表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

バッファロー王国

 ベリウスがFGを飲みに寝室に入った後、ギュリフスとベアリウモスは国王アシモフの元に向かっていた。

「ギュリフス様、先ほどの話ですが、特別な力を持ったFGとはいったい……」ベアリウモスが、周囲に聞こえぬよう小声で問いかける。

「RFGじゃ」

「RFG……それはあの伝説とされる? あのRFGで御座いますか?」

「そうじゃ……」

「しかし、あれはあくまで伝説や、おとぎ話であって実際に存在するなどとは聞いたことが御座いません」

「確かに。RFGで得た力は子孫には継承されぬからな。もはや存在せぬものかもしれん」そう言った後、周りに誰も居ない事を確認した上で、小声で話す。「しかしなベアリウモスよ、通常のFGではもはや間に合わぬ……。そう思わぬか」

「……確かに我等だけの力ではライオン共の侵攻を食い止める事は困難かと。その為、ハイエナ王国をはじめチーター王国、サイ王国に共闘を呼びかけているのではありませんか!」

「声が大きいぞ、王宮はすぐそこじゃ気を付けろ」再び周囲を確認した後、ギュリフスが話し始める「その3国に向かった使者が、帰国後どんな仕打ちにあっているか、お前も知っておろう。我が国の外交力は低下する一方じゃ。もはや交渉に出向く者もおらん」

「そんな……では我々はこのまま滅亡を待つだけと言われるのですか!」

「……ライオン共が次に狙うはユニオンデールじゃ。策は講じてあるが、所詮それだけでは一時しのぎに過ぎぬ。そのタイミングで北方より3国がライオン国に攻め入ってくれれば、一気に形勢逆転もありうるが……そろそろ王宮じゃな、この話は終わりじゃ」


 2頭は王宮に入り早速アシモフの元に向かい、ベリウスがFGを飲み眠りに付いた事を報告した。

「そうか、目覚めるまでもうしばらくだな。ところでベアリウモス、お前には別の任務を与える」

「はっ、何なりと!」

「これからハイエナ国に出向き、我等と共にライオン共を撃ち滅ぼす話を付けて来い。奴らワシからの再三の使者に対して首を縦に振らぬ。全くハイエナ如きが調子に乗りおって!」アシモフが自らの発言で興奮し始めた。アシモフは短気で癇癪持ちだから、自らの言葉でも勝手に興奮し始める。周りはそれを感じ取り、口を噤む。結果、他の者の意見は埋没され、アシモフワンマンショーが完成する。

「私がですか……経験は御座いませんが、この命に代えましても、必ずや良い返事をもらってまいります!」ベアリウモスが戸惑いつつも、決心した表情でアシモフの言葉に従う。

「……良い返事をもらう? それではワシが頼み事をしておると、お前もそう思っているのだな? そんな態度だからハイエナ如きが調子に乗ってだ! 良く考えろ、ワシがライオン共を引き付けてやるから、その隙に攻め込んで来いとチャンスをやっておるのだ! 分かったか!!」

「はいっ……申し訳ございませんでした。ハイエナ共に良い情報を与え、貸しを1つ作りにまいります」

「そうだ、それでいい。お前は外交経験が無いからな、先ほどの件は不問に付す。初めての外交、頑張ってこいよ!」

「はっ、寛大なご処分痛み入ります。必ずや使命を果たしてまいります」

「頼んだぞ! ギュリフスお前には別の話がある」

 

 アシモフからの話はこうだ、ベリウスが目覚め次第、FGの効果を確認する事。その後、最果ての地アガラスへ護送の手はずを整える事だ。ベリウスはそこで、FGの力を持った子を産ませる為に用意したメスバッファロー達との交尾をする。その数、現時点で実に100頭で、今もまだかき集めている。

 FGの力によって、発情期や妊娠期間にも変化が起きていた。全ての動物に発情期は無くなり年中妊娠できる。妊娠期間は約10分の1まで短縮された。よって、バッファローでは1ヶ月弱で出産となる。

 この事もあって、アシモフは今回得た新たなFGによって、ライオンを押し返せると踏んでいた。FGによって新たな力を得た子が生まれ、育成する。今日から2ヵ月後には新たな戦力が完成する。今ある戦力でそこまで耐えしのげば、そこから一気に反撃が始まる。

 しかし、ギュリフスの考えは違っていた。今回得たFGが、予想通り筋力増強であった場合、全てのバッファローは既にその恩恵を受けており、効果が薄くなる事は明白だった。知力増強にしても同様だ。視力や聴力といった5感能力を高めるFGもあるが、今のバファロー国を救える物であるとは思えなかった。残された道はやはりRFGとなる。伝説によれば、炎、氷、風といった正に伝説のおとぎ話のような力が宿るらしい。

「ではアシモフ様、我等はそれぞれ任務に向かいます。必ずや使命を果たしてまいります」

「期待しておるぞ!」

こうして、ギュリフスは再びベリウス亭へ、ベアリウモスは護衛兵を連れハイエナ国に向かう事となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