15.動き出す
前話までの題名に全て
〇〇.
と 題名の前に番号を入れさせていただいた為、更新時間が変更されています。
投稿初心者とはいえ、後手後手になってしまい 申し訳ございません。
怒涛のお茶会から、生活が激変する! 色々と準備をしなくては。と思っていた フェルチェ公爵邸の面々ですが、気付くと 何の変化もなく 一ヶ月が過ぎようとしていました。
宰相であるフェルチェ公爵も 毎日変わらず 登城していましたが、やはり 毎日変わらず 業務に追われ 日々を過ごしておりました。
フェルチェ公爵は、唯一の宰相です。官吏の最高位なのです。
ですから、どうしても宰相自身が皇帝に報告をしなければならない事案の時には、目力たっぷりで報告をして 速やかに退室していました。
はっきりいって、他の人間がすれば 不敬罪に問われる行動ですが・・・ そこは幼馴染の間柄で、空気となる職種の人しか居ない場での行動ですので問題になりませんでした。
それでも 許されることなのか疑問ではありますが まかり通っておりました。
そうです。アルグーア=フェルチェ公爵と デジォーネ=テンペシー=ルナルコバリ皇帝は、幼馴染の いわゆる悪友です。『アル』『デジオ』と 幼き頃より呼び合い、良い事も悪い事も 一緒に学んで 習ってきた仲なのです。
ですから、宰相のアルが どんなに目力を発揮しようとも 悪友のデジオが 言いたいことを言わずに我慢するはずがないのです。それなのに、皇帝は 一月近く 子ども達のことについて 何も言わず 呼び止めもしなかったのでした。
自分に内緒にして 前日に茶会に招待していたことも 茶会での殿下の発言も 気に入らない公爵は、怒っている自分に対して 皇帝も機嫌を損ねているのだろう。と勝手に解釈していたのでした。
公爵邸でも、当主が怒っているので 皆 水面下では いつでも対応できるように準備をしておりましたが、敢えて 皇子殿下の話題は出さずにおりました。
公爵夫人のオルキディアでさえ、娘と自分のドレスを いつもより豪華なものを一着ずつ オーダーしましたが、それ以外は 何事もなかったように過ごしておりました。ただ 必要になる時期が判らないので、ガルデニアのドレスは 少し大きめに作って 必要に応じて詰められるようにしてあります。子どもの成長は早いですし、豪華なドレスを作ってもらうには 急いでもらっても数週間かかります。同時に二着となると 間に合わない可能性もあります。
そんな中でも 公爵夫人ですので 出席を予定していたお茶会もありましたが、あの御茶会の話題が出そうになると 妖精の微笑みでかわし続け、噂もほとんど囁かれなくなってきたようでした。
そうすることで、自分の娘を皇太子妃に!! と熱望している貴族たちは また、次の御茶会に向けて 希望を見出すのでした。
実は 皇帝の方も 通常とは様子が違いました。
宰相であるフェルチェ公爵が どうしても外せない報告をしている時、 最初の二週間くらいは どこか心ここにあらずで報告を聞いていました。その後は、いつも以上に難しい顔をして 必要以上には言葉を発せず 対応していました。
そんな友のことを 常ならば気付いたはずの宰相ですが、溺愛している愛娘のことで頭がいっぱいで 失念していたのでした。
天災は忘れた頃にやってくる。といいますが、忘れたいことほど、忘れかけた時にやってくるのでしょうか。
皇帝陛下より、フェルチェ公爵に呼び出しがかかりました。予定のない呼び出しに、大事があったのかと 急ぎ 皇帝の私室に向かいました。
呼ばれたのが私室であった為、殊更 焦っていた公爵でした。
扉の前にいる騎士と目が合うと、心得ていた騎士は 扉をノックし
「宰相のフェルチェ公爵が おみえになりました。」
と告げました。
しばらくすると、中から別の騎士が扉を開けて現れ
「皇帝陛下がお待ちです。」
と 一歩下がって礼をしながら伝えてくれました。
公爵が 私室に入った瞬間、
「皆下がってよい。」
と仰り、給仕中の侍女一人を残して 部屋を出ていきました。その侍女も、お茶の準備が終わると 皇帝に合図され 退室していきました。
あまりにもあっさりと全員退室したので、事前に承諾させていたのでしょう。でなければ、帝国の皇帝陛下に ティーセットの残りを託して 全員退室するはずがありません。
やられた! と、公爵は すっかり気を抜いていた自分を殴りたくなりました。
「アル。急に呼んですまん。」
いきなり 皇帝が謝りました。とても くだけた雰囲気です。
「いきなり呼んで、いきなりそんな風か!」
公爵も そう言って、座っていたソファの背もたれに背中を預け 勧められる前に カップに入ったお茶を飲みます。マナーはどこへ?
「で? デジオ。いったい何の用だ。」
「いや、何の用だ。って。判っているだろう。」
「分からん。」
「判らんわけがあるか。」
「分からんもんは、解らん。」
さすが幼馴染。テンポよく話しています。
ハァーーーー。深いため息の後、皇帝が言いました。
「お前のとこと、俺のとこの 子どものことだ。」
「カルティーボのことか。ルティなら健やかに育っているから安心しろ。」
「健やかに育っているのは良い事だが、嫡男のこととは違うに決まってるだろう。とぼけるな。ガルデニア嬢のことだ。」
「 ・・・ 」
「ムッとして俺を睨んでも 何も変わらん。」
少し中途半端かもしれませんが、キリが悪いので 続きは次話にさせてください。
申し訳ありません。
前話の14の予約投稿を間違えていたようで、確認したら次話に入っていませんでしたので 慌ててバックアップより投稿しました。
(もしも、気付かないところで 同じ題名の文章が出てきたらどうしよう!! と少し不安です。)
その為、週末 お休みする旨を後書きに入れ忘れてしまいました。
重ねて、大変 申し訳ございませんでした。