『ナインス』アブソリュオンニブルヘイム1
目を開くと白い天井が広がっていた。
白いカーテンに白い壁、白いベッドとまるで保健室のようなところ。
また俺……気絶してベッドスタートしたのか。
「まだ……角がある。どうしよこれ」
「取る方法何ぞ腐るほどある。とりあえず、おはよう」
目をやると足を組んですんごいふんぞり返ってる魔王がいた。
俺は跳び退き部屋の隅に縮こまる。
こいつは……本当に魔王なのか。
助けてもらったけど、一応俺たち異世界人の討伐目標だよな。
大きくカールした角以外普通の人間っぽい……雄々しく肥大化し、服の上からでもはちきれんばかりに隆起した筋肉、ほんのり黒くてアウトドアで活動的な印象を持たせる肌の色、異世界には似合わなくも男らしさを前面に押し出したライダースジャケット。
ヤバい……俺の目指す理想の男性像そのものだ。
「悪いがそっちの趣味はない。貴様の性癖受け入れない。いくら体が女とも、貴様の気持ちは受け取れない」
「んがっ!? 何だそのクソラップ! 俺だってそんな趣味はない! てか、皆は?」
「安心しろ。テレサ達は別室にいる。ここは男のロマン、俺様の秘密基地。貴様が寝続けた一週間。後始末は大変だったが俺様の権力で抑え込んでやった」
ちょいちょいと魔王はこっちにこいと手招きをしてくる。
こいつが言っていることを信用する以前に魔王討伐の千載一遇のチャンス……潰すか。
「その気もない癖に変なコト考えんな。俺様はラス・タボス。現魔王『ニブルヘイム』の座についてる。貴様もテレサに名乗られて信用しただろ。最初は棒をブンブン振っていたな」
何だこいつ……何で誰にも話してないことを知ってるんだ。
クソラップからモリオークの湖にいたのはこいつだろうけど、まるで人の考えを読み取ってるようだ。
「大正解。何を隠そう。俺様もチートを持っている」
「チート? もしかして、お前異世界人なのか!?」
「異世界人? ガーッハッハ! 違う違う! ただ俺は『この世界に存在するはずのないバグ』なんだよ。だからこの世界を『ゲームの世界』と理解している」
「ゲームの世界ヒィッ!?」
突然にジッパーから取り出したナイフを俺の足元に投げてきやがった。
テレサ曰く異世界人を排除する政策をしてるようだし、俺を殺すつもりか。




