【第壱話】最初の出会いってのは碌なのがない
枝暮「これ思ったけど、日常回みたいなのって書くの初めてだけどさ。大丈夫なのかね?」
紫「大丈夫よ。駄作で終わるから」
枝暮「それって大丈夫とは言わないのですが」
やぁ、俺は曉枝暮って名前だ。
ほら居ただろ?八雲紫と話していた男。俺だよ俺。んで一つ聞きたいことがあるんだけどよ、それが『出会い』の事なんだ。
ほれ、よくこう言う幻想入りとか転生とか色々あるけどさ、最初に会う奴ってメインヒロインとかじゃない?そういったシチュエーションだとよく妖怪や化け物とかに襲われることで出会いをするわけじゃん?物語が進むわけじゃん?
そういうの憧れたりするよねぇ。そう言う出会いにちょっと憧れたりするじゃん?俺もそういうの良いなぁって思ったことがあるからさ。………でも、そんな君達に一つ忠告しておこう。
憧れだけじゃあ生きていけないぜ?
………え?何でそんな事を言うのかって?それはだね___
「がぁぁぁ~~~~………」
「ぐぎぎぎぎ………」
絶賛、喰われかけですから☆
………いやいや笑い事じゃないんすよ!?今こっち大ピンチなんすよ!?今マジで目の前の恐怖と立ち向かってるんですよ!?嫌だ!死にたくない!ロリに喰われて死ぬなんて羨ましいと思うロリコン達に言おう!そんなこと無い!ロリだとて死ぬことは怖い、これ常識!
今の状況とそうなった経緯について話そう!
まず今俺は迫り来るロリ……ルーミアが口を開けて俺の頭にかぶりつこうとして迫っており、俺はルーミアの肩を掴んで必死に抑えている!よし大体伝わった!後はこれまでの説明だ!
俺は幻想入りして森にいたわけだが、そこが深夜の森だったわけよ。んで右も左もわからずじまいで歩いていたら眠たそうに座っている少女がいたんだよな?それがルーミアだったわけよ。ここまでは良いかな?
それで近くに寄ってみようかと思っていたら、その細い足の間から僅かに見えた白い布地がチラリと見えたんですよ。それでついつい魔が差して………
それで俺に気づいたルーミアは寝惚けてるのか俺を餌だと思ってるわけよ。………いや主食が人間だから当たり前なのだが。
それで今に至る状況です。
…………いやうん、この状況作ったの俺だけどさ?悪いの俺なんだけどね、やっぱりそこ助かりたいわけじゃない?てかさっきから思ったことがあるけどこの子凄く力つよーい!妖怪とは言え滅茶苦茶強いんですよ!?大人の男でも絶対勝てないって!
あっヤバイそろそろ限界が来そう………昔から自分の身を守るために体術で鍛えてたこの体ともお別れになるのかなぁ……?
……いやいやそういうわけにはいかぬぅ!まだのんびり生きたいんだよぉ!な、何か………何か案は無いのか!?自分の助かる道は___ってあぁやばいやばい!すぐそこまで顔が迫ってる!
「いただきまー…………ふ……」
「いやぁぁぁぁ死にたくない死にたくない!助けて助け___」
ゴゥンッ!!
………ん?今何か変な音がしたよな?
咄嗟の事で目を瞑ってしまっているが、ゆっくりと慎重にその瞼を開いてみる。
するとルーミアの頭には大きなたん瘤が一つ。ルーミア自身も目を回していて気絶しており、そのまま後ろへと倒れてしまう。ルーミアの後ろには足が視界に写った。
一体何が起きたんだと思い、見上げてその光景を確かめた。だがそこにいたのは、見たことのある少女。
暗茶~黒のストレート、茶色の眼、やや高めの身長の少女。
服装は袖が無く、肩・腋の露出した赤い巫女服で後頭部に結ばれた模様と縫い目入りの大きな赤いリボンで髪が結ばれており、右腕にはお払い棒を木刀風に抱えている。
___間違いない。この少女は__
「怪我はない?……見たところ無さそうね。まぁ良いわ。早く行くわよ。面倒な奴にまた絡まれたくないでしょ?」
少女は気絶しているルーミアの方を見て忠告し、俺の首根っこを掴んで無理矢理起き上がらせ、歩かせる。………この出会い、もしや皆と同じ風になれるのでは?
