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タンポポ
僕はたんぽぽ。
道端に咲く花。
色々な人々が行き交う道の風景に溶け込む花。
有名なものでいうとライオンに似ている。
そうみんなによく言われる。
よく見るものは黄色をしているが、今は少しくすんだ白い肌をしている。
花に生まれて良かったと思うことがいくつかある。
それは人々に時折優しく見つめられること。
そして可愛いと言ってもらえること。
旅立ちのとき。
沢山の兄弟たちの横でその時を待つ。
そこに心地よい風が吹く。
優しくて力強い風が。
くすんで顔色が少し悪い仲間たちが先に空を翔る。
続いて僕も空を飛ぶ。
幼い少女が僕たちを追って道を駆ける。
まるで鬼ごっこをするみたいに。
まるで幸せを追いかけるみたいに。
僕は優雅に羽を伸ばす。
そして気持ちよく飛び続けた。
僕はフカフカなベッドへと舞い降りた。
前とは比べ物にならないくらいの優しさ。
ほわっとしたぬくもり。
遊び疲れた僕は新しい土のベッドで横になる。
そして、そっと目を閉じた。
いい夢が見られますように、と。