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第122話 ごめん、ちょっと優しくできない

 僕は自分の部屋に入った瞬間、シャルを抱きしめたが、すぐにキスに移行したりはせずに話をしていた。


「エリア、大丈夫かな?」

「どうなんでしょう……結構精神的ダメージを負っていましたから。向こうが一度落ち着いたら、ちょっと話でもしてみようと思います」

「そうだね」


 エリアは現在、テイラー家次期当主として、今回の一件の対応に追われているらしい。

 懐いていたヘンリー先生が自分たちを罠にハメたという事実は、彼女にとって決して小さくないショックだったみたいで、昨晩以降、明らかに元気を失っていた。


「学校はどうなるんだろう? なかなか災難が続いてるけど」

「サター星人の襲来も今回のアローラさんの計画も、学校の落ち度は少ないので取り壊しまでにはならないんじゃないでしょうか。ただ、世間体のためにヘンリー先生は死刑になるでしょうね。アローラに加担した理由によっては親族は助かるかもしれませんけど」

「まあそっか……スミス家は?」

「終わりでしょうね。エリアも巻き込まれた以上、父も黙っていないでしょうし」


 それは父親として? それともテイラー家当主として——?

 頭に浮かんだ疑問を口にはしない。

 シャルにぶつけても、彼女の気分を害するだけだからね。


「そういうノア君は大丈夫なのですか?」

「ん? うん、僕は全然」


 多分シャルは、アローラがおそらく死刑になる事について言っているんだろう。


「この期に及んでまだアローラに情をかけられるほど、僕の心は広くないからね。さすがに死刑になるだろうし、まあそうだよな、としか思わないよ。むしろ、シャルとの甘々な平穏が戻ってきてホッとしてる」


 僕はシャルを抱き寄せて、頬にキスをした。


「僕の事情でいっぱい迷惑かけてごめんね、シャル」

「何を言うのですか。ノア君の事情は私の事情です。ノア君が関わっていて私に無関係な事はありません」

「……ありがとう」


 僕は背後から抱えていたシャルの脇に手を差し込んだ。

 正面から抱え直し、ぎゅっと抱きしめた。


 アイコンタクトをして唇を近づける。

 僕はあえて、触れるか触れないかの距離で顔を止めた。


 幸せそうな表情で目を閉じていたシャルは、不満げに僕を睨んだ。

 それでも動かないでいると、我慢の限界とばかりに彼女の方から食らいついてきた。


 今更な気もするけど、これだけ求めてくれているという事実にテンションが上がる。


「ごめん、シャル。ちょっと優しくできない」


 キスの合間にそれだけを告げて、僕は強引に舌をねじ込んだ。


「んんっ⁉︎」


 彼女は最初こそ驚いた様子だったが、すぐに舌を絡ませてきた。

 でも、今は主導権を握っていたい。

 僕はシャルの舌の侵入を防いだ上で、彼女の口内を蹂躙(じゅうりん)した。


 数分後、シャルはすっかりふにゃふにゃになっていた。


「シャル、大丈夫?」

「は、激しすぎますっ……!」

「あはは、ごめんごめん」


 荒い息を繰り返すシャルの頭をそっと撫でる。


「合宿中はできなかったし、ちょっと気持ちが(たかぶ)っちゃった」

「……私だって」

「ん?」

「わ、私だってノア君とい、イチャイチャしたかったですからっ!」


 シャルが頬を染めて叫ぶように言った。

 どうやら、やられてばかりだったけど自分も気持ち的には同じだったよ、と言いたいらしい。


(いじらしすぎる……!)


 たまらずシャルを抱きしめる。


「わかってるよ。だって、最初のキスはシャルからしてくれたもんね」

「あ、あれはノア君が意地悪するからっ……あっ」


 シャルがニヤリと笑った。


「意地悪……しましたね?」

「……あっ」

「意地悪をするような悪い子には、お仕置きしないといけませんね」


 シャルは語尾に音符でもついていそうな、はしゃいだ声を出した。


「あ、あの、シャルさん」

「言い訳は聞きませんよ」

「い、いや、言い訳とかじゃないんだけど……その、ちょっと今、あんまりされると危ないかも……です」


 ずっと悩まされてきたアローラの一件が落ち着いた解放感からだろうか。

 僕は自分がいつもよりハイになっているのを自覚していた。


 僕も息子も、いつもよりさらに主張が激しい。硬めの素材のズボンを履いてるから、正直痛いくらいだ。

 多分、今シャルにこれまでと同じような「お仕置き」をされたら、僕ではなく僕の愛息が反撃してしまう。


 そのリスクをオブラートに包んで伝えると、シャルは首まで真っ赤になった。


「そ、そうですかっ……」

「は、はい。なので優しめか、少し後に持ち越していただけると助かります」

「……仕方ありませんね。私の事を想ってくれているからこそですし……二回分のチケットをいただけるのなら、それで許してあげます」

「……恐れ入ります」


 回数が倍になってしまったが、こればっかりは甘んじて受け入れよう。


「その代わり、これくらいならいいですよね?」


 シャルが背中からもたれかかってくる。


「もちろん」


 僕は胡座をかいて、彼女を背後から抱きしめた。

 シャルは自身の体の前面に回された僕の腕に手を添え、にっこりと笑った。


「好きです、ノア君」

「っ……僕も好きだよ」

「ふふ、可愛い」


 不意打ちで動揺してしまった僕を見て、シャルがニヤリと笑った。

 僕は反論も反撃もせず、横を向いてふんと鼻を鳴らした。


 ……最近僕の中のマゾが育ちつつある気がするのは、きっと気のせいだよね。

 気のせいであってくれ。


 などとアホらしい事を考えてなんとか邪念を追い出すことに成功すると、途端に眠気が襲ってきた。


「ふわ……あ」

「眠いですか?」

「うん……」


 シャルの首筋に顔を埋める。

 もちろん性的興奮も掻き立てられるが、今はそれ以上に心が安らいだ。


「私も少し眠いので、二人でお昼寝しましょうか」

「うん……そうしよう」


 半ばシャルに連れられる形で、ベッドに入る。

 すぐ横に寝転がった彼女を抱きしめた。


「ふふ、甘えん坊さんですね」

「うん……好きだよ、シャル。おやすみ……」

「私も好きですよ。おやすみなさい」


 寝る前に最高の気分になりながら、僕は夢の世界へと旅立った。

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