっとほほえんだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