THE・神様ペン
いきなり何の題名なのだと思うだろうが、実は・・・。
「私が説明するわ。とある日、私は学校から帰る途中に、道端にペンが落ちてたの」
彼女こそが、この小説の主人公の立花 茉莉亜です。
そして、ペンの正体は、神様になれちゃうんです。
「ペンに沢山の機能があるの。例えば、自分の姿を別にしたり、書いたことが本当になる」
多色ボールペンみたいに、ノックをするとその能力が使える。
何にでも変身すると言ったが、人間以外にもだ。人間の気配を消すことも出来るから、自分の姿が見られることも無い。
簡単に言えば何でも出来るペンということだ。
「でも、今の生活に不自由は無いわ。だから必要無いと思ったの・・・でも、友人の陽菜ちゃんが困ってる事件があってね」
茉莉亜の友人の陽菜
「とある人が陽菜ちゃんを騙して学校に来させなくしたの。陽菜ちゃんは、ショックで引き籠もった」
ちょっと暗い話になりそうだが、一応メインは、コメディーです。
シリアスにコメディーと交互に、を目安としてます。
さて話が脱線したが、戻そう。
「だから、ペンでいたずらしちゃおう、との事なんです」
ほぼ、復讐よりもそちらがメインのような気がする。
「さて、学校に行きます。とある人がいるらしいから」
スキップしながら歩いてる。周りの人達は、なんだコイツ的な顔で見てます。
別に恥ずかしいのは、茉莉亜ですから良いんですが。
「・・・・さて、ペンを使いますか」
学校の門に着いたら、周りを見渡してからペンを使った。
カチッと音が鳴った途端に、茉莉亜の姿は消えた。
正確には、茉莉亜は周りから見えない。だけど、茉莉亜自身はいる。
気配さえも消えたから、どれだけ気配を読むのが上手な人でも、茉莉亜の気配を読める人はいない。
「(入りますか)」
流石に声はバレてしまうので黙る。
静かな廊下に、コツコツとローファの音が鳴り響く。
ついでに、外用の靴です。
我が儘気質なので、彼女を止めれる者はいない。
「(いた・・・はぁ)」
どこかの教室の入口で、顔だけを中へ向けた。
色々考えてるうちに疲れてしまってる茉莉亜。
「(ん・・・・?)」
どうやら中の奴は、電話で機嫌良く話してる。
「あぁ・・・アイツに罪が被ったよ。地味な分際で、レオ様に近付いたからだ」
「(レオ様・・・?)」
知らない単語が出て頭を傾げる茉莉亜。
それよりも、罪が被ったって意味が分からなかった。
「(もしかして・・・あの噂は本当なのかしら?)」
テストの答えが、誰かに盗まれたと言う噂があった。
でも、それは陽菜の鞄にあったと噂で、皆から嫌われてた。
でも茉莉亜が言ってる噂は、生徒の個人情報が洩れてるということだ。
誰かが、売ってるのだろう。
「そういや、お金渡されて無いよ」
「(お金?)」
中の奴の不審な発言に悩む茉莉亜。
「売ったんだから渡してよ!!」
「(やっぱり・・・)」
中の奴が犯人か・・・と睨む茉莉亜。
すると、どこからか音がした。
「だれ!?」
「(バレた?・・・・いや、私は見えないし)」
周りを見渡したが、誰もいない。
いや・・・あと一つ、隠れられる場所がある。でも、そこは隠れられるとは別物だ。
「(・・・憐れかな。まぁ助けるか)」
ペンを使った。書いたものは、時間よ止まれ。
すると、周りの時間は止まった。
茉莉亜は、とある場所に向かった。
「なんで掃除用具なのかしら?」
ゲシッゲシッと軽く蹴った。次は、さっきよりも強く蹴った。
「変な擬音がしたけど無視ね」
「うぅ〜助けてよ・・・」
中から情けない声がした。
「えっと・・・何で?」
ペンを使ったはずなのに、と言った茉莉亜。
「・・・くぅーん」
「い、犬?」
掃除用具を開けたら、犬耳が着いてる男子生徒。実際に着いてるんじゃなく、妄想の域にいってる。
「ねぇ・・・イヌ」
「犬じゃない!!真耶です」
少年の名前は、真耶らしい。
茉莉亜からは、イヌと名付けられた。
「何してるの?イヌ」
「・・・・もう良いです。僕は・・・」
「いじめ?」
詰まった真耶に勘が働いた茉莉亜。
「うん・・・」
「ふ〜ん。でもね、ここにいたら危ないから帰りなよ」
不思議に思いながらも頷き帰ってった。
「さて、時間を戻そうか」
ペンで書いた。デリート、と。
すると、時間は動き出した。
「(でも、なぜイヌに私が見えたのかしら?)」
謎は謎のままなのか?後で、分ると・・・思いたい。
「あの女・・・ただじゃ済まさない」
「どう、許さないの?」
