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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第一章

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25 施しを受ける者。

 その後、女性役人の通訳をし、何回かすれば聞く事は毎回同じことで、次の人になる度に、佐知子は言葉の事で同じことを難民の人に言われ、そして通訳をし、淡々と列は進み十人以上を終えたころ……


「あ! ノーラさん!」

「サチコ!」


 ノーラの番が回ってきた。


「よかったです! 今日中に間に合いましたね!」

「ええ、あなたのおかげよ。何だか不思議だけど……あなた凄いのね」

「あはは……」


 ノーラの言葉に、佐知子は笑うしかなかった。


「さっき言ってた知り合いの方?」


 役人の女性にそう問われる。


「はい! 今日中にこの方の手続き済ませたくて通訳申し出たんです」

「そう、じゃあ早く済ませましょう。お名前は? 通訳して」

「あ、はい」


 国事部の人の淡々と冷たいような、無駄なく仕事をこなす所は未だに慣れない佐知子。

 佐知子はノーラの言葉を通訳しながら手続きを済ます。これが終われば帰れるや~と、思いながら通訳し、


「はい、これ書類ね。失くさないように」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます。と、言っています」


 と、無事ノーラの手続きはすんだ。

 そこでふと、佐知子は気になっていたことを役人の女性に聞いてみた。


「あ、あの……今更なんですけど、アーマってどういう意味なんですか?」

「え?」


 今更? という怪訝な表情をする女性。

「す、すみません……」


 佐知子は謝る。


「別に謝らなくてもいいけど……アーマっていうのは『施しを受ける者』っていう意味よ。古代アズラク語らしいわ。昔からのアズラク帝国の風習で、こういうことが行われているらしいわ。だからハーシム長官がうちの村でもやりだしたらしいの……」


 役人の女性は、まぁ、そのおかげで結構うちの課は大変なんだけどね……とつぶやく。


「そうなんですか……」


(施しを受ける者……)


 アズラク帝国の昔からの風習……アズラク帝国……この村に戦をしかけてきたりするけど……結構いい国なのではないだろうか……どんな国なんだろう……と、佐知子はぼんやりと思った。

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