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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第二章

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12 突然の抱擁。

(今日からまたいつも通りの日々だ~……)


 佐知子は昼食を食べながらそんなことを思う。そして時間になると勉強道具を持ち、混沌のセロの研究室へと向かった。


 セロの部屋の扉をコンコンとノックする。


「は~い」


 すると中から覇気のない声が聞こえてきた。


「失礼します……こんにちは、セロさ……」

「サッちゃーん!」


 机に片腕を伸ばしてそこに顔を乗せ、むっとしながら何かを書いていたセロが、佐知子を見るなりガタっと立ち上がり、美しい顔をきらきらと更に輝かせて両腕を広げ、大声で佐知子の名を呼びながら凄い勢いで佐知子の所まで来ると、佐知子をがばっと抱きしめた。


「っ……」


 突然の出来事に佐知子は硬直した。セロからは柑橘系に少しフローラルが混じった爽やかな香りがした。


「サッちゃーん!! 終わったんだよね!? 終わったんだよね!? もう終わったんだよね!?」


 セロは大声で嬉しそうに、満面の笑みで佐知子の頭に頬ずりをして、ハッとする。


「おっと、ヨウに見られた殺されるな。今のは二人だけの秘密ね」


 高身長のセロは少し下がり屈むと、片目を閉じて唇の前に人差し指を出して微笑む。


(な……何なの!?)


 真っ赤になりながら少し震え、佐知子は心の中で叫んだ。


(何かいい匂いしたし! 抱きしめられたし! 何!? 一体何!?)


 突然の事にどうしていいか分からずにいる佐知子。


「あ、座って座って。椅子そこにあるよね?」

「……はい」


 しかしセロが急にいつも通りのセロに戻ったので、佐知子は動揺しながらも、少し冷静になった。


 しかし未だに顔は赤い。そしてまたもや机の上の物を腕で無理矢理押し退けて、空間を空けているセロの前に座った。

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