今まで誰もいなかったと思ってたのに、誰かが現れたのに驚く。
「お前は・・・」
「陽菜ちゃんのカタキのつもりで来たんだけどね」
「・・・何のこと?」
話を逸らす奴。一応女だが、茉莉亜自身はコイツが気に入らないから名前で呼ばない。
「・・・言い訳は無理ですよ?このテープに頭の声が録音してるわ」
「うそだ!!」
確かに、いつの間に録音したのだろう。
神のペンを使えば時間を戻して、録音は出来る。
ペンには、未知なる能力がまだあるらしいけど語れません。
たくさんあり過ぎて。
「ほらっ・・・」
茉莉亜が取り出した、カセットテープの再生を押すと、さっきまで喋ってた内容が聞こえてきた。
女は、青ざめている。
「さて、警察にも校長にも言えば良いんだけどね・・・」
「な、なんでも言うこと聞きますから!!」
女の発言に、ニヤリと笑った。
「じゃあ明日ね、陽菜ちゃんが来るから、その前に噂を全部消してね。もしダメだったら・・・」
あえて最後まで言わなかった。
女は、何度も首を振った。
場所は変わり、陽菜の家。
勝手に部屋に入った。靴は脱いでます。
「・・・茉莉亜ちゃん」
「ひっさしぶり〜陽菜ちゃん」
顔色の悪い陽菜に驚いた。
「明日、学校行くよ?」
「・・・いや」
予想通りの反応に苦笑いの茉莉亜。
「解決したから、明日は大丈夫よ」
「でも・・・」
まだ頷かない陽菜に悩んだ茉莉亜。
その時、ガチャッと扉が開いた。
「行きなよ陽菜・・・この子の通り大丈夫だから」
見たことの無い男の子が現れた。
どこかで見たことがありそうだが、分らない。
「レオくん」
「ん?・・・もしかして君が元凶?」
あの女が言ってたレオがいるのだ。
「もしかして恋人同士?」
「ふふ・・・お兄ちゃんだよ」
「え・・・」
陽菜の言葉に疑問符が出る。
一人っ子だったはず、と言ってた茉莉亜。
「オレは、外国にいたから」
「しかも、有名人なんだよ」
そういえば、テレビでも見たことがあった。
でも、それ以外でも・・・。
「最近、帰って来てな・・・」
「年子なんだ・・・」
う〜ん、と、まだ悩んでる茉莉亜。
それに苦笑いのレオ。
「あ・・・イヌ!!」
「やっぱバレた?」
学校で現れた、いじめられてた少年。
でも、なんで分らなかったんだろう?
「君と同じだからかな?」
「同じ?」
レオの言葉に不思議に思うしか無かった。
「本名は、レオ。真耶は偽名なんだ。で、君のペンと同じ」
「え・・・」
なんでペンのこと知ってるの?陽菜ちゃんにも言ってないのに、と思った。
「このマスクが変身出来るんだ。自分の望んだものな」
「だから私のペンが効かなかったんだ」
そうだ、と言った。
「あの性格も嘘?」
「あぁ、これが本当だ」
なんか傲慢な性格で、茉莉亜と良い勝負だ。
「ふ〜ん」
「な、なに?」
茉莉亜は、レオに近付いた。
顔が近いためか赤くなる。
それに気付いた陽菜は笑ってる。
「演技だったんだ・・イヌ」
「イヌは止めて・・・」
苦笑いで、茉莉亜を押さえるレオ。
「とりあえず明日来てね」
「う、うん」
約束を取り付けて、さっさと帰ってった。
「おはよ陽菜ちゃん」
「う、うん。おはよ〜」
辛そうに挨拶してる陽菜の頭を撫でる。
「私を信じて?」
頷いた陽菜の手を掴んで学校に向かう。
「お、おはよ」
「おはよ!!陽菜ちゃん」
まさか、挨拶をしてくれるとは思わなかった陽菜。
嬉しそうに今までで一番の笑顔を見せた。
「・・・ねぇ。あのカセットテープってどうするの?」
「やっぱイヌ・・・いたんだね。あの場所に・・・」
レオが茉莉亜の背後に立って言った。
帰ったと思わせておいて、隠れてたんだ。気付かなかった茉莉亜。
「使わせてもらうよ?大事な親友を傷つけたんだから、それだけで助かると思わないでもらいたいわ」
「・・・悪魔だな」
素に戻ってる、と茉莉亜は言った。
レオは、さっさと自分の教室に向かった。
ってか、違う教室に閉じ込められてたんだ。
「もしかして、イヌがいじめられてた理由って、可愛過ぎていじめたいって女子がやったの?」
まさかね、と思ったが妙な寒気がした。
「とりあえず今日の夜までの命ね・・・」
茉莉亜の手には、カセットテープなんかは無かった。
たぶん、あるべき場所に行ったのだろう。
注意事項。
友人をハメてはいけない。
神のペンを持つ者に逆らってはいけない。
神と聞こえは良いが、実際は悪魔だ。
ハメた者は行方不明になってしまう。
神が相手だと、味方は誰もいなくなる。
こんなペンがあったら良いなぁと思っちゃいました。