表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の外交官  作者: 山下小枝子
第二部 第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/267

9 過酷な旅の証。

「おまたせー!」


 待合室に誰もいなくなり、少し装飾のされたアズラクランプが煌めく中、佐知子がうとうととしていると、ダリアの陽気な声が響いた。


「!」


 ハッとして佐知子は瞳を開く。

 振り向くと、そこには先程の黒いぼろ布を頭からまとった姿ではなく、白いカンラを着た、綺麗になった黒い肌に、長い黒髪を後ろで束ねた緑の瞳が美しいノーラがいた。


「ノーラさん!」

「なんだか……こんなに綺麗にしてもらっちゃって……申し訳ないわ……」


 ノーラはおろおろとしている。


「いや! 綺麗ですよノーラさん! 美人さんですね!」

「やめてよ!」


 少し困った様子でノーラは手を振る。


 しかし、その手は、腕は、あまりにも細くて……指も細い……ここまでの過酷な旅を物語っていた。


「今まで着てた服は捨てていいか聞いてくれる?」


 するとダリアが佐知子に問う。


「あ、はい。ノーラさん……」

「あ、ええ、いいわ。こんな立派な服を頂いたんだもの。代えの服まで……本当にありがたいわ……」


 ノーアはダリアに手をあわせてお辞儀をする。


「いいそうです」

「わかったわ。じゃあ、息子さんの病室の準備ができるまでここで待っててね」


 ダリアは手を振り笑顔で去っていこうとする。


「ありがとうございました」

「ありがとうございます。感謝しています……言葉は通じないだろうけど……」


 少し悲しそうに、ノーラはほほえむ。

 佐知子とノーラは、待合室の絨毯に座った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