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振り向く男

作者: 栁屋 なぎ
掲載日:2023/08/19

数ある作品から選んで頂き感激です。最後まで楽しんで頂けたら幸いです。

コロナも収まりつつあり、仕事量が戻ってきて、その日も夜遅くまで残業をしていた。


「いやー、今日こそは早く上がれると思ったんだけどなー。」


「ほんと、何だかんだで仕事押し付けられてこんな時間っすね」


後輩のMの言葉に時計を見てみると、午後10時を回っていた。


「うわ、さっさと帰らないと明日起きれなくなるわ」


「先輩が起きれないのは、VTuber見てるからでしょ。」


「うるせぇ、推しは推せる時に推すもんなんだよ!お前も推しを作った方がいいぞー、世界が変わるぞー。」


そんな会話をしながら、仕事の片付けを終え、灯り(あかり)の少ない駐車場に向かいながら、たわいもない話をしていた。


「じゃMもお疲れ様!」


「お疲れ様っす!」


車の前に付いたのでMと別れ、VTuberの切り抜きをスマホで流しながら、車を走らせた。

もともと栄えてる(さか)地方では無いので、車で15分ほど走れば民家もなく、街灯もない畑に囲まれた道を走っていた。


「お、警察か?こんな時間でも取り締まりかな?」


数少ない信号機の近くに、パトライトが点灯しているのが見えた。

速度を落としつつ交差点に近づくと、正面衝突をしたであろう車が見えてきて、路肩では警察官と30代くらいの男性が信号機に照らされ、話し込んでいた。


「うわぁ……だいぶ派手にやってるけど、運転手大丈夫かな、話してる人は元気そうだけど……親族の方かな?」


そんな事を呟きつつ信号がちょうど変わり、勝手な推測を立てて進もうとするが、事故車両が交差点の中にあるため、迂回を余儀なくされる。


「まぁ、しょうがない。」


いつもの帰り道より少し外れ、普段行ったことのない道を通って帰ることにした。

そこは林と言うには木が少ないが、月明かりの隠れるくらいには木が生えている暗い道だった。

車のライトしか明かりがない中、少し進むと先の方で明かりがついている家があった。


「真っ暗な林の中まじ怖いから、明かり助かるわー」


そんなふうに思ってる内にあかりが近くなってくると、それは家ではなく、小さな町工場のような外見であった。

その町工場の明かりに照らされて初めて、細身で高身長の黒い服を着てる男の人に気がついた。


「うぉっ、びっくりした!こんな時間まで残業かな?

せめて反射板くらい付けて欲しいもんだ。」


その細身の男はフラフラと歩いて林の中に向かっていく。

すれ違う時に車で轢かないよう、少し大きめに避けて通り過ぎる。


ふと変な気配がしてサイドミラー越しに男を見ると、()()()()()()()

いや、実際には男は前を向いていて、髪の毛がこちらを向いているが、何故か感覚的に目が合ったと感じた。


全身の鳥肌が立ち、直ぐに目線を前に向けるが、未だ後ろからの視線を感じる。

車を今よりも急がせ、林を抜けると知ってる道に戻るが、最後の信号機に運悪く引っかかる。


家まであと少しの距離がもどかしく、同時に後ろにまだ居るようなゾワゾワとした気配を感じる。


「なんだあれ、完全に目が合った……」


未だ鳥肌が立っている中、赤信号の待ち時間がやけに長く感じる。待ち時間で少し落ち着きを取り戻し、さっきの事を考えるが、考えれば考えるほどなぜ目があったと感じたか分からず、気味悪さが増していく。

信号が青に変わり、少し飛ばし気味で車を走らせ、自宅に着いたので駆け込むように家の中に入っていった。


さっきまでの恐怖を忘れるように、作り置き(昨日の残り)してある夕飯を温めて、推しの切り抜きを見始める。

時間と恐怖を忘れて、夜が深まっていく。


「いやー、今日も可愛かったなー。風呂入って寝るかー」


シャワーを浴び、帰り道の事も忘すれ、いい気分のまま眠りについた。


気が付くと薄暗い森の中を車で走っていた。

少し走ると光が見えてきて、ここが帰宅の時に通った道だとわかる。しかし思考に雲がかかったようにぼーっと車を走らせる。

そのまま進むと、やはりあの黒い男がフラフラと歩いて来るので、そのまま避けていき、ふとサイドミラーを見ると()()()()()()()男と目が合った。


生気があるとは言えないほど白くコケた顔をしていて、あまり開いていない無気力な目がこちらを見ている。


「あああぁぁあぁあッッ!!!」


あまりの不気味さに悲鳴を上げつつ、スピードを出していく。後ろの視線を振り切るように林を猛スピードで走り抜け、信号に差し掛かる。しかし赤信号である事に気付かず交差点へ侵入する。


けたたましいブレーキ音が聞こえたと思ったら横から強い衝撃を受け、目の前が真っ暗に変わる……



飛び起きると、見慣れた部屋の布団の上に居る。

大量の冷や汗をかいており、今しがた起きた事が夢だとわかる。


「まじ最悪な夢だろ……」


スマホの時計を見ると深夜2時頃を告げていた。

夢は1日の整頓だと、自分に言い聞かせ明日の仕事のために深く考えず眠ることにする。


(帰宅途中のあの人達の事故もアイツが原因なのかな……)


たまたま事故と残業帰りの人が重なっただけなのか。

アイツが事故を起こして遠回りさせたのか。

事故した人の霊があの男なのか分からないが、そんな不気味な1日を過ごした。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

面白かったなどコメントいただけると励みになります。

豆腐メンタルなのでアンチコメはそっと胸の中にしまってください。

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