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どうやら異世界トリップしたようです……1

前の更新から幾分か間が空いてしまいました(^ω^;)

今後の更新ものろのろしてると思いますが、よろしくお願いします。

 私はよく、「お前って無表情だよなー。しかもあんまり喋んねぇから不気味っつーか」と、兄に言われる。


 常に平常を心掛けていたつもりが、逆にそれが徒になってしまっているらしい。

 そんな私は、驚きで心臓がバクバクしている今でも無表情なのだろうか。もし兄がここにいたならば、「うわっ、お前こういう状況でも無表情なのかよ。変な奴だなー」と、言っていただろう。だが、残念ながら兄はここには居ないので、今の私の表情は目の前の男にしか分からない。


 ――今、私は図書室ではなく見知らぬ部屋に居る。

 そして、何故か見知らぬ男の膝に跨がるように乗っていた。


 これは一体どういう事なのだろう。というか、どうすればいいのだろうか。

 どうにもする事の出来ない私は、未だに固まったままの男をまじまじと見つめる事しか出来ない。男はそれに気付いたのか、先程とは打って変わって幾分か落ち着いた様子で見つめ返してきた。

 綺麗な青い目に、私の可もなく不可もない、至って平凡な顔が映る。自分で言うのも何だが、私は全てが平均的で特徴が無いのが特徴と言っていい。それが影の薄さと相まって周りに気づかれないのだから、普通というのも度を超すと不便なものだ。


 そう思いながら、どこかぼーっとして私は男を見ていた。その内沈黙に耐えられなくなったのか、無表情へと変えていた男の顔が少し険しくなる。

 私はそれを見て、ああ美形って不機嫌な顔も綺麗なんだな、なんて脳天気な事を考えていた。


 少し前まで、心臓が飛び出そうな程どうすればいいのか分からなかったはずなのに、不思議だ。兄や母が気弱な私の事をよく「冷静」と称するのも、あながち間違ってはいないのかもしれない。


「……おい」


 そんな事を考えていると、無言だった目の前の男が私に話し掛けてきた。

 透き通るようなテノールが、耳に心地良い。美貌だけでなく美声の持ち主でもあるなんて、凄いを通り越して完璧と言って良いと思う。


「何をじろじろ見ている」


 どうやら男は、顔を見られる事を不快に感じているらしい。少し、いやかなり見すぎてしまったとは思っている。どんな人間でも、自分の顔をじろじろ見られるのは少なからず嫌に思うだろう。ここは謝った方が良いのかもしれない。


「すみませんでした」


 男の膝の上から退き、男の目の前……私からは後ろ手にある、机の上に移動する。私はのそのそと正座になり、そのまま頭を下げた。両手をキッチリと揃えているので、これならどこからどう見ても立派な土下座だろう。

 家ではよく、父に対してこれをやっていた。父は、ことあるごとに兄や私に土下座を強いて、躾と言う名の調教? (兄が言っていた)をする。そのため、並大抵の人間より美しい土下座が出来ると私は自負している。

 父は、土下座とは相手への誠意の表れであり尊いものだと言っていた。父よ、私は貴方の言う通り、誠意溢れる人間になります。そして、貴方から授かったこの完璧な土下座は、きっと相手にも響き伝わる事でしょう――。


 その時何故か、笑いを堪えた顔の兄が見えた気がした。



 ――――……それから、数分が経ち。



 男は何も言わず、土下座をしているため、頭部に刺さるような視線だけしか感じない。土下座をする時は相手が許すまで決して頭を上げてはいけない、と父が言っていたが、相手が何も言わない時はどうすればいいのだろう。

 どうする事も出来ないので、とりあえずらひたすらじっと待つ事にした。

 ちなみに今、この部屋に存在する音といったら、微かな呼吸音だけ……それくらい、部屋は静かだった。


 私は、何も言わない。

 男も、何も言わなかった。

 時間だけが、ただただ過ぎていく。


「……お前は」


 どこか焦るような声で、男が喋り出す。


「お前は――――……一体、何なんだ?」


 私はそれに、答えなかった。

 いや、答えられなかった。


「足が」

「……足?」

「………………痺れた」


 男は何も、言わなかった。






ちょっと急いで書いてしまったので、おかしい所が満載です。

ちまちま改稿すると思われます。すみません(・ω・`;)


12/28 改稿しました。

後半部分を次話に変更したので短いです。



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