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第1話 国外追放、あたりで。

「イグナーツ侯爵家フィーネ。お前との婚約は解消だ!俺は愛するアルマとの間に子供ができたんでな。」

「……」


いや~そんな恥ずかしいこともっと小声で言えよ。

せめて、本人(うちの家族)呼び出して個室とかさ。



何時ものように舞踏会には父と兄と出席していた。

婚約者はいるが、この私の婚約者というのが曲者で、女の子はみんな自分に気があると信じて疑わない、ある意味素直?な、変なところが自信家?な困った人だ。

父に言わせると、何度も何度も何度も辞退したらしいが、どうしても、と陛下に頭を下げられてしぶしぶ私が婚約者となった。らしい。


そう…このブリア国の第一王子が私の婚約者なのだ。婚約者以外の女抱いてここで腰に手を当ててる奴な。


おかげで幼少期から、王妃陛下に甘やかされてふらふらしている第一王子をしり目に厳しい王妃教育をこなしてきた。もう何でも聞いて。王城のメイドのお仕着せのエプロンの値段から、今年度の国家予算まで把握してるわよ。


そう。その私の婚約者がこともあろうが公の場で、しかも国内外の要人の集まるこの秋の舞踏会の開始直後に上記のセリフを言ってのけた。ギャラリーは凍り付いている。


フォローして来たヨ。今までだってお前の的を得ない発言はたくさんあったが、今回ばっかりはフォローのしようがない。愛するアルマという赤毛の女を胸に抱き、余った右手は腰に添えて…言っちゃったなあ…



「はい。了承いたしました。私は国外に追放、あたりでよろしいですか?何か殿下のお気に障ることがあったんでしょうから。では。」



スカートをつまんで、深々と殿下とギャラリーにご挨拶をして、あんぐりと口を開けて呆れて見ていた父と兄に、

「まあ、そう言うことですので、隣国に外遊中の陛下がお戻りになる前になるべく早く家を出ます。殿下に下手な手を打たれる前に今日にでも私を除籍してください。」

そう言って、にっこり笑う。


もう、あとはスピード勝負ね。


大急ぎで家に帰って、ドレスを脱ぎ捨てて、下町散策用に持っていたリュックに当面の着替えを詰め込んで、ほどほどにお金も入れる。あまり持っていると逆に狙われるし。


ハサミを引き出しから取り出して、バッサリと長い髪を切る。


弓の練習用の胸当てを付けて、平民用の服に着替える。化粧を慌てて落とし、ぎゅっと帽子を深くかぶり、走りやすいように編み上げブーツをはく。あとは…



侍女がドアを叩くので、窓から逃走する。



やったね!自由だ!







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