後悔
――後悔先に立たず。
それは後悔という文字をその通りに表した言葉だ。
人生なんて後悔の繰り返しだ。あのとき、ああしていれば。いや、こうしていればと……。
しかし、ただ例外があることもある。
先日、買い物をしている時に「たぶんこれは良いものだ!」と、私はろくに吟味することもなく購入したものがあった。
私はとにかく、何か新しいものを買うとなると「これは本当に必要か? 面白いか? 良いものか?」と、満足が行くまで下調べをしてから購入することが多い。
たまに完全に衝動買いをしてしまうことがあり、その『たまに』がその買い物だった。
そんなに大きな買い物ではなく、千と数百円。ただ、財布の中が寂しくなってきた時期の千円以上の買い物は地味に考えて買わないと、後々後悔――書いていて思ったのだが『後々後悔する』というのは、どれだけ後に悔やむんだろう?――することになる。
それなのに、衝動買いした私はまだそれを扱っていないこともあり「ひょっとして、これは後悔するのでは?」と少し不安を抱えていた。
確かに、後悔は先に立たないかもしれない。しかし、後悔するかもしれない。という不安は状況によってはある。
あまりにも不安すぎて、私は思わず口の中で「後悔は先に立つこともあるんじゃないか? これでは先悔じゃないか」と言ってしまった。
先悔――地味に語感がかっこいい。まるで一瞬の煌めきのようだ。もしくは、先に行ってそうである。
……それはともかく、確かに後悔は結局のところ後から来るもので、あくまでも予感や不安でしかない場合は、まだ悔いていないというのは事実で、実際にその商品を扱った感想としては「いい買い物をした」である。
後悔は無く、むしろ良かったと思っている。
つまり、時には直感に従った衝動買いも悪くはないということだ。
買い物中に、後悔しそうだと思っていたので、後悔したらその気持ちを文章にぶつけようと思っていたのに、結局後悔しなかったのが逆に悔しかったので書きました。
――あれ? 悔しいってことは後悔してない?