6.はじめまして 2
「はじめまして。」
これから もっとティミーデ様とお話をしようとしていたら、後ろから 声が聞こえてきました。近くでお話されている方たちの声が漏れ届いたようです。
ですが、先程までずっと うつむき加減で お母様のドレスから手を離さなかったティミーデ様が、これでもか!! というくらい目を見開いて ガルデニアの後ろを見ていました。
不思議に思って振り返ったガルデニアの目の前には、男の子が立っていました。
みたことあるような きがする。どこであったかな?
と思ったガルデニアですが、『はじめまして。』と言われています。なので初対面です。
う~ん。。。 どこであったのでしょう?
「改めて。初めまして、ジェントーレ=ルナルコバリです。」
ルナルコバリ? ルナルコバリ? ルナルコバリとは このくにのおなまえです。
わたし、3さいですが ちゃんとおべんきょうしてるんです。おりこうさんです。
あー!
どこかで あったのではなく、さっき こうごうへいかといっしょにいらした おうじでんかでした。みたことあったのは、さきほどだったのです。
ガルデニアは、後ろへ振り返ってみると
ティミーデさまも ティミーデさまのおかあさまのソリータはくしゃくふじんも おめめをおっきくしてうごかないです。
それに わたしは こうしゃくれいじょうだから、さきに あいさつをしてもだいじょうぶです。
わたし、がんばります。
「おこえがけしてくださってありがとうございます。はじめまして。フェルチェこうしゃくのむすめ ガルデニアともうします。」
そう言って、今日一番のカーテシーを披露します。
やっぱり本番に強い子です。ギャラリーが居れば居るほど 燃える子です。
「ご挨拶が遅くなって申し訳ございません。ソリータ伯爵の妻 コモーネと申します。」
「娘 ティミーデと申します。」
ぎこちなくですが、ティミーデ嬢もお母様のドレスから少し離れて カーテシーをします。
なんとか御挨拶を終えたソリータ伯爵夫人とティミーデ嬢ですが 殿下に付いてきていた方々の雰囲気におされてか 気付いた時には 移動されていました。
ガルデニアは、ジェントーレ殿下とご令嬢たちに 対面する形で会話をすることになりました。
と言っても、ジェントーレ殿下がお話しすると 周りのご令嬢が答えて殿下に話しかけるので ガルデニアが居る必要はない感じです。
これは・・・
ご令息方がいらっしゃらないので、先程より少ない人数ですが、やはり相手にされないようです。
こんなところでは お友達は出来ません。
ティミーデ嬢と 良い感じだったので、非常に残念です。
やっぱり、一人ずつの方が お友達づくりは 捗りそうです。
そうと決まれば 長居は無用です。
ただし、ジェントーレ殿下は ガルデニアを気にしてくれているようなので、ちゃんとお断りをいれなくてはいけません。
その後で、お話しをしてくれそうな人を探しにいきましょう。
さすがは 将来の皇太子です。小さき者を 気にかけているのでしょう。
「で「ねぇ ガルデニア嬢。今日はどうして、このお茶会に出席したの?」
退席をお願いしようとしたら、発言する瞬間に 話しかけられてしまいました。
と同時に、右手をとられ 首を傾げて、他が誤解(?)して答えたりしないように 目線をしっかり合わせて ガルデニアだけに質問しました。
かいわが いっしょになっちゃった。でんかのじゃまをするなんて、はずかしいです。
「おちゃかいは、おともだちをつくるところだとおしえてもらったので たのしみにして きました。」
「でし「そうなんだ。それは良かった。ところで、お友達は出来たの?」
あれ?
こんどは、いま あのごれいじょうがおはなししようとするのと、でんかが いっしょになった?
「ちょ「ねぇ、ガルデニア。それで、お友達は もうできた?」
あれ? やっぱりいま ごれいじょうが...もしかして でんか じゃましてる???
でも、そんなことするひつようないから きのせいですね。
「それが まだ どなたともおともだちになれていなくて、これから がんばろうとおもっているところです。
なので「では ガルデニア嬢。私とお友達になってもらえませんか。」
ぇ?
「ガルデニア嬢の 初めてのお友達で、一番親しい 一番のお友達になってくれませんか?」
そう言って、ジェントーレ殿下は もっと顔を近づけて 話しかけてきました。
「おともだちに、いちばんや にばんという じゅんばんがあるんですか!? しりませんでした。」
皇子殿下は ガルデニアの右手を持ったまま跪き
「いいえ。お友達に順番はありませんよ。でも、一番だけは特別です。初めての友達になることと、その特別の一番の友達になる栄誉を どうか私に くださいませんか。」
と言いました。
ガルデニアは お友達20人をつくらないといけません。
その為には 早く最初のお友達をつくらないと、次のお友達づくりに行けないのです。
ですので、それが解っているお利口さんなガルデニアは 即答しました。
「はい。おうじでんかと はじめてのおともだちになります。」