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バッファロー王国

「ギュリフス様、ライオン軍がアバディーンから出陣致しました。真直ぐに南に向かっております!」偵察部隊がギュリフスに報告する。

「うむ、ご苦労。引き続き偵察と報告を頼むぞ」ギュリフスは頭の中で地図を開き、ライオン軍の進路を予測する。真直ぐ南に進むとなると最短で3日後にはザイマンスダル辺りまで来るだろう。その翌日、つまり最短で今日から4日後にはユニオンデール攻めが可能となる。狙うは当然カンマナ川。その方法を考える。自分ならどうするか? ブレイドとキュベルの事、正面突破とは考えにくい。

 ギュリフスは王宮を離れた後、ベリウス宅で彼が目覚めるのを待ちつつ、ライオン軍の侵攻に対する策を練っていた。ライオンがどのようにしてカンマナ川を渡って来るのか? その点に着目していた。

「川の防御を固めておくか……おい、鳥を1羽用意してくれんか?」ギュリフスがベリウスの配下に伝える。

「はっ! 直ちに準備いたします!」

「うむ。では書状を書くゆえ、ベリウス殿に変化があれば直ちに知らせてくれ。この部屋を使わせてもらうぞ」そういって、ギュリフスはベリウス宅の1室に入り、書状を書き始めた。相手はワニ族だ。

 

 ワニ族は国を持っていない。その為、各国の川辺を自由に行き来しており、当然カンマナ川にも多数生息している。その彼らに、ライオンが川を渡る際に攻撃し川を渡れないようにして欲しい、という書状を送るのだ。いくらライオンとて川を渡る最中にワニに襲われれば一たまりも無く、川の中にワニが多数居ると知ればそれなりの時間を稼ぐ事が出来ると考えていた。又、バッファロー王国とワニ族の結びつきは堅く、書状を出せば必ずや力を貸してもらえる関係だった。

「ライオンもワニには当然警戒している。それに、どんな方法で川を渡るつもりなのか分からん。問題はタイミングだ。ワニの力を借りるタイミングを間違えてはならんぞ」ギュリフスは自分に言い聞かせる様に書状をしたため、用意された鳥に託した。

 書状を書き終え、部屋を出るとベリウス配下が慌てて報告してきた「ベリウス様がお目覚めになられました! 丁度3時間が経過したところです!」

「そうか……直ぐに寝室へ向かうとしよう!」


 ギュリフスが寝室に着いた時、丁度ベリウスが室内から出てきた所だった。

「おぉ、ギュリフス殿! 何か新しい自分に成った気分ですぞ!」ベリウスが目を輝かせながら話す。

「そうか、まずは無事で何より! で、早速じゃが、どうかな?新たな力は何か感じるか?」

「はい……力がみなぎっております!! これまで感じたことの無いパワーを感じます!! ライオン共が何匹かかって来ようが負ける気がしませぬ!!」ベリウスが新たな力に感動しながらギュリフスに話す。

「(やはり筋力増強か……)ベリウス殿、貴殿にはこれからアガラスへ向かってもらう。アシモフ様の命じゃ。そこで子を作り、新たな力を持った部隊を作るのじゃ! 時間に余裕は無い、直ちに移動じゃ、ワシも同行する」

 王宮や将軍宅があるバッファロー国首都ジョージから、最果ての地アガラスまでの移動時間は約6時間。そこからユニオンデールまでは半日が掛かる。つまり、ライオン軍の到達までに、ギュリフスがユニオンデールに入る事ができるわけだ。ギュリフスは、まずはその事に安堵した。

「直ちにアガラスへ向かう! 準備は良いな!」ベリウスの号令でアガラスへ向かうのは、ベリウス直属の護衛兵10頭と、ギュリフスとその護衛兵10頭。計22頭だ。ベリウス隊の本体は既に、ユニオンデールに向かっていた。


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