突然やってきた宇宙人は地球に不時着しました...が何を言ってるかが分からないので何しにきたか結局謎です!
ピーピーという音とともに、とある施設に設置してある飛行物を探知するレーダーには赤い何かが映し出された。画面には緑の背景に黒いマス目のようなものがあり、その丁度真ん中辺りには自分たちのいる場所を示している黒い点が映っている。
この赤い点は飛行物を表していて、赤い点はどんどん黒い点に近づく。それはつまりこちらに何かが近づいて来きているという事。これにはその場にいた男達も焦りの表情を見せる。
「なんだ?これ」
「どんどん近づいてくるぞ!」
その赤い点が近づくに連れ大きな音が聞こえて来て、施設の窓を見ると向こうから何やら鉄のなにかが見えた。目視できる頃になるその鉄の物体の大きさはすぐにでもわかる。
「このままだとぶつかるじゃねえか!」
「どうするんだよ!」
「いや、どうするって言ったって...」
「もー!息子がカンニングして先生と面談したばっかだってのに不幸が続くなー!」
その大きな銀色の物体はすごい勢いで街の方に突っ込んでくる。その物体は大きな音を立ててレーダーで調査をしている施設の丁度横のところに着陸した。研究員達は慌てて施設から出ると、入り口の前に方に大きなUFOのような金属の大きな何かが煙を立てて不時着していた。
「なんだ?これ」
いきなりことに野次馬も集まってくる。誰もがその不思議な物体を眺めていると、プシューという音を立ててその物体の入り口と思われる場所が開いた。
そこから現れたのは見たこともない宇宙人と言える謎の生物だった。銀色の人型のような形をしていて黒い目と手も足も指が3本ほどしかない。その宇宙人は3匹ほど出てきてこちらに近づいてくる。
代表して研究員男が一人、恐る恐る前に出た。
「ポウピパピポピプ」
「え?」
聞いたこともない言語で何を言っているのかが分からない。とりあえず何かいえば通じるのか...?
「ハローハロー?ここ、地球。アースプラネット」
「ピピピプポポパオウオエプエペペ」
「やっぱりダメか」
やはり何言っても通じていないようだ。向こうも首を傾げるような仕草をしている。ええと、こういう時はどうしたら良いんだろうか...?
「パポップピププイプオププ」
「大丈夫か?」
その男の上司が助け船を出してくる...のだがその上司ももちろん何を言ってるかなどわかるはずもなく困惑した表情を見せる。
「先輩何言ってるかわかります?」
「さあ?さっぱりだ。とりあえず握手を求めれば良いなじゃいか?」
「そんな適当な」
握手のために手をパーにして腕を前に突き出す。すると何やらその宇宙の様子が変わった。何だか怒ったような様子でその腕を振り払った。
「パピポ!ポプピッピウピプピイ!!」
「何だか怒ってますよ??」
「ピピ!ポプピッピポプパペペ!!!パポ!!」
言葉は分からなくても、その様子は怒っているというのは伝わって来る。怒っているというより激昂というべきか。それほど怒りの表情を露にしている。
「ポップペピイペペプオ!!ピポポ!!」
「おい!なんか怒ってるぞ??どうすりゃあいいんだ?」
「いや、俺に言われても...!」
あたふたしながら何とかしようと色々な言葉を並べる。バスやヘリコプターと言った乗り物や、カレーやお寿司と言った食べ物まで色々試したがやはりというべきか通じるわけがない。このままだともしかすると戦いになったりするかもしれない。迷いに迷ってとある単語を発した。
「ウンチ!!」
「お前子供かよ...」
「だって...!」
その途端何故か宇宙人は嬉しそうな顔になってその発言主をみた。そして「ペピイペ」とだけ言い残し、宇宙船に戻ると宇宙船を始動させ、どこかに飛んで行ってしまった。
誰もが口をぽかんと開けてそれを見るしかなかった。
「パポペプオピペペ」
「エピオピペアピアペペポップ」
円盤のような物体の中で、おそらくこの宇宙人たちはこのような話をしていることだろう。
「あの星の者達は奇怪な見た目をしていたな」
「ああ。だがやはりあの星は滅ぼさなくてよかったのか??」
「ああ、腕を前に突き出してきた時は宣戦布告かと思ったが...」
「我々の星では手を前に突き出すのは敵対の意味。あの時はあの生物が敵対してきたのかと思ったよ」
「だが我々が普段使っている交友の証であるウゥンチィを知ってるなんてな」
「ああ。危うく交友関係を持てそうな星と戦いをするところだった。『また来る』と伝えたしきっと次は更なる歓迎が待っているだろう」
ウンチという単語とこの宇宙人の言う交友を表す言葉の「ウゥンチィ」という言葉が偶然、似ていてことなきを得たののだが、そんなことを人間達は知る由もない。
もちろん、握手のつもりで手を前に出したのが、この宇宙人にとっての「宣戦布告」にあたることも...。