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30話『二日目』

 模擬試合も終わり、ようやく普通の学校生活が始まるだろうなと思いながら、俺はルイズと共に登校した。

 しかし、そんな思いは一瞬で崩された。学校に来て2日目だというのに、今日はモンスターを倒すための遠征を組むらしい。しかも、2日間掛けての遠征だ。……あまりにもハードすぎる。


「よぉクロト! 今日の遠征楽しみだな!」


「なんでお前はそんなに元気なんだよ……俺は昨日で疲れたんだが……」


 学校の校門前に集められた生徒の中から、先生による独断で遠征の班が組まれ、偶然というか、仕組まれた気もするが、俺とルイズ、グレルとケイ。それに、昨日の模擬試合の相手だった刀の女の子という5人パーティーだった。


 ルイズとケイが2人で仲良く話している中、暇になったグレルが俺に話しかけてきた。丁度俺も遠征前にストレッチをしようと考えていたし、こいつに手伝わせるとしよう。ちなみにだが、刀の女の子はクレアとなにやら話している。


「なぁ、昨日俺が戦った女の子も同じパーティーなんだけど、あいつも有名なやつなのか?」


 ルイズに聞いた方が早い気もするが、さすがに話に割って入るほど俺も馬鹿ではない。現状、グレルに聞く以外に方法はないだろう。


「いや、全然知らねえな。でも見た感じだと、クレア様と仲良さげだし、有名な貴族の娘とかじゃねえか?」


「ま、貴族の娘であることは間違いないだろうな。とりあえず、同じパーティーだし後で聞いてみるわ」


「それが良い。考えてても仕方ないからな。直接聞くのが一番だ」


 ストレッチも終わり、丁度遠征が始まろうとした時に、女の子は相変わらず刀を腰からぶら下げながら俺たちの元へと駆け足で寄ってきた。


「お前らよく聞け!! 今回の遠征は学園行事の一つだが、遊びではない!! 当然モンスターも出現するし、我々冒険者や教師が常に見ているという事も出来ない! だからこそ、貴様らは己の力と、パーティーの力を使って見事乗り越えてみせろ!」


「「「おー!!!!!」」」


 今回の遠征においては、俺たちを監視する役として、教師は勿論のこと、シルバー以上の冒険者や、先程俺たちを鼓舞してくれたゴールド冒険者まで居る。そこまで危険な所まで遠征をする訳てはないが、貴族の息子や娘を危険な目に晒す以上、多少多いくらいの監視役が必要なのだろう。


「それでは各自、パーティー事に馬車へと乗り込め! こっから遠征開始だ!!」


 俺達は言葉に従い、全員馬車へと乗り込んだ。

 ――こうして、学校二日目にして、二日目間かけての遠征は始まったのだ。


 ━━━━━━━━━━━━━━━


 ――馬車へと乗り込んだ俺達は、今回の遠征地である『真宵の森』へと今や数時間掛けて向かっていた。目的地まであと一時間程度だろう。馬車から見える景色は殆ど変わり映えなく、会話もとうに尽きて、俺以外は全員寝てしまっている。正直、寝ているこいつらを見て遠征が本当に出来るのか不安になったのは言うまでもない。


「……真宵の森か」


 真宵の森という場所は、俺自身行ったことはもちろんなかった。だからこそ、どんなモンスターと会えるのかが楽しみで仕方がなかった。


「……んん……あれ? まだ着いていなかったのですね」


「あと少しで着くぞ。起きたのは正解だ」


 刀を持った女の子、『ユリウス・フォン・アストレア』は、寝ぼけた目で馬車から見える外の景色を見ていた。既に、ユリウスについて聞きたいことは、全員が寝る前に聞いていたし、こうして二人だけ起きている空間になっても、特に話す話題などはなかった。

 しかし、この状況。このまま誰も起きなければ気まずい雰囲気になってしまうだろう。そんなことを考え、俺は必死に話題となるものを探した。


「そういえば、自然すぎて気付かなかったけど、どうして刀を使ってるんだ?」


「――刀ですか? そうですね。あまり深い理由はありません。私にとって剣よりも刀のが使いやすかったただそれだけです」


「そんだけの理由なのかよ……」


「はい。冒険者にとって使いやすい武器のが良いでしょう?」


「ま、それもそうだな」


 それから、ユリウスとの会話はそこそこ続き、目的地に着くまで退屈することはなかった。

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