3 見送った人の数。
道すがら、葬儀の手順やマナーなどがあるかを聞いた。特にないらしく鐘が鳴ったら埋葬で、順番に布に包まれた死者に花を手向けお別れをするだけらしい。
そして村の入口の大通りを歩き、門を抜け、左手に曲がり少し歩くと、黄土色の乾いた大地に、ズラリとたくさんの短い白い石の墓石が立っていた。
(うわぁ……)
その数の多さに圧倒される佐知子。
綺麗に区画分けされ、一本ずつ丁寧に墓石が立っていた。その数は数え切れないほど……。
そして今、その中のあちらこちらで黒いカンラを着た人々が集まり、蹲り、大声を出して泣いていた。そして、傍らにはスコップを持った人が立っている。
「…………」
午前中の日差しが、徐々にジリジリと肌を焼く。風はわずかに頬を撫で、佐知子はそんな光景を見て心臓がドクドクと脈打つのを感じた。
「あっちだな……」
ヨウはいつもと変わらない様子で、乾いた大地を歩んでゆく。
「…………」
『もう、慣れてるからな』
昨夜のあの笑顔とあの言葉が脳裏を過る。
ヨウは一体、今まで何人見送ってきたのだろう……何度こんな想いをしてきたのだろう……早くなる鼓動と、不安にも似た辛い様な、苦しい様な、悲しい様な感情の中、佐知子はぎゅっと両手を体の前で握り、ヨウの後を追った。