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俺の飼い主 僕の異能力ペット  作者: 一つの装置
怪物獣道ファング 願いを求める500チーム
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82話 正義を以て貴しとなす

お久しぶりです!

よろしくです!




「あそこでお前が殴らなければ、好敵手ポイントを50点減していたところだ・・魂の好敵手は手の段を選ばないやつでなくてはならない・・・・それが好敵手というものだ」

「馬鹿みたいなマゾ理想を、俺に押し付けんなボケ」


両者が重い足取りでその距離を縮める。一歩一歩と歩くたびに、パラパラとソウルの甲羅が剥がれていく。


「なんで戦おうとしてるんだ・・君はもう能力が使えないんじゃ・・」

「他の者には・・・・わからんだろうな。魂の探し求めていた好敵手が、魂の求めているものに最も近いのが、目の前にいるこの候補かもしれないのだ。下がる訳が・・・ないだろう。例え力が使えなくとも、魂は候補と、戦わなければならないのだ・・・」


今にも倒れてしまいそうなソウルに、禎は声をかける。声は届いているが、ソウルは足を止めることも、禎を見ることもしなかった。ただ目の前のサシミにだけを見ている。


「だよな?俺もそうだ。続きを始めようぜ!心臓がどんどんうるさくなっていきやがる!!」

(ダメだ・・顔が悪猫顔に。完全に楽しんでる・・そういうやつだった。純粋に殴れる勝負を楽しんでいる。久しぶりの、殺し合いじゃない弱肉強食で純粋な勝負を・・・)


サシミは右肩を押さえ歯を食いしばると、自身で噛みちぎった腕を一瞬にして再生した。その光景にソウルの光る眼が大きく見開かれる。


「やはり面白い力だ・・」

「カッケーだろ」


再生させた腕に、ソウルは目を輝かせる。そんな中ドヤ顔をしながら拳を怪物化。


「殴る・・・それが候補の信じる念か・・」


サシミはソウルに向けて拳を構えると、体勢を低くして一気にジャンプする。その悪魔のような笑顔を絶やさずに。


「信じる念?違うな!コレが俺の正義だぁぁ!!」

「どちらも同じ義だ・・・・」


ソウルの脳展目掛けてその拳を振り下ろそうとしたその時、


「ゴブっ!」


ソウルがマフラー外して器用に動かし、両ハサミを後ろに引く。するとサシミの身体に巻き付き、空中でマフラーにより身体が縛られる。


「やっぱりテメーは強ぇ!だが!!」

「ッ!!」


しかしサシミはそのマフラーを、怪物化させた手で掴み引き寄せた。マフラーを握っていたソウルの身体が持ち上がるほどの力で自身の近くへとソウルを引き寄せる。


「俺の方がもっと強ぇぇぇぇ!!!」

「お前!!いいだろう!好敵手ポイントを20点加える。よって100点!お前は魂の!魂の!好敵手だぁぁ!!」


ソウルが覚悟を決めハサミを握りしめる。サシミがこの瞬間を待っていたと、口角を上げ、拳を握りしめる。両者の一発が交わろうとしたその時、





「っ!!」「ッ!!」





全身の力が抜け、サシミもソウルも、地面へと倒れ込んだ。頭もふわふわして、何かを考えるだけで気分が悪くなっていく。


「なんだ・・・コレ・・身体が、動かねぇ・・」

「サシ・・・ミ・」

「ッ!」


ゆっくりと顔を背へ向けると、禎達まで地面に倒れ込んでいた。全員の顔色が悪くなっている。





ーーーーーーーーーーーーーーーー





「コタロウッ!!」

「剣・・・・山・・」

「坂出くん!!」


血反吐を吐いている虎太郎に近づこうとして歩き出した剣山。だが、


「ッ!」


剣山の体の力が抜けていき、その場に倒れてしまった。両腕のない剣山には起き上がることができない。ただ顔を上げて、智晴に抱き抱えられている虎太郎を見ることしかできない。


