手に入らないのなら壊してしまえば良い
短編です( ゜Д゜)ゞ
好きだからこそ壊したい
手に入らない高嶺の花ならば折れば良い
度重なる天変地異や、魔物に荒らされ人間の国はただ滅ぶばかりの時を待っていた。
そこに剣杖を従えし稀代の女帝マテリシアが救いの手を差し伸べてくれた。
女神のごとき美しさと慈悲で、私はすぐに心を奪われたが……
彼女の側には既に配下達が居て、彼女にも愛し合う婚約者が居た。
自分の物に成らぬなら壊してしまえば良い。
悪魔のような囁きに私は導かれ、それから数年後。
挙式を迎えたマテリシアの隙をついて、私は魔物封じの聖剣で斬り付けた。
魔物封じの剣は、如何なる魔法も跳ね返して打ち消す聖剣。
騎士達に取り押さえられた私の目の前で、マテリシアが絶命して私は悦んだ。
狂おしい程人を愛すれば、また愛は殺意に代わりこの身を狂わす。
どこまでも醜い焔に。
焦がしながら自分の狂気を満たす。
泣き叫びながら、彼女の婚約者が私の首を剣で撥ね飛ばす。
最期に見たのは、悲しみや怒りで臣下や婚約者が我を見失い醜い堕人になる光景だった。
それからどのくらい経っただろうか?
私は彼女を女神と崇める宗教によって復活させられた。
さあ、もう一度彼女を壊そう。
絶望や狂気に染まる彼女を想像して私は笑みを浮かべる。
きっと彼女も生まれ変わってる筈だ。
ならば孤独を与えて私以外、誰も映らぬように彼女の視界も奪わないと……。
バットエンドです( ゜Д゜)ゞ