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34 心配したりされたり。
確かに長袖長ズボンを着ているし、鍛えているから風邪は引かないだろうが……髪はびしょ濡れだし……と、佐知子はヨウを心配していた。
「……そんなに心配するな、これくらい平気だから……」
心配しているのが露骨に顔に出ていたのだろう、ヨウに少し困った様子で目を閉じて手の平を出される。
「あ……うん、ごめん……」
佐知子が謝ると、
「まったく、心配したりされたり二人は忙しいね」
あー、バラヴァおいし。と、セロは二人を見て言う。その言葉に気まずい雰囲気になる二人。
「はい、サッちゃんのバラヴァ。ヨウはいる?」
セロが問うと、
「そうだな……少し疲れたから……久しぶりに甘い物でも食べるか……」
「はいよ」
「…………」
少し疲れたという言葉に、佐知子も貰ったバラヴァのお皿とフォークを手にしながら少ししゅんとした。
「はい、サッちゃんのシャイ」
「あ、ありがとうございます」
こうして三人の、夜遅くなったお茶会は始まった。




