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俺の飼い主 僕の異能力ペット  作者: 一つの装置
怪物獣道ファング 願いを求める500チーム
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78話 糸にも時節

お久しぶりです!


よろしくお願いします!


ブクマありがとうございます!





「ギョギョッ!ガッ!ガッ!清々しい気分・・・べやッ!今の俺ならなんでもできる!誰でも殺せる!!」

「チハルを守れ・・コタロウ・絶対に能力半径から出るな・・」

「ああ・・」


全体を糸に変化させたヤモリは、ウネウネと漂う。顔のみ糸に変えず、原型を留めていない自身の体を見やる。潰れた片眼からは、糸が三本飛び出していた。気味のわるいその姿に剣山達は一歩後ろへ下がる。


「いいぞ!いいぞヤモリ!完璧すぎる力だ!もっと殺せ!好きなだけ飽きるまで!あの女もあの男も!父さんも母さんも!殺したのはおまえだ!俺じゃない!お前のおかげで俺の完璧が崩れることは一切ない!あはははっ!ははははははっ!!」

「・・・・・・・・」


バクトは逆にヤモリに一歩ずつ近づいてきた。大声を荒げながら、嬉しそうにヤモリへ語りかける。それに対しヤモリは笑っていた顔を真顔に変えてバクトを見つめた。すると、


「・・・・・へっ・・⁉︎」

「ッ!」「何!?」「ウッ!」


糸がバクトの左耳を貫いた。糸はそのまま上下に動き、包丁で肉を切るかのように耳を切り落とした。べちゃと耳が地面に落ちる音があたりに響く。


「ウワァァァァァァァァァァッ!ミミィ!耳ッ!!俺のミミィィィ!!!」

「ごめんべやバクト・もう少し離れてくれ。まだ上手く操れないんべや。ちょっとでも意識を向けちゃうと勝手に糸がその対象に攻撃しちまうんべや」


そこは阿鼻叫喚の地獄絵図。バクトは足をバタつかせ、涙を流し、体を丸める。ヤモリのバクトに向ける視線は心配をしている眼ではなかった。何が面白いのか、嘲笑う視線をヤモリはバクトに向けていた。


「ウゥ!完璧じゃない・・・!完璧じゃない・・!」

「ギョッ!!ガッ!ギョッギョッ!」


血が噴き出ている耳があった場所を押さえながら地面を這いずり、ヤモリから距離を取るバクト。その様子を凝視して不敵な笑みを浮かべているヤモリは背後に漂う気配を感じ取った。


「こんな状況で、まだ歯向かうんべや?着物犬・・」

「やはり貴様は危険すぎる・・・!」


剣山がすぐ真後ろで刀を握りしめている。ここまで刀の鍔に足をかけ、ジャンプをした。


「ここで終わらせるッ!」

「ガァァッ!」


刀を首に向けて斜めに振るうと同時にヤモリが叫ぶ。すると顔も糸に変わり、ヤモリの姿はそこにはなかった。それでも剣山は刀を糸に当てる。しかしその糸は強度が更に強くなっており、刀によって切れることはなかった。逆に刀の刀身は糸に触れたことでバラバラに切断される。


(追いつかれたどころか・・また追い抜かされた・・・)

「ぶつ切りからみじん切りに成長したべや!」

「チッ・・」


四方八方に分かれたヤモリ本体である糸が剣山との距離を縮めてきた。しかし剣山は一瞬で新たな刀を空中に生み出し、それを蹴ることで真後ろに自身の軌道を変えた。糸は置いていかれた刀を見せつけるかの様にバラバラに切り裂き、ウネウネと辺りを浮遊する。身体全てが糸になったのでもうどこからこちらを見つめているのかわからない。


「ギョギョットッ!ガガガッ!」

「斬れるか・・剣山・・」

「・・・・まだ追い越せる・・」


刀を構え、目の前に聳える糸遠睨みつける剣山。糸は狙いを定めたのか剣山の方を向く。静寂が続いた、次の瞬間。


『卍糸!雨!!』


剣山に無数の糸が降り注いだ。手加減なしの全身全霊が、剣山に降り注ぐ。剣山はというと一本一本の糸を的確にかわし、刀を振るっていた。身体を低く屈め限界まで糸の軌道を読む。刀が糸に切られても再び刀を生み出し糸に振るう。それを繰り返す。一度のミスが死へと誘う過酷な状況下でも剣山は落ち着いている。


