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あなたと別れるところまで  作者: オレンジ
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あなたと別れるところまで

3月3日


光穂の38歳の誕生日だった。

54階のイタリアンレストランに夫の衛まもるといる。


ワイングラスにスパークリングワインが注がれる。


「誕生日おめでとう」

衛が言って、光穂はありがとうと言ってグラスを乾杯した。



周りのお客さんはカップルがほとんどで、皆きれい目の格好をして笑顔で会話をしている。


「光穂は誕生日プレゼント何が欲しいか決まった?」



「うん、そうね、最近物欲があまりなくて、ゆっくり旅行でも行きたいかなぁ、温泉とか。」



「旅行かぁ、最近行ってないし、暑くなりすぎる前に温泉旅行でも行こうか」



どこがいいかなぁ、楽しみだなぁと衛は食事を食べながら嬉しそうな顔をしていた。





私たちは結婚して3年目。

4月12日に入籍をした。

4月12日は良い日だよね、と語呂が良い桜の咲く季節に入籍届けを出した。



非日常的なレストランでの誕生日記念日。


でもフツウ、、、光穂が化粧室に映る自分に呟いた。


光穂はイタリアンレストランにいた化粧室にいた。


イタリアンは美味しいけれど、共働きな夫婦はいくらだって、女友達とイタリアンくらい月に何回も行けている。

今日だって、美味しいし女友達よりも高めのイタリアンに舌鼓をして美味しかったはず。


ねぇ、私の想像していた未来はこれ?




化粧室から大きな音でバタンとして、幼稚園児くらいの子どもが出てきた。そのあとにお母さんらしき人が子どもを追う。ちゃんと手を洗いなさい。と手洗い場所に促された。



光穂は立ちくらみになりそうだった。

お母さんと子どもの姿を見ると、光穂はたまに意識が遠のく。



親子がバタバタとしながら化粧室を後にして出て行った。


光穂は目の前の鏡を見て、口角をあげてみせた。

数秒の間、一粒の涙が流れた。

指でさっと拭いて、光穂は目を開いてうなずいた。


誕生日、記念日、夫とは平穏に過ごしていた。だが光穂と衛の関係はセックスレスだった。



「遅かったけど大丈夫?」

衛が心配そうな顔をしている。


「うん、大丈夫」


「ねえ、久しぶりにカラオケいかない?」


「カラオケ?だいぶ一緒に行ってないね、行こうか」




光穂と衛はカラオケに行った。


ねえねぇ、付き合っていたときにこの曲歌ったよね、

衛、この曲歌って、懐かしい、私この曲大好き。


光穂は酔いも回って、衛の腕に触りまくっていた。



光穂は飲み過ぎてカラオケで寝てしまっていた。

衛の声が聞こえる。



大丈夫か?



ねぇ、衛、これからホテル行かない?



えぇ、明日仕事だぞ、、、



そうか、そうよね。



光穂はテーブルに残っていたサワーを飲み干した。



私先に帰るね、とバッグと上着を取って、


衛を残して出て行った。





先に帰ると言えども、光穂は公園のベンチにいた。


私の誘い方が下手なの、、、もう夫とは2年半レス。












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