表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深海特急オクトパス3000  作者: 夜神 颯冶
 存在証明のパラドックス    
3/9

                                ─3─          

 


  死者の目。




その残像と動悸どうき合間あいまささやく声が聞こえた。




   ─助けて─




それは空耳かと思うほどの小さな声。




 死霊のささやき。




小さな人形のよう輪郭りんかくが浮かび上がる。



座席の下の影の中からいずり出てくる、

小さなシルエット。



それは6歳前後の小さな少女の顔だった。




 君は・・・




僕はそうたたずねたつもりで上手く言葉が出なかった。




『助けて・・・  』




僕は恐る恐る捕まれた足首の小さな手首をつかむ。



とっても生きているとは思えないほどの冷たな手。



僕は思いきってその手を引き、

座席の下から少女を引っ張り出す。



そこから出てきたのは少女の残骸ざんがい



上半身だけで下半身のない小さな少女(なにか)



その狂気の残骸ざんがいを前に、

僕は腰を抜かし手を振り払い逃げ出しそうになる。




その瞬間、少女の絶望ぜつぼうに満ちた顔を見るまでは。




僕はすんでの所で心を落ち着けた。




『助けて・・・  』




再びささやかれた小さな悲鳴を僕は飲み込んだ。




大丈夫だいじょうぶ?」




僕は少女を抱き寄せ座席の下から引っ張り出した。




上半身だけに見えた少女の体は、

ちゃんと五体満足でそろっていた。



6才前後の少女は必死で僕の腕にしがみつき、

小さく震えていた。




僕はふたたび少女にたずねた。




「なにがあったの?」



『わからない』


 

『ママ』




そう言って必死でしがみつく温もりはとても小さく。



僕はそんな小さな子供におびえていた事をじた。




「一緒にママを探そう」




僕はそう言うと彼女を抱き上げ、

死体を見せないよう少女の小さな頭を胸に押し当てて、

陰惨いんさんな死のうたげ残滓ざんしただよう車両の中を、

前方に向かい進んでいった。






 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