68話 急いては猫を仕損じる
お久しぶりです!
普通にサボってました!
すみません!
「だーうーうーがー」
「なんで赤ん坊になってやがんだよ・・・!ただでさえ何言ってかわかんねぇのに、更に言動がわからなくなりやがったじゃねぇか!呪じゃなくて、だーっつってるぞ!あ!?」
「ぼ・僕に言われても・・」
赤ん坊の火星ちゃんは地面を凝視して這いずっていた。サシミはその光景に頭を抱えて、万歳にガンを飛ばす。
「忘れたか?さっきワシは犬を助けようとした小娘の顔を掴んだんじゃよ?力を込めて触れたから一、二年程戻ったじゃろう」
「・・・・」
銀は木の上から翼を折り曲げ、指のように一本一本翼を立たせる。
「コレでもう娘は無力化した。後でワシが殺す。あの小娘は今のヤモリに相応わしい相手ではない・・・」
「ヤモリが成長しないから・・テメェが殺すのか!!弱いって理由でよ!!」
「・・・逆じゃよ・・」
「あ・・・?」
「あの小娘はヤモリにはまだ早い・・・早すぎる」
「・・早いだ・・・?」「なんで・・・」
全員が火星ちゃんを見つめる。その火星ちゃんはというと、毛繕いをしていた。
「ワシのこの目は誤魔化せん。わかるんじゃよ・・あの小娘はお主らとは比べ物にならない程の修羅場を潜り抜けておる・・ワシさえ危ういかも知れん。だから彼奴がこのゲームの脅威となる前にワシが殺すしかない・・・」
「マーズがだぁ?修羅場というよりアイツは修羅だろ・・なんてなっ!」
「ちょっ!待ってサシミ!」
「ッ!?」
サシミは猫ジャンプで木の枝に捕まっている銀の元までジャンプすると、拳を怪物化させた。
「殺させるわけねぇだろうか!あの犬が引き合わせてくれたチャンス!無駄にはしねぇぇ!殴る!!」
「馬鹿かお主!今のを見てわからんのか!少しでも顔や身体に触れさえすれば赤ん坊に戻る!つまりお主は、ワシに触れられれば終わりということじゃあ!」
「言ってろジジィ!」
翼を掲げる銀に、サシミは殴りかかる。
「オラァッ!」
「ホウ!」
銀は飛び立ち、サシミの攻撃をかわすと同じ木の枝に捕まり、サシミは先程まで銀がいた枝に爪を立てて捕まった。
「グリャアっ!」
「ホホウ!」
「チッ!」
サシミは休まず銀に襲い掛かるが、銀は軽やかに避け、別の木に捕まった。サシミはそれを見ると、舌打ちをしながら地面に着地した。
(なんでサシミは、あんなに素早く、右手で殴って動けるんだよ・・!腹の骨が折れてるだろ・・?手首の骨が潰れているんだろ・・?踵から血が・・・・へ・・?)
