7.いちばんのおともだち
「ありがとう。ガルデニア嬢 これからずっと仲良くしようね。」
そう言って、ジェントーレ殿下は キラキラしい微笑みをお見せになりました。
それを 遠巻きにご覧になっていたご令嬢たちや、隣にいるにもかかわらず 邪魔ができずにイライラしていたご令嬢方から、キャーーー と キィィーーーが聞こえてきました。
なんとかしなくては!!
と思った三令嬢でしたが、何故か 同じような思考回路のようです。
『※たかが公爵家のくせに、一番子どもだからって甘やかされて。これだから 高貴じゃない家はダメね。』
『そうよ。可哀想なお子ちゃまのお友達になってあげただけよ。』
『公爵家ですものね。一応は 顔をたててあげないといけないんですわね。』
『『『まぁ、(私)私のライバルじゃない(し!)ですわ。』』』
眉間にしわを寄せた顔から 嫌な笑顔を浮かべるところまで、三つ子のようにシンクロしていました。
それを、遠巻きながら しっかりとご令息やご令嬢たちに見られているとも知らずに。
そんなことをしている最中、実は こんな会話がされていました。
「でんか、ありがとうございました。では、わたしは ほかのかたのところにいってみます。」
と言って、ガルデニアは ジェントーレ殿下が軽く握っていた手から 自分の手を抜こうとしました。
ですが すかさず、もう少し力を入れて握り直され
「どうして 一人で行こうとするの? 勿論、一緒に行くよ。」
「でも、でんかは そちらのごれいじょうたちとおはなししているのでしょう?」
「大丈夫。彼女たちからは、もう十二分に話しかけられたから問題ないよ。」
「じゅうにぶん?」
「十分よりも もっといっぱい。てことだよ。」
「そうなんですか。それならよかったです。」
「じゃあ、今のうちに ここを離れよう。」
そう言って、動きだそうとした時です。なんだか庭園の入り口の方が騒がしくなりました。
何かあったのでしょうか。気になります。
「皆、楽しんでいるかな?」
なんと、皇帝陛下がいらっしゃったようです。
またしても、皆が一斉に 最上級の礼を取ろうとした瞬間
「今は 忍びだ。そのままでいてくれ。」
と仰せになり
大人たちは軽く礼をとって -仰せのままに- との意思表示をしました。
堂々と入ってきて、皆に話しかけておいて 何故 “御忍び” なのでしょう?解りません。
「ちょうど良かった。陛下たちにお知らせしにいこう。」
ジェントーレ殿下がおっしゃっいました。
「おしらせ?」
ガルデニアには 何の話をしているのか全く分かりません。
「そうだよ。一番のお友達になったんだから、両陛下と他の方たちにも 宣言して 教えてあげなきゃ。」
「おともだちになると せんげん?しなきゃいけないのですか!?」
「うーん。宣言しなくても大丈夫なんだけどね。私は皇子だから、言っておいた方がいいんだよ。それに・・・」
「それに?」
「宣言した方が、あっという間に おともだち ができるよ。」
「そうなんですか!! します。します。わたしも せんげんします。」
「良かった。じゃあ 陛下たちのところへ行こうね。」
そう言って、ガルデニアの右手を握ったまま 大人たちが集まっているところまでエスコートしていきます。
ジェントーレ殿下とガルデニアが歩いてくるのを、皇帝陛下と皇后陛下 そして ガルデニアの母親であるフェルチェ公爵婦人は 気付いたようです。
あれ?
気付いたように見えたのですが、皇帝陛下は 侍従に合図を送り 急に立ち上がりました。
そして
「さてと、急に邪魔をしてすまなかった。皆 そのまま楽しんでいってくれ。私は そろそろ戻らなければならない。
皇后よ。申し訳ないが、少し付き合ってくれないか。」
「畏まりました。
皆様、申し訳ございませんが 少し席を外させていただきますわね。」
そう言って、二人で不自然なほど急いで退出しようとしています。今度こそ、何かあったのでしょうか?
ところが
「お待ちください。皇帝陛下。」
と、不敬にも 呼び止める声がしたのでした。
※あくまで世間を知らない、自分が一番の伯爵令嬢の考えです。
爵位は
公・侯・伯・子・男 爵で 設定しています。