『エイス』ミシカルモンスターズ2
「俺だ! えっとクリーンポーションを……よし! 俺が見えるかテレサ!」
「レン? え? 何で君がこんなところに? インビジエンドポーション?」
「そうだよ! てか、迎えに来たんだ! 帰ろうテレサ! 俺たちの家に!」
力いっぱい手を引くけど、テレサは地面に根を生やしているように動かなかった。
「あー……帰りなさいって言ってもダメか」
「アニーチカは監獄棟で待ってる。ヤミーは……そこら辺にいるはずだ。お前のデメンジッパーでみんなを集めて脱出しよう!」
「まあ待ち。座んなさい」
ちょいちょいと手招きされて備え付けのソファーに座りやがった。
「立つんだ! 帰るんだよ! アニーチカも泣いてたんだぞ! そのせいでちょっと喧嘩しちゃったし! お前がいないとヴァルハライズは始まんないんだよ!」
「大丈夫よ。君には三週間。仕事の全てを教えたつもりよ」
ウソコケ直接指導なんて最初の一週間だけだったぞ。
新人教育体制に不備があり過ぎだろう。
「こちとら犯罪犯してまでここまで来たんだ! いいのかぁ? お前がこのままだと俺たち三人犯罪者として捕まっちゃうんだぞ!」
「ラルサに掛け合って店に戻れるようにしてあげる。大丈夫。私結婚して幸せになるから」
「十歳年下のカワイイショタと結婚したいとかほざいてたやつが幸せになれるか! スター☆ルーキーはお前を利用しようとしてるだけだ! 悪党なんだよ! 第一、親が迎えに来たから俺たちを捨てるってのが気に喰わないんだよ! 帰れない理由でもあんのか!?」
綺麗なドレスを傷つけるつもりで胸ぐらを掴む。
「……私の母様、カレンス・ビーネ・テスタロッサは理想の母親だった。ボルサにはない自由の意思を私に教えてくれた」
「何の話だよ」
「ボルサはね、とんでもない無能なの。ジッサマとは違いこれと言った武勇も経歴もない、ただテスタロッサの跡取りだけが取り柄の男。だから私やラルサをテスタロッサの歴史に名を残す、無能な自分とは違うってことを周りに証明したがってた。それこそ母様の死に目に会ってもね」
これは……テレサが何で家を出たかって話なのか。
「ラルサはテスタロッサに尽くせって教え込まれたけど、私は母様に自由の意思を教えられた。と言うか母様の死に目もくれない父親とテスタロッサに愛想をつかしたのよ」
テレサなりに家に縛られたくないと言う考えを持って家を出たのか……待て。
「今の話、何で俺と帰らないかの理由になってないぞ。何で家出したお前がハゲタカの一言で戻る気になったんだ! ハゲタカになんて言われたんだ!」
それが大事だ。
こいつはハゲタカに何かを言われる直前まで帰ってたまるかと言っていた。
テレサが従う脅しってのは少なくともこいつ自身に対しての脅しじゃない。
ならこいつにとって脅しになる事と言ったら。




