【コント】ヒロイン喫茶
場所……喫茶店「ヒロイン喫茶」
役……男性店員＝ボケ 男性客＝ツッコミ
客「お。こんなところに喫茶店がある。入ってみよう」
客、喫茶店に入る。
からんからんとカウベルの音がする。
店員「いらっしゃいませ」
客「席空いてますか？」
店員「ただいま混みあっておりまして、カウンター席のご案内になります。お太り様ですか？」
客「お一人様ね。なんだお太り様って」
店員「失礼しました。独り身様ですね」
客「本当に失礼だぞ。悪かったな、独身で」
店員「ご案内します。こちらへどうぞ」
客、案内されたカウンター席に座る。
店員「おきゃクソ……」
客「違う、クソじゃない。お客サマ」
店員「お客様」
客「君、さっきから悪意ある言い間違いが多いから気をつけてね？」
店員「お客様も夜道には気をつけてくださいね」
客「襲う気なの!? いいからちゃんと接客してくんない？」
店員「失礼しました。お客様、当店のご利用は初めてですか？」
客「はい。初めてです」
店員「当店は『ヒロイン喫茶』といいまして、通常のメニュー以外に属性もお選びいただけます」
客「属性って何？」
店員「我々従業員は、お客様の選択した属性を持つキャラクターになりきって接客いたします。ドジっ子やヤンデレなど、様々なヒロインをお選びいただけます」
客「え、何それ面白そう！ じゃあ、コーヒーください。属性はツンデレで！」
店員「かしこまりました」
店員、コーヒーを淹れる。
店員「待たせたわね（ダンディーな声で）」
客「あ、君がやるの!? 女性従業員ではなく!?」
店員「安心してください。心は乙女ですから」
客「むしろ不安だよ……その声、ノイズなんだけど。せめて高めの声でやってくれない？」
店員「勘違いしないでよね！ あんたのことなんて全然好きじゃないんだからね！」
客「おおっ。ちょっと良くなったじゃん」
店員「勘違いしないでよね！ あたしは従業員じゃないんだからね！」
客「じゃあ誰なんだよ！ 店の制服着て従業員じゃないって頭おかしいだろ！」
店員「勘違いしないでよね！ これは私服なんだからね！」
客「どういう私服のセンス!? 冗談はいいから、早くコーヒーちょうだいよ」
店員「（間を置かずにコーヒーを渡す）勘違いしないでよね！ あんたのためにコーヒーを淹れたんじゃないんだからね！ これはあちらのお客様のコーヒーなんだから！」
客「ただの接客ミスじゃねーか！」
店員「３０分待たせてるんだからね！」
客「冷めてるだろ、それ！ 淹れなおせ！」
店員「謝ってくるんだからね！」
客「早く行ってこい！ ったく、接客めちゃくちゃだな、この店……」
店員、一度退場して再び戻ってくる。
客「お、来た来た」
店員「お待たせ！ ご注文の素うどんなんだからね！」
客「頼んでねぇよ！ なんで喫茶店にうどんあるんだよ……すみません、属性って変更できます？」
店員「できるんだからね！ ぷんぷん！」
客「君、絶対ツンデレ知らないだろ。そうだなぁ……じゃあ『妹』で」
店員「お兄ちゃん、だーいすき！（ダンディーな声）」
客「だから声！ 妹なんだから、もっと幼く！」
店員「お兄ちゃん、だーいすき！」
客「おおっ、いいね！」
店員「お兄ちゃん。平日の昼間から喫茶店なんていいご身分だね。無職なの？」
客「無邪気な笑顔とは裏腹に言葉が辛辣っ！」
店員「すみません。ドＳ属性もブレンドしてしまいました。コーヒーだけに……ぷっ！ ははははっ！」
客「自分で言ってツボに入るな！ ちゃんとやれ！」
店員「お兄ちゃん、今日はお休みなの？」
客「うん、そうだよ。お兄ちゃんは平日休みなんだ」
店員「ふぅん。せっかくのお休みなんだから、女の子誘ってデートでもしなよ……あっ。誘う相手いないかｗｗ サーセンｗｗｗ」
客「ムカつく妹だな！ もう少し兄を慕え！」
店員「とかいって、本当は妹に罵られて興奮しているんでしょう？ この豚野郎！」
客「なんでさっきからドＳ属性いれたがるの!? もういい。早くコーヒー持ってこい」
店員「欲しがりな豚だこと。いいわ、コーヒーね。サイズはもちろんＭ。マゾ野郎のあなたにお似合いだわ、このドスケベ軍曹！」
客「誰がドスケベ軍曹だ！」
店員「物欲しそうなオスの顔をして……まぁいやらしい！ 正直にコーヒーが欲しいと言いなさい！」
客「言ってるよ、さっきから！」
店員「よく言えたわね。ご褒美にカフェラテを淹れてあげるわ！」
客「なんで!? コーヒー淹れろよ！」
店員「聞こえないわね」
客「は？」
店員「何をしてほしいか大声で言いなさい」
客「コーヒーを淹れろ！」
店員「（耳に手を添えて）ぱーどぅん？」
客「絶対聞こえてるだろ！ コーヒーを！ い・れ・ろ！」
店員「この私に、いれろだなんて……欲しがり過ぎよ、この歩くわいせつ物が！」
客「なんだこの接客システム！ どうすればコーヒー飲めるの!?」
店員「ふん。お待ちかねのコーヒーよ」
客「やっときた……あれ？ このコーヒーに入ってる白いの何？」
店員「素うどんなんだからね！」
客「もう帰るー！」
おわり