「すごい・・全部避けてる・・」

「・・・・完璧には避けれてない・・」

「え・・?」

「当たってる・・糸が身体全身をかすっている・・」


虎太郎の言った通り、剣山の身体を目を凝らしてよく見ると、さっきまでなかった擦り傷が体全体にできていた。血が滲み出ている箇所もある。軌道を読み、ギリギリまで糸を見ても速くて避けきれないのだ。それでも剣山は一度のミスが死へと誘う過酷な状況下でも落ち着いている。糸から糸が出てきても驚かず、チクチクと刺す痛みに襲われても声を荒げない。それが死に繋がるとわかっているから。


「痛いよなぁぁ!!俺にはビンビン伝わってくるべや!!致命傷とはいかないまでも!はっきりとしたお前の肉を削ぎ落とす感覚がぁぁ!」

(感覚を遮断しろ・・・気配を見逃すな・・・音を逃すな・・)


剣山は糸の雨から抜け出すと、塔のようにそそり立っている糸の周りを走り出す。糸は前からも後ろからもそして真上からも襲いかかってきた。


「全ての糸がお前に夢中べや!羨ましぃぃなぁぁ!ガッ!ガッ!」

「ありがたいッ!」


しかし剣山はその足を止めることなく、糸に突っ込んでいく。スライディングをしながら真下から糸を刀に当てる。するとカキンっと音と共に火花が散った。またまた剣山の刀が糸に追いつき、同等の強度になったのだ。


「ッ!切れないぃぃぃ!!!お前ぇぇ!!またぁぁぁぁ!」

「よし・・!」


それを確認するとくるりと身体を横に回し、糸から脱出した。糸は勢いよく地面に叩きつけられた。そこから糸が伸びてくるが刀で糸を弾き返していく。


「なんなんべやお前・・・今の俺は誰でも殺せるんべやぁぁ!さっさっと俺に!お前の物を見せろぉぉぉぉ!!」

「・・・・・・・憐れだな・・」

「あぁぁぁぁ!?」


辺りを飛び回っている糸を見つめて、剣山はヤモリに語りかけた。憐れみの目を向けられた糸達はその動きを止めた。


「成長という能力(きょうき)を持たされ、殺すことでしか自分を表現できない。殺すことでしか自分を見出せない。その結果がそれか。能力(きょうき)に押し潰され囚われた者の末路。その姿、もう生き物ですらない・・憐れだな・・貴様・・」

「憐れ・・だと?ギョットギョッ!!!悲しくなんてないべや。コレが俺べや!俺がなるべきだった姿べや!!気分が爽快で気持ちよさの繰り返し!こんなにいい力を持って俺は世界一幸せ者べやぁぁ!!」

(やはり憐れだ・・・・)


糸はまた激しく動き出すと間髪入れずに剣山へと突っ込んでいった。しかし攻撃は通らず、刀によって弾かれる。避けれる糸は避け、避けるない糸は刀で弾く。片手しかない剣山にとってそれが最適解であった。


「だから速く死ねべやぁぁぁぁ!!」

(この短時間で操れる糸の数が格段に多くなっている・・・だが続けるしかない・・!俺の刀が糸を斬れるようになるまで、コレを続ける)


糸を処理していく剣山。両隣に弾いた無数の糸が突き刺さっていく。順調に対処できていると思った次の瞬間、


「何・・?」

「また切ってやったべやァァァァァァァァァァァ!!」


そう、パキンという音と共に、刀が糸によって切断されたのだ。またまた糸の強度が刀を上回る。刀を新たに生み出すが、すぐに刀は切られていった。その場で刀を糸に当てながら一瞬の隙を使い糸を交わしていく。


(追い抜かれただと・・?例え今からまた俺が追い抜いたとしても、独走することは無数の糸で攻撃可能なアイツにしかできない。一本の刀しか生み出せない俺にはできない。まずいぞ・・コレじゃまた差が開いてしまう。悪化していく一方だ・・・・)


刀が糸に切断され数十本目。糸と刀が交わるとまた火花を散らし、糸の軌道が真横にずれた。刀が糸に再び追いつく。


「グゥゥゥゥゥアァァァぁ!!」

(それならやるしかない。力が同等の今・・・今しかない・・!)


糸が刀を切れなくなって、ヤモリは発狂する。周りの糸も、攻撃を止めうねり出す。生きているヤモリだからこそできる糸の動き。刃がボロボロになった刀を消し、次の刀を出し、剣山はその生きている糸に近づいていく。



「次で必ず・・・首を斬る・・・ッ!」



刀を糸に向け、喉を鳴らし、牙を剥き出しにした。その瞳は、








獲物を見据える獣の眼であった。








残り・401チーム




ありがとうございました!



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