「うぅ・・!・・目眩が・・」

「・・・・・・・・」

「コタ・・・・ロウ・・!」


智晴も虎太郎も目を閉じたまま、動かなくなってしまった。冷や汗を垂らしながら、か細く息をしている。前進しようと身体をミミズのように動かすが全く前には進まない。


(どうしてだ・・・なんで・・)


自身の吐いた血で口元が赤い虎太郎を見続ける剣山。今まで見たことがないその症状に、体の震えが止まらなくなる。


(やめてくれ・・死なないでくれ・・・生きてくれ・・・・連れて行かないでくれ・・・お前は俺の全てなんだ・・・)


虎太郎に向けて伸ばしたい手も、今の剣山にはない。


(もう時間がない・・こんなところで倒れてる暇はない・・勝たなければ・・早く・・異能力ペットを倒さなければ・・・・・・どんな手段を使ってでも・・・・!)









「お前を・・助・・・ける・・・」






ーーーーーーーーーーーーーーーー






「もう・・・ダメ・・でちゅ・・・」

「・・・・・・・・・」


ハリちゃんと万歳は目をゆっくりと閉じながら倒れ、ピクリとも動かなくなった。


「呪ッ!呪ッ!呪ッ!呪ッ!!呪・・・!呪・・・・・・・・・・」


火星ちゃんは何故か頭を何度も何度も地面にぶつける。しかし徐々に勢いが失速していき、顔から倒れ込んでこちらも動かなくなってしまった。


(意味がわかんねぇ・・・なんで全員が・・・こうなるんだ・・・力が入らねぇんだ・・まだ俺は戦えたのに・・・他の異能力ペットの仕業か・・)

「400・・チーム・・・・だ・・!」


ひどい耳鳴りが鳴り響き頭を抑えるサシミ。するとマフラーを手繰り寄せているソウルが小さく呟いた。


「あ・・・?」

「きっと残り400チームなのだ・・・やっと100チームが減ったか・・きっと魂達は400チームまで生き残ったのだ・・・」


手繰り寄せたマフラーを自身の首にまわしかる。震えるハサミを地面に突いてその場で立ち上がった。


「さっきから何言ってんだ・・お前・・・」

「魂の予め想っていた通りだ・・・こんな変わらぬ戦いを終わりまで続けるわけがない・・・・始まるぞ・・・ここからが本の当の戦いだ・・・」


顔にハサミを被せ、腰をくねらし、変なポーズをとるソウル。甲羅の奥の瞳が赤く光り輝く。その瞳をサシミに向ける。


「魂とお前はまた出会う・・・・楽しみにしているぞ・・魂の・・・好・・敵・・手・・・・・・・」


しかしソウルは、赤く発光していた瞳が消えると前に倒れて動かなくなった。

サシミは身体を動かし、同じく倒れている禎に向かって地を這いずる。


「サシ・・・・ミ・・」

「ッ・・!ただし・・!!」


禎はサシミに、サシミは禎に手を伸ばす。目の前が少しずつ霞んでいく。


「・・ぁ・・・・・」

「・・・・・・・」


そしてその手が触れ合うことはなかった。手は力なく地面に落ち動かなくなくなる。それに伴うように瞼も閉じていく。日が登り始め、辺りは明るくなってきていたのだが、目の前は真っ黒になっていった。











この瞬間、日本全土にいる400人の飼い主と400匹の異能力ペットが・・・・・・













その姿を消した。










殺戮糸ごっこ


主催者  2チーム

参加者 11チーム

途中参加 3チーム

無断参加 1チーム


計   17チーム



最終結果


主催者   1チーム死亡 もう1チームは飼い主が死亡。異能力ペットは気絶

参加者   9チーム死亡 2チーム生存

途中参加者 3チーム全員生存

無断参加者 1チーム生存


計  敗退11チーム  生存6チーム











「400チームか。うん、予定通りだね」

「・・・では、次に移行します・・」

「ああ、始めよう。次なる成長」













三つ巴大戦を・・・









残り・400チーム




俺の飼い主 僕の異能力ペット



第一部 完



ありがとうございました!!

コレで第一部完ッ!


登場人物紹介をまとめたら第二部をアップします!

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