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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第一章

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20 役場。

 佐知子は役場に来るのは初めてだった。建物はいつも見かけていたが、中に入ると中はざわざわと人の声が騒がしく、大勢の人が各窓口にならんで順番を待っていた。


 役場の内部は外と同じ黄土色のレンガで出来ていて、各課の窓口はレンガの土台と石のテーブルが数個置かれ、間隔を空けて各課に分けられている。椅子とテーブルの形式で、丸椅子に座った住民がテーブルを挟み役人と話をしていた。


 まだ佐知子には難しくて読めない文字もあるが、各窓口の一番端のテーブルに何課か書いた石の看板が置いてあり、何課かわかるようになっている。


 ざわざわと人が行き交う中、戸惑う佐知子とノーラ。


(あ!)


 すると佐知子が勉強したおかげで読めた、アズラク語の『案内所』という単語を見つけた。


「ノーラさん! とりあえずあそこに行きましょう!」


 佐知子は勉強がちゃんと身になっている嬉しさと、どこに行けばいいのかわかった嬉しさを感じた。


 案内所は比較的空いていて、前に二人いるだけだった。ただ難民課の場所を知りたいだけなのになぁ……と思いながら、言葉がわからないって不便だな……大変だ……と、ノーラの事もあり、佐知子は痛感した。


 そうこうしていると、前の人が去り、佐知子たちの番になった。


「すみません、難民課がどこにあるか知りたいんですけど、文字が読めなくて……」


 と、佐知子が聞くと、


「難民課は右奥の突き当たりです。壁際に列が出来ているのですぐに分かると思います。ご質問は以上ですか」


 と、青い目をしたアフリカ系男性が冷たい表情で淡々と伝えてきた。


「……はい……わかりました……ありがとうございます……」


 おずおずと佐知子は後退しながら右へと向かう。いつかの使用人小屋での『国事部のやつらは……』という言葉を思い出す。


(案内所って、普通もっとにこやかじゃない? 何なの? 今までの人もそうだったけど、何なの国事部の人達!)


 佐知子は怒りよりも驚きと困惑を抱いていた。


「サチコ、サチコ! どこにあるって?」


 するとノーラが声をかけてくれたので、現実に戻れた。


「あ……えっと、あっちの一番奥にあるらしいです。列出来てるから分かるだろうって……」


 と、そこまでいって佐知子は、え……と思う。


「まぁ、列……人多くないといいけれど……」


 ノーラも不安そうだ。


「……とりあえず、行ってみましょう!」


 佐知子は明るく努めた。

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