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レンくんのターンです
「おかえり」
ああ、やっとこの手に本物の彼女が返ってきた。
レンは腕の中で泣きじゃくるアリスを力いっぱい抱きしめた。彼女の髪に頬擦りして、肺いっぱいに懐かしい匂いを吸い込む。
あの日、あの時、あの場所で処刑され彼女が、首を落とされた瞬間からずっと求めてきたモノがようやく手に入った。血の海に沈み色を無くした硝子玉が、今ではこんなにも感情豊かに揺れている。それだけで今までの苦労は全て泡となって消えていく。
自分をおいて勝手に死んだアリスへの憎悪も苦痛も、触れられた場所からじわじわと身体から抜け出して空気に溶けていく。浄化されていくようだと思った。
柔らかく髪を梳く。甘い匂いも温かな手触りも、昨日梳いた髪と何ら変わらないはずなのに今日は随分と満たされた。
やはりあれらでは駄目だったのだ。
レンは嗚咽の酷くなった小さな背中を摩りながらほくそ笑む。
どれだけ過去に戻ろうとも己と時を同じくしたのはこのアリスだけ。だからそう、最初からこのアリスと一緒でなければ駄目だったのだ。
「アリス、アリス、俺の俺だけのアリス」
今度はどこに行くのも一緒だよ。
遅くなりました:( ;˙꒳˙;):
10分後に続きを投稿します!