『セカンド』ドリフターチルドレン10
そう言って俺たちは無数カラフルに存在するスライムの中から白いスライムだけど選出し始めるけど、全然見当たらない。
「なんだか……スライムってより水風船な感触だよな。正式名はボムとか言ってたし……この世界のスライムは俺の知ってるスライムとは違うのか?」
「レン、レン! 見てください! 真っ黒いスライムですよ! まさにダークマターって感じですよ!」
「ダークマターって……俺にはバカでかい黒豆にしか見えないんだけど」
さっきからピギーピギーと叫んでは威嚇してるように跳ねてるし。
「その子はアームボム。通称バンチョースライムよ。無理やり友情の契りを結んでくるから気を付けなさい」
「え? 友情の契りってへぶっ!?」
突然にアームボムとか言うスライムの小さな体から俺の背丈ほどある長い腕が二本生え、アニーチカを殴りやがった。
「な、なんですかこれぶっ! すごい殴ってくるんですけど! 痛くはないけどものすごい湿っぽいです!」
「バンチョーはとにかく喧嘩っ早いのよ。何発も殴りつけてきて、全部避け切ったら親愛の行動をしてくれるってわけ」
「待って! やめてくださいぶほっ! ぺちぺちして気持ち悪いからヒバン!」
「あ、転んだ」
「うぅ、痛いです……ん? ちょ、スライムたちが僕にまとわりついてうわぁー!」
「すごいことになってるぞ。助けた方がいいのか?」
「いいのいいの。ああやって新しい匂いを覚えてるんだから」
「だそうだ。頑張れよアニーチカー。ん?」
目線を元に戻すとバンチョーが飛び出した気持ち悪い手でシャドーボクシングをしていた。
こいつ……見るからにやる気だ。
「君とも友情の契りを交わしたいみたいだよ」
「いいだろう。相手になってやる。アニーチカの仇だ。すべて避けてやる! こいやぁ!」
バンチョーの拳が弾幕のように展開される。
-スタン・トサーチ-
何故か新しいスタン・トが発動。
見える……バンチョーの拳の軌道、どこに撃ち込まれるかが事前に分かる。
俺は最小限の動きで安全地帯を何回も行き来し、避け続ける。
すると突然にバンチョーの拳が止み、さっきまで殴りつけていた腕を俺に差し出してきた。
「へぇ、避けきれたんだ。さすがスタン・ト。バンチョーは力を認めた人にはそうやって握手を求めてくるのよ」
「人間臭いことしてくんなぁ。んん~。ヨロシク」
俺はバンチョーの手を取ると強く握り返してくる。
友情の契りしてもらえたのはいいけど……このねちょねちょ感は何とかならないか。
いつの間にかアニーチカもスライムたちから解放されていたみたいなので気を取り直しておっぱいスライム……ミルキーボムを探し始める。




