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海亀の涙

作者: 石田 幸

子を思う母の願い

 元日の朝、遠く見はるかす水平線を見ていた。

 

 未だ明けない海辺は暗く闇に沈み、寄せては返すさざ波が辺りにこだましている。


 ふと、以前聞いた海亀の話が頭をよぎる。

 

 海中で暮らす海亀は砂浜に上陸して産卵する際、涙を流すという。

 そうして、産み落とされた卵から生まれた子亀は迷うことなく海に向かって歩を進めるという。


 母亀の涙は生理的なもので、産みの苦しみから出たものではないというが、もし、実際に母亀の涙をみたとしたら、感動せずにはいられないだろう。

 そして、生まれたばかりの子亀が何故、海の方向がわかるのか?については、子亀は光の方向へ向かう性質があり、真っ暗な海岸では陸側より海が明るく見えるので、これを目印に海へ向かって行くのだそうだ。


 この海亀の話を思い起こした私は、何とも言いようのない気分に包まれた。


 母亀が涙を流し、苦労して産み落とした卵から生まれた子亀が真っすぐ光の射す海へと向かう様が目に浮かんだからだ。


 海亀の涙は、生まれた子どもが光の方へと進んで行くことを願う母親の気持ちを投影しているようで、思わず知らず胸がじんとした。



 ー子を思う母の気持ちは、計り知れず、そんな親心を一身に受け、巣立つ子に明るい未来が拓けますようにー



 そう深く願って、思い巡らせていた頭を上げると、暗かった水平線に一筋の光が射し、暗い闇夜を打ち破ろうとしていた。

 新年を迎えて、子を持つ母親としての切なる願いを初日の出の情景と共に書いてみました。

 皆様の未来にも光が射しますように。

 

 ご一読ありがとうございました。


 石田 幸

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