禎はサシミの身体を心配して、サシミを目で追う。だが、迷宮で派手に怪我をした筈の踵の傷が綺麗になくなっており血も止まっていた。
(血が・・・出てない・・それどころか、傷が塞がってる。やっぱり・・アレは・・)
「クソが!逃げんじゃねぇぞ猛禽類!翼の自慢かゴラァ!!当たりやがれ!」
「ホウホウ!その願いに二つ返事で了解するわけないじゃろうが・・・まぁ、待ちなさい。焦っても何も起きやしない。夜はコレからなんじゃから、ゆっくりと楽しもうではないかお主は特別なんじゃから・・」
「やかましぃ!!」
「ホホホウッ!」
サシミはユラユラと歩きながら銀の立っている木を蹴る。木は激しく揺れていたが、銀は微動だにせず、笑っていた。
「こちとら腹減ってんだよ!!喉渇いてんだよ!眠ぃんだよ!!夜はコレからだぁ?これ以上長いことお前と戦ったら、俺の欲求が、怒りが抑えつかねぇんだよ!テメーを丸焼きにして食ってやろうか!テメーを雑巾みたいに絞ってそっから出た変な汁を、コップに注いで飲んでやろうか!テメーの羽を毟り取って作った羽毛布団と羽毛枕で寝てやろうかぁ!」
「ホウホウ、わかったわかった。良く舌が回る猫じゃのう!オェェッ!」
「ッ!」
すると銀は前に乗り出し、なんの前触れもなく嘔吐きだすと口の中から白い何かの塊を吐き出した。その塊はそのままサシミの肩に落ち、引っ付く。
「あ?んだよこの気持ち悪りぃ塊は!!」
「ワシの触れた生きものは時が進み、そして戻る・・・!人間も猫もワシが口の中に溜め込んだ虫もな・・・」
サシミが肩に落ちた塊を払い除けていると次の瞬間、白い塊はうごきだし、中から複数の大きなムカデが顔を出し、サシミの顔に近づいた。
「戻った!?」
「ッ!ムカデッ!?」
焦ったサシミは凄い勢いで肩から全てのムカデを落とすと、急いで飛び退く。すると地面に落とされたムカデはピクリとも動かなかった。
「ホホウッ!ホホウッ!ムカデに全身の毛を逆立たせて驚くか!もうそのムカデ達はとっくに死んでおる!消化できなかった外骨格の時を戻しただけの剥製じゃあ!今はただの模型ということじゃ!ホホウッ!」
「・・・・・・」
木の上から高笑いする銀をサシミは額をピクピク動かしながら見つめている。
「かっこ悪いのぉぉ。ダサいのぉ。恥ずかしいのぉぉ!」
「ぶち飛ばすっ!!」
サシミは怒りと恥ずかしさで目をつり上げ歯を鳴らすと、猫ジャンプで飛び上がり、銀の立っている木目掛けて怪物化した拳を殴った。銀は殴られる前に飛び立ち、殴られた木は根元ごと倒れる。
「チィィ!」
「ホホウ、危ない危ない。それにしてもなんという力じゃ。あんな大木を倒すとは・・・」
「ジジィィ!!」
「ッ!」
着地したサシミは休むことなく地面を蹴り上げ新たな木に飛び移った銀に殴りかかった。
「グロアァ!」
「執念の権化じゃのぉ・・」
「ッ!」
サシミと向かい合う形になっている銀が木に触れると草木が音を立てて伸び始めた。すると一瞬にして銀が伸びた草木に覆われ、見えなくなってしまった。
「だからっ!どうしたぁぁっ!」
気にせずサシミは草木を怪物化した拳で殴る。
「ッ!」
「ホホウ・・」
しかし銀に拳が当たった感触はなく、攻撃を空かす。草木が拳の勢いで無くなると、身体を縮めた銀が下から大きな翼をサシミの顔面目掛けて回転を加えながら伸ばした。
「フンッ!」
「っぶね!」
サシミは木の枝を掴み、振り子のように動くと、銀の攻撃を避ける。枝を離し上手く着地すると銀は後ろから迫ってくる。
「いい動きじゃ、若い頃のワシを見てるようじゃのぉ!」
「言ってろクソジジィ!」
こちらに向かってくる銀に拳を振るうと、銀は翼を羽ばたかせ、ギリギリ右へかわす。攻撃を空かしたサシミの腕に翼を近づける。
「ホホッ!」
「クソッ!」
サシミは拳の怪物化を解除させると急いで腕を手元に戻し、今度は足を怪物させて横蹴りを繰り出した。
「触れた者は時が進み、そして戻る・・・・」
「クッ!」
銀がそう呟くと顔の真横で翼を構え、サシミの足を掴む体勢をとる。クチバシの端が吊り上がっていた。