俺はそう思いながら急いであるくのであった。
◆◇◆◇◆◇
___時は朝。場所は博麗神社である。
……え?あの後どうなったって?いやまぁ、簡単に言えば………
①神社まで連れてかれる
②その後少女がすぐに布団敷いて寝た
③俺も床で寝た
④起きたら朝になっていた
……と言うところである。
ぶっちゃけ歩き続けたからくっそ疲れてたんだよ。分かってくれ。
それで今俺はさっき言った通り、少女の家の座敷辺りに座っているのだ。
少女を待っていると言える。
すると障子が開かれ、昨日の夜の少女が入ってくる。そのまま俺の正面になるようその位置に座り、胡座をかいて座る。
「率直に聞くけど、あんたが曉枝暮って奴よね?」
「いきなりっすねぇ。まぁそうですけど………」
「そりゃそうよ。そんな変な格好すれば、誰だって分かるわよ」
確かにそうか。幻想郷の人だったら着物やボロい布を着ている筈だもんな。
そう俺は思いながら忘れていた自己紹介を思い出し、咳一つして仕切り直す。
「ゴホンッ……えー、では改めまして……俺は曉枝暮という名前です。八雲紫と言う人に突然連れてこられた人間ですね」
「はいどーも、私は博麗霊夢。この神社で巫女をやってるわ。それと突然だけど、今日から居候してもらうわよ」
「……イソウロウ?」
「あの紫が気持ち悪いほど頼み込んできたからね」
「気持ち悪いと言うと、どのくらい?」
「ゴキブリが飛んできて顔に引っ付くくらい」
「それは気持ち悪い」
例えと言い方がかなり辛辣だが、そう言われても仕方無いくらい何かしでかしているのだろう。
それはそうとして、何故に俺を居候させてくれたのであろうか。俺みたいな人間を引き取る意味などあるのだろうか。そんな疑問を素直にぶつけてみる。
「あのー、霊夢さんや」
「何?うんこ?」
「いやそれはまだですけど、何故俺を引き取ってくれたので?………もしや、それほど俺に何か力が___」
「あんたを雑用なり何なり好きにこき使っても良いって言われたし」
「現実って、非情っすね」
いやまぁ、そんな気はしてたんだよ?だって俺にそんなのあったらとっくに気がついてたりそんな予兆あったりするもん。普通気づくもん。
そんなに落胆したしてたのか、項垂れている俺に霊夢さんが近付いて慰めるように肩を叩いたのだ。
「安心しなさいって。貴方を家畜みたいに絞り取るって訳でもないし、神社については私がやるから良いのよ。それと能力については後々話すわ」
「………………何か、霊夢さんがとても良い人に見えてきました………」
「世辞をくれるんだったら賽銭寄越しなさい。それと居候とは言え一緒に過ごすから、敬語じゃなくても良いわよ」
「………………ありがとうございます」
「だから落ち込むのは止めなさい。鬱陶しくて堪らないからさ」
それもそうかと呟きながら、頭を乱暴に掻いて顔を正面に持ち上げる。
ここから何が起こるかわからないが、張り切っていくしかない。しょげているばかりでは仕方がない。
「………所で、俺の住む場所ってここであってるよね?」
「確かにそれはそうだけど、寝る場所は違うわよ」
そう言った霊夢は庭から出て「ついてらっしゃい」と言って歩き始める。
俺は慌ててついていき、家の隣にある小屋の前に来る。……………まさかとは思うが、これってあれだよな?よく見る物置部屋?的な?
「…………あのー、霊夢。もしやこれって…………俺の寝床?」
「まぁ、そうなるわね。同居するとは言えこの小屋で暫く過ごしてもらうわ。ま、獣臭いけど頑張ってね。後今から掃除洗濯料理に草むしり、それと、戦闘についても色々叩き込むからそのつもりでね」
それを聞いた俺は、これで確信したことがある。
最初の出会いってのは、ホントに碌な事がない
霊夢「こうして住むことになった枝暮だったけど、割かし家事は一通りこなせるから楽だったわぁ………」
枝暮「寧ろあれを教えるという行動に当てて良いのだろうか………」
霊夢「後は風呂の時間帯と働く為の場所ね。それなら心当たりが………」
枝暮「おい待て次回予告じゃねぇか!じっ次回!【白黒魔法使いと人妖の雑貨店】!!」
霊夢「お楽しみにー。あ、それと洗濯だけど、私の下着も洗ってね」
枝暮「それを今言うなぁ!!」