『エイス』ミシカルモンスターズ12
俺を抱きかかえる何かに身廊で倒れているハゲタカ、消えているブレイヴに壁に張り付いている風紀取り締まり係たちに杖を掲げる大人版ヤミー。
どうなってる……あまり、時間は経ってないのか。
「レン! 起きてくれたんですね!」
「……アニーチカ! お前、何で来たんだ! これ、ア・フルンか」
「すみません。メンタルケアしてました。何ですかその角? ヤギ?」
「状況はどうなってるんだ! 何でハゲタカが頭から血を流して倒れてんだ!?」
超絶簡単に説明を聞くと、俺が気を失った瞬間にハゲタカは投げナイフによってブレイヴに外に出ろと命令し、その隙をついてある人の助力を得て聖堂内に登場したアニーチカがア・フルンの超腕力によってハゲタカを吹っ飛ばし、来賓たちは大パニックになり、動き出した風紀取り締まり係たちはヤミーの天術によって磔にされたと。
「そう言うことでいいんだな」
「ええ。ここまでしてしまってはもう引っ込みもつきませんし、早いとこテレサを連れて逃げましょう。ヤミー!」
「わかってま、」
一瞬で三つのことが起こった。
ハゲタカがヤミーの背後に回り剣で胸を貫いた瞬間にテレサがハゲタカの顔面をぶん殴り、放り出されたヤミーが子供状態になってこっちに転がってきた。
「二人とも! ヤミーを連れて離れなさい! その子は我業の影響を受けたグッ!?」
テレサが長椅子に飛ばされる。
「ぶっ飛ばされた衝撃で解けてしまったか。そりゃ驚くさ。突然何もないところから死んだはずのア・フルン=ラグナルクにぶん殴られるんだからな。ハハッ。酷いありさまだ。風紀取り締まり係の面目が丸つぶれ。それに今のはグリム・イーター……だがまず『死ね』」
突拍子もなく死ねって……ハゲタカもこの状況に相当疲弊しているみたいだ。
ここまでむちゃくちゃにされたら無理もない。
「よし、テレサも反旗を翻した。アニーチカ! ヤミー! 協力してこの場を……ヤミー?」
放り投げられた後、そのまま横たわるヤミー。
「ヤミー! 起きろ! 気絶してる場合じゃないぞ! 今がその時だ!」
「待ってください……心臓、止まってます」
……止まってるって、そんなのあり得ないだろう。
確かに首は据わってないし目に生気は見られないけど……。
「バ、バッグからポーションをありったけ出せ!」
急いで服を破いて心臓マッサージをする。
嘘だろ……最後に話をしたのが突入したときのあれなんて認めないぞ。
「起きろヤミー……! 起き、」
突然の意識外からの攻撃に体が横に薙ぐ。
「ぐ、ぎゃああああああ……! 脇っ!」
「ア、ア・フルン!」
ア・フルンがアニーチカを守る形でハゲタカと組みあう。
「レンさん……主犯である君は殺しません。ただ、落とし前としてその少女とこの男には死んでもら、」
「デメンジッパー! 『ドラゴン・パイル』!」
横槍と言わんばかりにテレサが一撃を見舞う。
デメンジッパーを介しドラゴンの腕だけを喚び出しハゲタカを殴り飛ばす。
「テレサァ……! いい加減にしろよテメェ!」
「そんなこと口にするってことは相当怒ってるみたいね! あぁ! 私は誤った! 三人がこんなにも私を必要としてくれてるなんてね! デメンジッパー!」
ジッパーが聖堂内の出入り口全てを塞ぐ。
そのジッパーは外に出たかと思えば聖堂内に戻っている無限ループのようになっていた。




