朝顔
「たかや! 夏休みの宿題は終わったの?」
「うん。あと、もうすこしでおわる」
「そう、それなら良かったわ」
【あさがおにっき 8がつ10にち】
<2ねん 1くみ たかはしたかや>
未だに現れない希望の芽。
虚無感漂う巣窟。
風に煽られる葉も茎もない。
ただ準拠で書き連ねる日々が続く。
【あさがおにっき 8がつ13にち】
<2ねん 1くみ たかはしたかや>
変わらぬ景色。
記載するに値しない事実は消去すると決めている。
ただ消去する事実も乏しい。
八方美人ではない引っ込み思案の朝顔を待つ日々。
やさぐれた太陽が空で微笑む。
【あさがおにっき 8がつ16にち】
<2ねん 1くみ たかはしたかや>
徒然なるまま茶色を見つめるばかり。
茶色を含めたその風景が脳に深く刻まれている。
この茶色に異なる色が加わることなど、この先あるのだろうか。
周りで翼を広げる植物たちに、ただ圧倒されるばかりだ。
【あさがおにっき 8がつ19にち】
<2ねん 1くみ たかはしたかや>
無垢な人生に暗雲が垂れ込むように空が暗い。
朝顔の未来も朝顔を観察する者の未来も真っ暗。
種から開花させるというのはあまりにも無謀すぎる。
芽さえ出ないという、このような例は少なからず存在する。
だから、せめて苗から発育させて頂きたかった。
【あさがおにっき 8がつ21にち】
<2ねん 1くみ たかはしたかや>
苗を貰っていたのならば、今頃たおやかな姿を見せていたことだろう。
そして至極の毎日を過ごしていたことだろう。
これは欺瞞に値する。
体裁など気にしている場合ではない。
僕の気持ちは土の中に眠る朝顔の種に同じ。
【あさがおにっき 8がつ22にち】
<2ねん 1くみ たかはしたかや>
僥倖の光が垣間見えた。
希望が顔を覗かせた。
数々の御無礼を御許しください。
土の茶色に映える緑色の芽。
芽さんどうぞよしなに。




