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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである
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新入りではない

 ………なにこの隠し空間。


 飲み屋につれていかれたかと思ったら、更に奥の部屋の棚を退かすと扉があって、そこを潜ったら階段を見つけ、そこを下った先に部屋があった。

 その扉を守る門番らしき人が話し掛けてきた。


「新入りか?」

「おー。兵士に石投げつけた命知らずだ」

「帰る家がないんだとさ」

「しかも友達が勇者にされたんだと」


 俺がいつ新入りになると言った。


「そりゃー、お気の毒様だな。しかし兵士に石投げつけたって噂は俺も聞いたぜ。外れ者同士仲良くしようや」

「……………うい」


 もういいや。どうせお世話になるのは今夜だけだ。


 門番が扉をあけて中に入ると、見るからにガラの悪い奴ばっかり。

 かえりたーい!かえりたーい!もうおうちにかえりたーい!


「今日一番街の話題を独り占めした新入りだ!!」

「新入りじゃな「「おおおーーー!!!」」

「存分に祝えーーー!!!」

「だか「「おおおーーー!!!」」


 聞いてくれない!!


「おい坊主!!名前は何て言うんだ!?」

「小野寺朝陽、です」

「オノディラ・アスァヒ?変わった名前だな。ディラでいいか?」

「よくな「良いな呼びやすくて!」

「ディラ!これからよろしくな!!」

「…もうディラでいいです…」


 ティラノサウルスでもなんでもいいよもぉ。


「そーら飲め飲めー!!」

「未成年!!俺未成年!!」

「はぁ?ディラお前15歳以下か?」

「いえ、17です」


 もうすぐ18。


「飲めんじゃないか!!飲めやオラ!!」


 これが例のパワハラというやつッ!?


 ガボガボ飲まされて目が回る。

 気持ち悪い。


「うぶっ」

「おいおいこんなところで吐くな!」

「バケツ持ってこい!」

「オロロロロロ」

「うわぁやりやがった…」

「下戸だなコイツ」

「混ぜ物なんか飲ますからだ。大丈夫か?」


 誰かが背中を擦ってくれているがいるが、気持ち悪すぎて顔が確認できない。


「もっと考えて渡せ」

「スンマセン」

「ほら、立てるか?」


 自力で立てない。むりむり。


 そう主張したら誰かがしょうがないと俺のこと担ぎ上げた。

スッゲー力持ち。


「コイツ連れてくから、お前らは片付けておけ」

「へーい…」


 手足ブラブラ。頭がぐるぐる。

 そんな感じで何処かに連れていかれ、目の前に木のコップが差し出された。

 これは酒?水?


「水だ。飲みな」

「助かります…」


 水がめっちゃ美味く感じた。


「今日ははもう寝ろ。明日から仕事を教えてやる」


 水を飲み終え、何処かの部屋に連れていかれると、俺は吸い込まれるようにベッドへと潜り込み眠りについたのだった。











 目が覚めた。


「暗い」


 あれ?俺昨日何してたっけ?

 ていうか、頭いったっ!

 ぐわんぐわんする。


「ガーーー、グオオオオオ!」

「んごおおおお!!」

「…………」


 けたたましいイビキに釣られ周りを見ると、酒臭い男どもが雑魚寝していた。


 甦る昨日の地獄。


「思い出した」


 どうする?逃げるか?

 でも逃げるったって何処へ?


「……………。取り敢えず教会とやらを探そう」


 もしかしたら功太も運良く逃げられていれば出会えるかもしれない。


 そろりそろりと、誰も踏まないように扉までやってきて、扉に凭れて寝ている奴をゆっくりずらして部屋を出た。


「う…、さむ…」


 室内なのになんだこの寒さ。

 腕をさすりながら手口を探していると。


「おい、ディラ。そんな格好でどこにいく」

「!!!?」


 突然声をかけられた。

 誰もいないと思っていたのに、横の通路に居たーー!!!


「あ」


 昨日の俺を運んでくれた人だ。


「もう動けるのか。下戸の癖に」

「吐いたからですかねぇー?」


 頭痛いけど動けないほどではない。


 というか、こんな感じの人だったのか。

 どっかの芸能人みたいな。


「臭い」

「え“ッ!?」


 匂うか?

 ああ分かった。部屋が酒臭かったから…、って違うゲロ臭いのか!

 吐いたよ昨日!!


「服を出してやる。着いてこい」

「は、はい」


 言われた通りに着いていくと、とっても豪華な部屋に連れていかれた。


 なにこの部屋。

 金持ちの応接間ですか?


「そら、着替えろ」


 服を投げ寄越された。


 広げてみると、皆が着ているような服。


「ありがとうございます」


 着替えるとぴったりだった。


「その服を寄越せ」

「え、はいどうぞ」


 出された手に着替えた服を渡すと、そのまま暖炉にボーン!!!

 炎に包まれた服はメラメラと燃え上がる。


「ええええええ!?なにしてるんすか!!!?」

「汚ぇし、もう着ないだろ」

「確認されてない…!!」

「うっせえ、もう燃やしたわ。ほら早く皆を起こしてこい!!仕事しろ新入り!!!」

「は、はいいい!!!」


 言われるがままに部屋を飛び出し、寝こけている皆を起こしにいった。






 このあと判明するのだが、介抱してくれたこの人。

 バルバロはここのアジトのボスであった。






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