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さくら

桜の季節に生まれたので「さくら」と名付けられた。


さくらは桜のような淡い色の似合う大人へと成長した。


会社近くの公園で咲き誇る桜は、風に吹かれてゆらゆらと優しさを振り撒いていた。


「さくら君、おはよう? その時計カッコいいね。最近買ったのか?」


上司はさくらが左腕に付けていた黒の腕時計を褒めると、肩をポンと叩いて立ち去っていった。


デスクに着き、さくらはズボンのポケットからぐちゃぐちゃのレシートに包まれた小銭を出して机に置いた。


そしてピンクの上着を脱ぎ、椅子の背もたれに掛けるとリップクリームを塗り、パソコンと対峙した。


「また机にアイドルの写真増えたね? 美少女ばかりだし、これじゃ集中できないでしょ?」


「僕はこうやって写真を並べた方が落ち着くの」


「そっか」


「こっちのことより自分のことを気にした方がいいわよ」


桜の幹のような力強さを持つさくらは、パートナーを守っていくという強い気持ちで仕事へと精神を集中させてゆく。


さくらは自分に不釣り合いな「可愛い」という言葉を上司や同僚から日々投げ掛けられながら会社で仕事に励む。


桜のソメイヨシノから取り、「佳乃」と名付けたお腹の娘のために。

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