南影丘駅へ
今の季節、なかなか布団から出れないです/^;^
「え~新入生のみなさん、この月ヶ岡学園は100年以上の歴史を持っていて......」
あ~だるい......今、どこの学校でもおなじみのハゲ校長のどうでもいい話がされている最中である。まったく、なんで学校の校長はどうでもいい話をこう長々とするのか。早くこの地獄から抜け出したい..
といことをかれこれもう数十分も考えている。ちなみに、朝はタクシーのおかげで余裕で間に合うことができた。俺、今度からタクシー通学にしようかな?ただおっちゃんが言っていた噂のことがなんかひっかかる。幻影列車、どこかで聞いたことのある名前だ。その名をどこで聞いたのかは思い出せないのだが、絶対どこかで聞いたことがある。確かおっちゃんは、
「実は南影丘駅に午前零時に行くと、巨大な汽車がやってくるんだ。」
と言った。南影丘駅は俺の家から3キロくらいのところにある。今俺は一人暮らし中なので、その時間に行くことは可能だ。どうせなら慶も連れて行くか。あいつも興味ありそうだったしな。ただ、優衣は家の規則が厳しかったので無理かな。しかし、異世界に行けるっていうのはいいな。ホントかどうか分らないが、俺みたいなオタクは憧れるものだ。あ~校長の話早く終われ~!!
「「幻影列車を見に行く??」」
「あぁ、そうだ。今夜、南影丘駅に行く。」
「おいおい、まじか、お前。あんなに興味なさそうにしてたのに。」
まぁ、確かに聞いたときは絶対ただの噂だろと思ったけどな。
「で、慶は一緒に行くか?」
「まぁ、行けないことはないけどな。優衣さんは?」
優衣は少し考えてから、
「私も行こうかな。結構興味あったし。
「大丈夫なのか?その時間外出できるのか?」
「大丈夫、家を抜け出す方法なんてたくさんあるわ。」
と自信ありげに答える。だったら問題ないな。
「よし、じゃあ11時に俺の家のところに集合な。」
「「了解!」」
ゴトン、ゴトン。怪しく光り輝く空間を巨大な汽車が進んでいた。その汽車の中には人はたった一人しかいない。静かな車内で彼女はぽつりと言った。
「今日もまた英雄は来ないのかな。」
と。
午後11時 家の前に慶と優衣が来た。4月だがまだ夜は少し寒い。
「じゃあ、行くか。」
さて、スマホのナビを起動。南影丘駅は月ヶ岡高校の近くの山にある駅だ。ここからは30分くらいだ。
「結構この時間帯静かだな。優衣さん眠そうだけど大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ。ただちょっと夜は弱くて....」
と言ってるが結構眠そうだ。さすがにこのままいくわけにもいかないな......
「まだ、時間あるしちょっとコンビニ寄ろう。多分コーヒーあるはずだから、優衣コーヒー飲めたっけ?」
「うん、飲めるよ。ごめんね、ちょっと夜は苦手なんだよね。」
まぁ優衣の性格的に俺らとは違って早く寝ていそうだしな...なので近くにあったコンビニによることにした。さすがにこの時間はあんまり人がいなかった。なんかいつもと雰囲気が違っておもしろいな。この時間帯はいつもネトゲしてるからな。
「祐くんや慶くんたちも何か買う?」
俺達は少し考えた後、
「「じゃあ、コーラ買おうかな。」」
見事にハモった。なぜか、慶とは好きな物とかが昔から同じなのだ。中学生のころ信じられないくらい趣味が似ていて、
「俺達って運命で結ばれた中なのか!!」
と慶が俺に言ったのを女子に聞かれて一時期、ホモ疑惑が出たほどだった。と、思い出しながらコーラーを飲んでいると、
「慶くんと祐くんってホモなの?」
と、ドストレートに優衣が聞いてきた。いやいや、だからなんでそうなる?
「安心して、優衣さん。俺らは別にそういう関係じゃないから。別に祐とくっついてもらってもいいんだよ。」
「ちょっと慶くん!!ななな何言ってるの。」
「くっつく?どういうこと??」
一体なんのことだろう?なぜか優衣が暗くてもわかるぐらいに顔を真っ赤にしている。
「ち、違うからぁぁぁ!」
夜中の住宅街に優衣の叫び声が響いた。てか、何が違うんだろう......?
「ちょっと優衣さん、そんな怒らないでよ。ちょっとした冗談だから。」
「.........」
さっきからこんな感じでご機嫌斜めである。ん、あれは...
「なぁ、あの看板に南影丘駅って書いてない?」
今に時刻は11時50分。よし、間に合いそうだな。
「ほんとだ、幻影列車来るかな~」
よかった。幻影列車のことを思い出して機嫌を直してくれたようだ。
「にしても、もし来たらどうすんの?」
たしかにそれは考えてなかった。
「まぁ、無理やりにでも乗ろうぜ。」
そのまま異世界にいって無双でもしたいな~え、普通にレベル1からやれって?いやいや、俺はもうこれでもかっていうぐらいチートになりたい。もしも雑魚スタートだったら、そのまま帰ろう!
「着いたな。ここが南影丘駅か。」
午後11時58分 俺たちは南影丘駅のホームにいた。そこはいかにも廃駅という感じのところだった。町からそう離れていないのに、辺りはしんと静まり返っていた。
「あと2分か......」
本当に幻影列車は来るのか?慶も優衣も同じことを考えているに違いない。ふと空を見上げると、美しい満月が俺達を見下ろしていた。ふと時計を確認する。11時59分53秒、もうすぐだ。
「ボォォォォォォ!!」
「「!!」」
突然、遠くから大きな汽笛が聞こえた。