15話 『可愛いルイズ』
キラー・マンティスと共に落下している俺は、どうやったら無傷で着地出来るかを考えていた。
「ルイズ! とりあえず離れてろ!」
「で、でも、魔法でなんとかすれば落下の衝撃とか!」
「そっちはなんとかしてみせるから! 良いから離れてろ!」
ルイズが少し離れたのを確認した俺は、とりあえずキラー・マンティスの中で1番柔らかい部分であり、面積の多いお腹の部分へと移動した。
ある程度の高さからの落下だが、このままキラー・マンティスを下敷きにすればあまり酷い傷は出来ないだろう。
「──────クロト!!」
俺か地面に落下し、激しい音が辺りに鳴り響く。ルイズの声も聞こえ、俺は自身の体が正常に動くかどうかをまず確認した。
「痛てて……ははっ。なんとかなったか」
体に目立った痛みはなく、なんとか俺の体は無事だった。もちろん、その代わりに下敷きとなったキラー・マンティスは体だけとなっているのに完全に潰れてしまっている。
「クロト! 大丈夫なの!?」
「あ、あぁ。悪ぃな。心配かけた」
「ばかっ! 心配なんてしてないわ! あ、あんたに怪我されたら旅を継続するのが難しいでしょ!!」
なんでか分からないが、ルイズは顔をぷいっと横に向けてしまった。
まぁでも、ルイズの事だから本当は心配してくれたのだろう。
「ありがとな。ルイズ」
「な、なによ! 良いから早く傷を治して旅を続けるわよ!!」
「あぁ。分かってる。あと少しだもんな」
自分の傷を回復魔法で治しつつ、俺は王都までの道のりを再確認した。
現状、半分以上進んでいて、モンスターとの戦闘経験も中々にある。順調な旅と言っても良いだろう。
「なぁルイズ。こっから先、安全な道と少し危険な道どっちがいい?」
王都まで行くのに、どっちの道を通ってもそれ程時間は変わらない。既にキラー・マンティスや、色々なモンスターと戦ったこともあり、俺個人としてはゆっくり進みたい所だが、ルイズはどうなのだろうか。
「そうね。私は別に安全な方で良いわ。そろそろゆっくり旅したいもの」
「そうか! んじゃ、ゆっくりで安全な道にするか!」
「なによ。凄く嬉しそうじゃない」
「まぁな。こっちの道は綺麗な景色とかもあるみたいだし、ルイズとそういう景色とかを見る旅も良いもんだなと思ってな」
「へ、へぇー! そ、それじゃ、早く行きましょ!!」
なにを怒っているのか全くもって分からないが、ルイズは俺に背を向けて颯爽と歩き始めてしまった。
「ちょっと歩くの早すぎるって!」
「うっさい! 早く来なさい!!」
俺は広げていた地図を仕舞い込み、ルイズの後を追った。
村から王都までの道のり、まだまだ半分だが濃い経験は出来ただろう。
後の道のりは安全な筈だ。俺は何も起こらないことを祈りつつ、ルイズと共に雑談しながら王都へと向かい始めた。