「ドリャア!」
「・・・・臆病者め・・」
サシミの足は軌道を変えて銀の真横で地面に振り下ろされた。砂埃が立ち昇る中、銀の翼が足に近づくのがわかる。
「ッ!」
「ホホウ、惜しいのぉ・・」
サシミはジャンプして後ろに下がると、銀を睨みつけた。
「勇気を出してワシを蹴っていればワシは気絶していたかもしれないのに・・・まぁ、さっきまで手で攻撃していたところを見ると足には自信がないようじゃのぉ?足の軌道を変えたのがその証拠じゃ・・そう考えるとお主の選択は結構賢かったのかもしれないのぉ」
「テメーに褒められても、イラつくだけなんだよっ!」
全身の毛を逆立たせて月に向かって吠えると、銀に拳を怪物化させて襲いかかる。
「オリャァ!」
「フッ!」
銀は飛び上がり、サシミの攻撃をかわすと、空中で旋回を繰り返した。
「ホホウ、まだ抵抗するというのか。お主はここでは殺しはしない。ヤモリの元へ届けるだけじゃよ?お主が死ぬのはそれからじゃ」
「もちろんヤモリのところには行く。テメーを気絶させてから直行するぜ。それに、マーズは有無を言わさずここで殺すんだろ・・・なら尚更テメーを倒すまでここで抵抗してやるよ!」
息を切らしながら、鬼の形相で銀を指差す。
「そうか・・・なら・・」
「何!?」
銀は少し考えると急降下するとサシミに凄いスピードで突進してきた。サシミは攻撃を繰り出す体勢をとる。
「一つの足かせを、お前から外してやろう・・・」
「ッ!」
しかし銀は凄いスピードでサシミの真横を通り過ぎると、右に曲がり、地面に降り立った。足の鉤爪を地面に食い込ませる。銀の目の前には、
「お前がいなくなれば・・・彼奴はヤモリの元へ行ってくれるかもなぁ」
「だーだーうー」
這いずりながら少しづつ移動してい赤ん坊の火星ちゃんがいた。銀はその大きな身体で火星ちゃんを覆う。
「ッ!火星ちゃん!!」
「クソジジィがぁぁ!!」
「サシミ!」
サシミは牙を光らせながら足を怪物化させると凄い速さで銀の背中に突撃した。
「マァァーーーーズッ!」
火星ちゃんの真上に銀は翼を掲げる。大声で叫び声を荒げながら拳を怪物化させ、銀を殴ろうとしたその時、
「・・考えるとより身体が動いてしまうタイプか・・・実に扱いやすい・・・・」
「ッ!」
銀は首を90度回転させるとそれに続いて体もサシミに向き直る。すると間髪入れず、火星ちゃんの真上で掲げていた翼をサシミの顔目掛けて伸ばした。
「グバッ!」
「サシミィ!!」
サシミは殴ろうとしたが急な事で攻撃する事も避ける事もできず、銀の大きな翼がサシミの顔を掴んだ。
「グガッ!モガッ!このやろッ!離せッ!」
「だから言ったんじゃ。焦っても仕方ないとなぁ?こちらから仕掛けなくとも、頭に血が上っているお前の方から来てくれる」
「クソがぁぁ!」
翼の隙間から叫びながら怪物化させていた拳で銀を殴った。
「ッ!」
「ホホウ?どうした?」
しかしサシミの拳は銀の顔を掠めるだけであった。翼に視界を奪われていたから攻撃が当たらなかっただけではない。更に怪物化していた筈の拳が解除されていたのだ。
(力が・・・入れにくい・・)
「お主は今、五か月時が戻った。身体という物は日に日に変わる。能力の制御も難しかろう?」
「サシミ・・!お、お前!サシミを離せ!」
サシミの身体が、少しだけだが小さくなっているのが禎にはわかった。禎は震える声を上げながらサシミの元へ走る。
「近づくんじゃねぇぞただし!!」
「サシミ・・!?」
しかしサシミが禎の動きを静止させた。サシミは銀の翼を掴み、近くにあるある木をガリガリ引っ掻きながら暴れている。
「その場所にいろ!離れんなよ!!能力が出せなくなっちまう!!
「能力じゃと?今のを見たじゃろ!まともに能力を使えんお前に何ができるというか。赤ん坊に戻り、ヤモリと戦うんじゃよ!」
「使えなくなった訳じゃねぇ!怪物化はできる!!おいジジィ、わかるか!」
「まだテメーを倒せるって事だよ!!」
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