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シャッフルハード  作者: 成神全吾
始動編
3/97

『ゼロ』ディファレントディメンジョン3

「俺は跳お、」

「この異世界は人気なんですよぉ。すでに三桁以上の人たちがこの異世界に挑戦しています。もしクリアできれば転生の際にとんでもない力が発揮されること間違いなしです!」

「……つまりそれだけ挑んで誰もクリアできていない超難関異世界ってことか」


 俺の言葉に死神は目を逸らした。

 どうやら面倒事を押し付けたいようだ。


「余った売り物ほど厄介な物は無いからなぁ」

「だって、この異世界はずっとあって、上からどうにかしろとのお達しがありまして。難しいからこそアナタを殺して討伐してもらおうと思ったんです」

「眼を泳がせながら事のあらましを語るな……わかった。魔王を選択しよう」

「ま、マジですか!? 言ってみるものですね! 魔の異世界を攻略してくれますか!」


 殺されたし恨みもしているけど、なんだかんだでこいつは俺を必要としてくれている。

 要求を飲むのも癪だけど、難易度の高い異世界と魔王を倒す王道も悪くもない。


「ではアナタが挑戦する王も決まりましたし、今から異世界用の体を受肉します! 肉体は最盛期の物を用意しますが、十四歳のアナタは今が最盛期なので変わらないでしょう」


 死神は本を取り出してさらさらーと頁をまくる。


「えーっと……これですね。受肉の準備は完了。では林檎さん。準備はいいですか?」


 死神の口にした名前は俺の名前じゃなく、その名を耳にした瞬間に俺は怒りの感情が心の奥から一気に沸き上がった。


「だぁれが林檎だダボゲラがぁ! 俺は煉瓦だ! 最果煉瓦(さいはてれんが)! 林檎は俺の双子の姉だ!」

「え? え? えっと、最果林檎さんですよね?」

「髪の長さとか声……まだ声変わりしてないけど全然違うだろぉ! そりゃ俺は世にも珍しい一卵性の男女の双子だ。林檎ベースで何の因果か俺は男だった。いいか。俺は林檎が大っ嫌いなんだ! 顔を見ただけで反吐が出る! 次間違えたらお前をぶっ壊すからな! 覚えとけよボゲがぁ!」


 そう、ある意味俺が異世界に行く意味も転生にかける設定も姉である林檎がらみだ。

 嫌っているからこそ林檎と間違えられることだけはどうしても声を荒げてしまう。


「嘘……ど、どうしよ」

「間違えたことはこれ以上言わない。とにかく新しい体をくれ。話はそれからだ」

「わ、分かりました……その、ごめんなさい」

「別に謝らなくてもいい」


 死神の杖の一振りにより俺の体が新たに再構築されていく。

 さっきの物とは違い現物の……そう、死ぬ直前までと何ら変わりない……。


「あの、おっぱいついてるんだけど。髪の毛長いんだけど。ちんちんないんだけど……! なんじゃこりゃああ!?」

「ごめんなさい! 顔だけでアナタを林檎さんだと判断して、その……林檎さんの体を受肉してしまいました!」


 死神は手を合わせて深々と頭を下げる。


「その、見た目を変えることはできませんけど、ある程度のデータの引継ぎをしておきました。身体能力がいいみたいなのでその引継ぎとかその他諸々を、」

「ふざけんな……」

「はい?」

「ふざけんなぁあああああ! 今すぐ男に戻せ! 戻せぇえええええええええ!」


 怒りに身を任せて俺は死神に掴みにかかろうとすると杖を一振りによって壁に磔になる。


「謝ったじゃないですか! それに受肉する肉体を間違えたなんて上に知られたらいい笑いものです。とにかく今から魔王の異世界に飛ばしますので……ん?」

「俺を止めたつもりか……! この俺が、最果煉瓦が! こんな意味の分からないもので止められると思ってるのかぁあ!」


 腕に力を込めて、俺は無理やり腕を動かす。


「うそぉ。磔の天術を素手で剥がすなんて……! なんて精神力……! は、早く、早く天送術を……!」


 磔になっていた身体を無理やり自由にして死神に掴みかかろうとすると何か見えない壁的な物に阻まれる。


「で、では煉瓦さん。アナタが向かうは魔王の世界。送られると同時にアナタに応じたチートも付与されますので……頑張ってくださいね!」

「ふざけんなっ! 今すぐ元に戻せ! 戻せぇえええ!」


 俺は何度も見えない壁を叩くと空間にひびが入った。

 もうすぐで割れると思った矢先にふわりと身体が浮いた。


「させるかぁ!」


 俺は見えない壁を思いっきり叩いてひびに指を引っかける。

 だけど体はどんどん上へと吸い込まれていく。


「うわぁ、天送術にひびを入れるなんて、さすが魂が優秀なだけあります」

「くぅう! 覚えてろよ死神。この恨みは忘れない。俺は必ず戻ってくる……! 戻って、絶対にお前をぶっ壊す! そして……必ず男に戻るからなぁああ!」


 指の引っかけが外れ俺は天井へと吸い込まれていく。


「いってらっしゃーい」

「覚えてろよぉおおおおおお!」


 手を振る死神に恨み言を吠えながら俺はただ、上へと落ちていった。


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