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俺の飼い主 僕の異能力ペット  作者: 一つの装置
三つ巴反逆帝国キングダム 願いを紡ぐ400チーム
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88話 臆病犬の自火に責めらる

一年半ぶりに帰ってきました

サボってました

テレビがゲームがおもろいんじゃ


「答えるでゴザルッ!何故勝手にこのようなことをっ!」

「はぁ・・・はぁ、オメーがそこに立ってたからだ・・・」


鷲は怒るというより絶望に寄った表情をしながらその大きな翼を振って説明している。

サシミ達は身体を動かすことはまだできず、目だけを鷲に向けている


「理解が追いつかんでゴザル・・・第一拙者は!グループを組む気は・・・!」


すると鐘が鳴り終わり、息をつく暇もなく部屋のモニターに文字が浮かび上がった。


『グループ決めを終了いたします。お疲れ様でした。グループ計131グループ。グループを作らなかったチーム計5チーム。グループ決め中2チームが死亡』


淡々と画面は今回のチーム決めの結果を行っていく、それをただ今は見つめることしかできないでいた。


『それではただ今より三つ巴対戦のルールを説明いたします』


そう画面に表示されると



『三つ巴対戦


ルール1

大まかなルールは変わりません。

これまで通り他の異能力ペットを気絶、殺害してください。


ルール2

グループを組んだ者はグループ内同士での暴力が物理的に不可能となります。しかし例外もあります。


ルール3

グループ内では、リーダーが1チーム設定されます。リーダーに限っては他の 2チームを気絶、殺害することが可能です。


ルール4

他のチームによってリーダーが気絶、死亡した場合、リーダーを失ったチームは、リーダーを倒した者とグループになります。


ルール5

この三つ巴対戦は特定の場所で行われます。皆様が元の場所に戻られるまで、家族、友人、恋人などの方々には存在を忘れていただいておりますので、どうぞ安心して戦ってください


ルール6

リーダーはこちらで決めさせていただきました。どなたがリーダーかはお伝えしません。各々で判断してください。


ルールはこれで以上です。


貴方方の健闘を祈っております。』


「チッ、ふざけたルールだ」

「また始まるんだね・・・」


画面は最後の一文で止まり、『しばらくお待ちください』と下に小さく表記されていた。身体を起こさず天井を見つめるサシミ。自身の手を強く握り決意した顔で画面を見つめる禎。それとは対照的にまた始まることに怯えているのか、少女は自身の異能力ペットである子犬を抱えており、鷲も同じように震えていた。重い空気がこの部屋を漂う。


「うっし!辛気臭くしててもなんもできねぇ。これからどうなるかわかんねぇが、少しは手ぇ組むんだ。自己紹介、しようじゃねぇか」


上半身を起き上がらせ両手でパンッと音を鳴らすと、この空気が居た堪れなくなったのか、珍しくサシミが指揮をとった。


(自己紹介って言葉がサシミから出るなんて、というか知ってたなんて・・・嫌だったんだろうなこの空気・・・助かるけど)

「あ?なんだその顔・・・タダシィ」

「なんでもない!なんでもない!えっと、まず僕たちから!僕は澤畑 禎っていいます。歳は16です!趣味は・・・えっと、その・・・特にこれといってないです・・・」

「・・・」「・・・」「・・・」

「ケッ!」


サシミがなんとか変えようとした空気は一瞬で凍りついた。全員の視線が禎を見ているがその表情は真顔中の真顔。禎は涙目になってサシミに無言で助けを求めている。


(サシミ〜)

「ったく・・・サシミだ。歳は4年は生きてる。趣味はそうだな・・・ムカつくやつをボコることだ!以上!」

「・・・」「・・・」「・・・」

「サシミ〜」


はっと思いついて出た趣味で辺りは再び凍りついた。全員の目がさらに険しくなった。禎は顔を手で覆い改めて実感する。


(隆弘さんとあんころって凄かったんだな〜ほんとによく統率とってくれてたよ)


隆弘とあんころのありがたさを。頭の中に一癖も二癖もある異能力ペットの顔が浮かぶ。


「じゃ、じゃあ今度は私たちですね・・・!」


少女もこの空気を変えたいのか、その場から立ち上がり自己紹介を始めようとした。


「待てルミナ!こんなボンクラどもに狆達のことを教える必要はねぇ!」

「あぁ?」「ボンクラ・・・」


腕の中にいる小型犬が睨みをサシミに向けながら声をあげる。小さいながらもグルグル唸っている。


「で、でも・・・」

「このハナタレどもがウサギのことを知ってるのはわかっている。だがそれと信用できるかは話が別だ!」

「あ・・・!」


犬は少女の腕から抜け出すとサシミに睨みを効かせながらサシミを見上げるところまで近づいた。


「いいか便所の糞ヤロウ!ルミナにその汚ねぇ指で触れたら狆が許さねぇ!一瞬で便器に流してやる!」

「あぁ?おいコラチビ助、今言ったよなぁ。俺の趣味を忘れたのかぁ?ぶん殴られたいようだなぁおい!」

「ちょ!サシミ!」


サシミの怒りがマックスに達したのか手を振り上げて睨みをさらに効かせる。


「ヒィィッ!そ、そんなんで狆が引くと思うのかですか?大きいからって威張るんじゃねぇですよ!」


さっきとは違い、逆立っていた全身の毛がシュンとなり腰も後ろに下がっており全身が震えている。歯もガタガタと音を立てている。


「なんだコイツ・・・」

「足すごい震えてる・・・」

「うるしゃい!さっき言ってたろ!リーダーになったやつはグループ内の奴を殺せるって!狆の能力は弱いしルミナを守れねぇ!趣味がそんなんだから言ってんだ!その暴力性も含めてどうなんだ!・・・ですか?」


