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残りの紅茶を一気に胃へと流し込んだアリスは、行儀が悪いとケチをつける弟のトマを無視し席を立った。部屋に戻ると早々に服を脱ぎ捨てる。クローゼットの中に頭を突っ込み、奥に隠してあった村娘が着るような簡素な服を引っ張り出す。慣れた動作で袖を通し、僅かな路銀をポケットに押し込むと部屋を飛び出した。


「お嬢さまどちらにおでかけ……!?」

「そのお召し物はどうなさったのですか!?」

「いけません!すぐに着替えを!」

「結構よ。仕事に戻りなさい」

「ですが!」

「二度は言わない」

「――――っ!」


あの日々が夢ではなかったと確信したいま、なによりも優先するのは今日中にレンに会うことだ。

謝罪して命乞いをしようとか、婚約破棄や勘当を阻止するためとか、そんな邪な理由ではない。純粋に喧嘩したことを謝罪できるのが今日しかないからだ。

投獄されるのは12月の末だが、お茶会の準備を「未来の妃だから~」という謎の理由で生徒会から押し付けられ月曜日から忙しくて身動きが取れなくなる。

お茶会の後なら時間はたっぷりとあるのだが、未遂とはいえエマを毒殺しようとした犯人としてキースが監視を寄越す。そうなればレンには会いに行けない。

勘当されれば監視は消え家からも解放されるが、それではまるで追い出されたからレンに縋ろうとしているようにしか見えない。

つまり裏表なく謝罪するには今日しかないのだ。


(確執が残ったまま2度も死ぬなんて冗談じゃありませんわ! 誰がなんと言おうとも絶対にレンに謝罪しませんと!)


前回は喧嘩した後ろめたさや、面倒ごとが重なって結果的に最後まで謝罪は出来なかった。明日行こう、明後日こそ必ず。そう延ばし続けて死んでしまったことを、アリスは今でも後悔している。だからこそ、この絶好のチャンスを逃すわけには行かなかった。


(絶対にあなたに会いに行く、例え許してくれなくても)


謝って許されて、もしまだ彼にその気があるのならその時は。今度は自分から旅行を提案しようと胸に誓いアリスは馬小屋に直行した。






キリが悪いので短いです!

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