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9.宣言の後に  -ジェントーレ皇子side-

前話の【 8.せんげん と いちばんのいみ 】を、今回の投稿内容に合わせて 本日9/27 15:30前後に 加筆修正させていただきました。

申し訳ございません。


大筋は変わっておりませんが、もし可能でしたら 前話から読み直していただけると助かります。

何故(なにゆえ) あのように早急に皆の前で宣言した!! ちゃんと申してあったであろうが!!

 フェルチェ家の令嬢で ほぼ決まってはいるが、まだ時期尚早で 見極めねばならん。と。

 第二皇子も生まれ、貴族たちの動向も安定していない今 そなたの婚約者を決めてしまうと困るのだ。だから ・・・


 皇帝陛下の説教が続く中、ジェントーレ殿下は 今日の茶会を振り返っていた。



『 第一皇子殿下、皇后陛下の御着きです。 』


 (みな)が一斉に 礼を取ろうとしたところを、母である皇后陛下が止めた。

 あー これから、つまらない時間が続きそうだ。面倒くさいなー。

 そう思いながらも、物心つく前からの教育の賜で 皇太子然とした微笑みを貼り付けて 茶会に参加した。


 母上が離れた後 直ぐに近づいてくる者、距離を置いて観察している者、隠しているつもりがあるのか知らないが 嫌そうな顔をする者、(みな)(みな) 俺を不快にさせる顔でしかない。

 好きで第一皇子に生まれたわけではないが、恵まれた生活環境と引き換えに 果てしない義務がある。

 権利もあると思われているが、それを使った時点で 反動がくることも 理解していた。

 5歳にして、既に 諦めていた。いや、諦めたのは もう思い出せないくらい創め(はじめ)のころだったろう。


 今回の茶会も、第一皇子として 卒なくこなすつもりでいた。

 だが、俺も まだまだ未熟だったということだ。早い時点で、限界がきてしまった。

 直ぐに近づいてきた 馬鹿そうな子どもたち。将来 仕える相手である俺に対して、堂々と無視を決め込む 多少は使えそうな子息たち。

 そして、何を勘違いしているんだか ガキのくせに 強い香水を撒き散らし 俺に触ってくる女豹ども。

 自分の仮面が剥がれそうになったのは 初めてだった。

 これは、さすがにマズい!!

 なんとか残っていた理性で 今まで向けていなかった方向へ目を逸らした時、遠くに黒く光るものが 視界に入った。


 最初に浮かんだ言葉は、“綺麗だ!” その一言に尽きた。

 キラキラ光るそれを よく見てみたくて、茶会の中を進みながら 目指していった。

 今 思い返してみても おもい出せないのが怖いが、ギリギリでも 不自然でない行動に見えていたと信じたい。


 近づくにつれ、その黒く光り輝くものは とても幼い子どもの髪の毛で、その子は 一所懸命に 目の前の女の子に話しかけているのが判った。


 その 黒髪の女の子の顔が、想像出来なかった。だから 見てみたかった。そして たぶん俺は 幻滅したかったんだ。

 彼女の魅力は その黒髪だけで充分だ。それ以上のものを 俺は欲していなかった。

 だから、話しかけた。

 振り返って 俺を見た時の 彼女の顔を、表情を、態度を、見下げる為に。


 我ながら 最悪の性格だ。いくら心が蝕まれていたとはいえ、皇族としてどころか 人としてあるまじき思考だ。


 だが、振り返ったガルデニアに そんな俺の思考は霧散した。

 いや、違うな。消えたのではなく、元から無かったようになっていたんだ。


 白というよりも透明という色が合いそうな 清らかな肌に、赤ちゃんのようなぷっくりした頬っぺた、形は小さいのに柔らかそうな薄桃色の唇、そして 自分の語彙力のなさを痛感してしまうほど 色の深さに吸い込まれてしまう 濃い翠色の目に 一瞬 時が止まってしまった。

 美しい。

 まだ幼さの残る顔立ちなのに、確実に 神秘的な美しさで 綺麗になっていくのが想像できた。


 顔立ちだけでなく、口調にも幼さが残るにも係わらず 振る舞いは 一流の貴婦人だった。


 しかも なんと彼女がフェルチェ家の令嬢だったのだ。

 父上と母上から 自分たちがどれだけ苦労して茶会に呼んだかを力説し、将来の伴侶になるが 表向きは 公爵家への信頼としてだけ 友好を深めておくように指示されていた令嬢だった。

 どうせ筆頭公爵家の娘、我儘放題で あの女豹たちと変わらないだろう。否、それ以上か。と すっかり忘れていたくらいだ。


 彼女が欲しい。もう ガルデニアしか要らない!!

 ただそれだけを思って、行動した。

 3歳の女の子に、騙し討ちのような方法もとったのは自覚しているが 後悔はない。

 父上たちへの ずる賢い交渉も、ましてや あの場にいた 他の者への配慮など 気にするつもりもない。


 あの後、茶会がお開きとなり 彼女が帰るまで、手を離さず語り そして ()で続けた。

 これから 何を措いても、彼女との時間を優先しよう。

 ただし、今まで以上に 未来の皇太子としての期待も義務も果たさねばならない。でなければ、彼女を伴侶にする権利を失ってしまうだろう。


「  ・・・ ・・・


 ああ、未だ 父上は 俺に言っていたのか。あまりに怒り過ぎて 倒れなければ良いが・・・


 なんだか だんだん、俺の方が 頭が重くなってきた。

 今まで卒なくこなしてきただけに、今日の茶会の疲労と 彼女と出会った衝撃は 少なからず 俺を疲れさせたんだろうなー ・・・





 ?! !! ぉぃ ...

やはりストックが無いと 修正が増えてしまうので、今週末も 投稿はお休みさせていただきます。申し訳ございません。


読んでいただいている方には、本当に感謝しかないです。ありがとうございます。

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