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神様の外交官  作者: 山下小枝子
第一部 第七章
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3 見送った人の数。


 道すがら、葬儀の手順やマナーなどがあるかを聞いた。特にないらしく鐘が鳴ったら埋葬で、順番に布に包まれた死者に花を手向けお別れをするだけらしい。


 そして村の入口の大通りを歩き、門を抜け、左手に曲がり少し歩くと、黄土色の乾いた大地に、ズラリとたくさんの短い白い石の墓石が立っていた。


(うわぁ……)


 その数の多さに圧倒される佐知子。


 綺麗に区画分けされ、一本ずつ丁寧に墓石が立っていた。その数は数え切れないほど……。


 そして今、その中のあちらこちらで黒いカンラを着た人々が集まり、蹲り、大声を出して泣いていた。そして、傍らにはスコップを持った人が立っている。


「…………」


 午前中の日差しが、徐々にジリジリと肌を焼く。風はわずかに頬を撫で、佐知子はそんな光景を見て心臓がドクドクと脈打つのを感じた。


「あっちだな……」


 ヨウはいつもと変わらない様子で、乾いた大地を歩んでゆく。


「…………」


『もう、慣れてるからな』


 昨夜のあの笑顔とあの言葉が脳裏を過る。


 ヨウは一体、今まで何人見送ってきたのだろう……何度こんな想いをしてきたのだろう……早くなる鼓動と、不安にも似た辛い様な、苦しい様な、悲しい様な感情の中、佐知子はぎゅっと両手を体の前で握り、ヨウの後を追った。

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