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Desire Games~天使たちの遊戯~  作者: 秋篠 深蔭
ようこそ、悪戯な天使たちのゲームへ
1/2

初めの音色

嘘つきを見つけてください

「終わったの……?」



誰の声だ


薄くジャミングがかる意識のなかで狼狽する


「ええ、仰せの通りに」


次に聞こえたのは低めの声で、どうやら二人は主従関係にあるような口振りだった


あぁ、そうか。この世界で、このゲームで主従関係があるとすれば……それは彼らしかいない


そして、自分自身も彼らを恨んでいた。憎んでいた。敬っていた。慕っていた。望んでいた。祟っていた。奉っていた。呪っていた。愛していた。



「うっ…………」


「…………どうしたの?」



呻き声を小さくあげるとその天使は俺のそばに寄って天使の微笑みで問いかけてくる


どうしたの?


ふざけるな、この惨状を招いたのはどこのどいつだ



「……安心して……私たちは貴方を助けに来たの。人間さん?」



人間に決まっている。お前たちとは違うんだ


口に出そうかとしばらく考えたが……その天使の微笑みと命の尊さにそれを閉門した


けど、別に死ぬことが怖いなんてこの世界にはない


全てはそう……天使たちが始めた悪戯なゲームなのだから



ガタン!



「!?」


「……?」


「来たか」


音律を壊すように雑音が響き、複数の足音が闇夜を掛ける


「…………この人を連れて帰るのは無理そうね……」


冷ややかな声だが、その声は癒しだった


だからこいつらには抗えない。世界でもっとも神々しく、つたない汚らわしい存在


天使は立ち上がると一歩引いた。それに入れ代わるように刃が光る



「それじゃあ……死んでみよっか?」



誰も知らない、何処かもわからない、元から存在しないその場所で



少年の姿を模した死神は無感情にその言の葉を告げた





"世界は天使たちによって支配されました"












『ようこそ悪戯遊び……ケイパーゲームへ』



お決まりの台詞に加えた明るく調整された機械音に私は閉じていた瞳を開く


面接のように向かい合わされているのは人間ではなく、ロボットでもなく、ラジオのようなスピーカーでもなく…………ただの猫のぬいぐるみだった



『此度のご参加……誠に嬉しく思います』



他のどこからでもないその猫の声


ぐったりと椅子に寄りかかるそのぬいぐるみの姿に気味の悪ささえ覚えたが…………私は知っていた。こういうゲームなんだと


聞いてるのかの確認も、私が付いてきているのかも確認せずにぬいぐるみは入力された言葉を続ける


『等ゲームは大人から子供まで……人数無制限……国問わず、愛されております。ゲームをやるにあたって規約に従っていただきます。



この規約を守れる者のみのご参加を……



1、ユーザー名は自身の名前のみ。なりすましはお控えください


2、契約できる天使は一体までとする。不適合の者の副作用については一切責任をとりません。なお、契約には対価が必要となっております


3、ゲーム内での抗争、戦争などはきちんとルールに従い行うこと


4、一部を除き、殺傷行為などは一切禁止とする


5、本ゲームへの苦情、誹謗中傷のご意見は一切禁止とされています


6、途中離脱、ログオフ、コンティニューは出来ません


7、ゲームを終わらせるにはこのゲームの真実に辿り着く、即ちコンプリートをしてください


8、リアルゲームのセーブデータの引き継ぎは出来ません


上記の8つの規約に従い……ゲームを行ってください


そして……



今この瞬間から



ニューデータが作成されました』



了承も許しも問わないその声を最後に



私の意識とデータは吸い込まれていった

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