指を刺し小声で敬語を喋る犬。その指は震えており、その振動で小刻みに後ろに下がっていっている。


「はぁ?殺すわけねぇだろうが!そんなことしたらクソウサギと一緒になっちまう。そんなの俺が許さねぇ。それにテメーらは目的が俺たちと一緒だろうが。クソウサギ倒すんだろ?探してたもんな。協力してやるよ。だから俺達がリーダーになっても何もしやしない」


後ろに下がる犬に距離を詰め目線を同じにするサシミ。悪い笑みを犬に向ける。その顔にさらに震えを加速させていく。


「ほ、ほんと・・・ですか・・・?」

「あ?『しねぇ』つってんだろうが」

「『死・ね』ギャァァァァァァァァァやっぱりぃぃ!」

「だぁぁぁ!!なんなんだよコイツ!しない!殺しなんてしないっての!ぶっ飛ばすぞ!!」

「『ぶっ飛ばす』ギャァァァァァァァやっぱりぃぃ!」

「だぁぁぁ!!殺さねぇし、ぶっ飛ばしもしねぇ!これでいいだろうが!」


怯えた声でギャンギャン鳴くため、サシミは耳を抑えながら訂正に訂正を重ねる。


「ほんと・・・に・・・?」

「あぁ、ホントに・・・」

「ほんとのほんとに・・・?」

「ホント」


呆れるように問答ォ繰り返し徐々に近づいてくる犬。サシミの耳、目、口、体を順番に確認すると、


「おま''え"い"い"奴だな"ぁぁぁぁぁぁビェェェェェンッ!!」

「だぁぁぁぁぁぁ!!なんなんだよコイツ!」


目元から涙が噴射したその勢いは凄まじく、近くにいたサシミにたくさんの涙が降り注ぐ。水が苦手なサシミは急いでサシミの元へ避難した。


「ごんな"い"い"奴に狆はなんでごとを"ォォォォォイ!信じまず!信じるよ"ォォォォォォ!」

「え!今のだけで信じるの!?サシミを!?」

「タダシテメーどの目線だこの野郎」


信じられないような目で泣き喚いている犬を見つめる禎。その頭を軽く叩くサシミ。


「ルミナ、コイツらいい奴だった。協力してくれるってヒック!ごわがっだぁ!ナデナデしてぇ」

「ハイハイ、もうなんで酷いこと言っちゃうかな〜ごめんねサシミさん。チャコ、私を守るためにしてくれてるみたいで。本心で思ってるわけじゃないから許してあげてほしいな」

「あぁそうかよ、もんなんでもいい・・・なんでも」


撫でられている犬を疲れた表情で見つめるサシミ。自分が疲れているのに犬は飼い主に撫でられて尻尾を振っているのに腹が立つが疲れの方が勝っていた。


「改めて自己紹介を!私は田場ルミナっていいます!15歳です!趣味は裁縫!今も腰にまち針だったり糸をつけて持ち歩いてます!ほつれだったり靴下に穴が空いたら言ってください!えへ!」

「狆はチャコだ無能ども!3歳で趣味は昼寝と映画鑑賞だぞこの野郎!ルミナ共々よろしくお願いします!」


ルミナ幼さの残る顔立ちの笑顔でつぎはぎのおしゃれな服をアピールするようにくるっと回った。黒毛の狆、チャコは胸を張りルミナを守るようにその小さな身体を大きく見せようとしている。


「喋り方定着『しねぇ』犬だな・・・」

「『死・ね』!?」

「もういいわそれ!」

「よろしくね、田場さん」

「ルミナでいいですよ!私も禎さんって呼びますから!」


先ほどまでのどんよりした空気が嘘のように、良い空気が流れている。ただ一羽を除いて。


「で?お前はなんつーんだ?」

「拙者で・・・ゴザルか・・・」

「おう!名前聞かせろです!」


鷲急に声をかけられたため驚き少し小さくなる。まるで礼をするようにその顔を伏せた。


「・・・シュリと申す」

「まぁなんだ、助かったぜシュリ。テメーがあそこにいなけりゃコイツらと話せなかったからな」

「拙者は、何も・・・」


顔を上げず更に首を下げる。サシミは恐縮しているのかと思い心から感じている感謝の言葉を投げかけたが、その顔は上がらない。


「それでシュリさんの飼い主の方はどこにいるの?お礼も兼ねて挨拶しないと。勝手に決めちゃって怒ってないかな?ここシュリさん達の部屋だよね?」

「ッ!」


部屋のどこを見てもシュリの飼い主は見当たらない。最初は風呂場にでもいるのではと思い触れてこなかったが、良い機会のため飼い主の居場所を聞こうとルミナは声をかける。しかしシュリはその下げた顔の下でクチバシで強く食いしばった。翼に持ったビー玉を見つめて悔しそうに目を瞑る。


「拙者の・・・拙者の飼い主は・・・










死んだでゴザル・・・・・・」










残り・398チーム







ありがとうございました!

次回も気長に待っていてください!


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