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俺の飼い主 僕の異能力ペット  作者: 一つの装置
怪物獣道ファング 願いを求める500チーム
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58話 細き糸も大河となる

お久しぶりです!!



お願いします!

「キョキョキョキョッ!!卍糸!」

「・・・・・」

「ハァ・くっ!ゴホッ!」


ヤモリは両手を上げて暗闇の中の木から次々と糸を出して剣山に襲わせるが剣山は素早く走りだし、木の裏に回ったりして糸をかわしながら、少しずつヤモリに近づいて行く。虎太郎はなるべく離れないよう、剣山の近くを走って、能力半径から出ないようにしている。


「まだまだ!さっきの猫も面白かったけど!お前も中々面白いべやッ!」

「チッ!」


ヤモリが腕をスイングすると、剣山の目の前にあった木が切断されてこちらに倒れてくる。がしかし剣山は見えないほどの速さで刀を振るうと切断された木は更に刀で二つに切断され、潰されることはなかった。


「ヒュ〜!カックイイ〜!」

「フンッ!」


するとその木を剣山は踏み台にしてジャンプするとヤモリに向かって刀を投げたが、ヤモリが指を動かすと刀が顔近くで辺りから飛んで来た糸で刃がバラバラになり、ヤモリに届くことはなかった。


「着物!お前の刀、凄い斬れ味べや!まさか木をぶった斬れるなんて!」

「剣山!糸が来るぞ!」

「ッ!」


間髪入れずに倒れた大木から糸が伸びてくると剣山を襲う。急いで刀を生み出しジャンプしながら糸に向かって振りかかる。しかし糸は斬れずに刀が切断された。ヤモリが操作している糸は虎太郎が近くにいるにもかかわらず、そのままジャンプでかわした剣山を追いかける。剣山は脇目も降らずヤモリに真正面からどんどんと近づいていた。


「そんな刀も切断しちゃう俺の糸って・・自分で自分の能力に酔っちゃうべやっ!」

「・・・・・」


ヤモリが両手の中指を折り曲げると剣山が走る前方の地面からたくさんの糸がゆっくりと現れた。その糸は生き物のようにその場で揺れ動き剣山の行き道を塞いでいる。その糸越しにヤモリが裂けた口の口角を上げる。


「さぁ、お前はここからどうやって俺に近づくべや?回り道をするべや?その方が確実べや。刀で斬ってみるべや?もしかしたら斬れるかもしれないべや。そこから刀を投げるべや?さっきは危なかったべや。そぉれとも、追いかけてきている糸に切られるべや!!」

「・・・・・どれもハズレだ・・」

「べや!?」


しかし剣山は迷わずそこ道を体勢を低くして更に速く走り出す。一本一本の糸が不規則に動いていたが、見事な速さで糸に当たることなく突っ切る事に成功した。刀を腰に構える。その顔は獲物を狩る目である。


「アイツ!マジかよ!?」

「完全に舐めていたべや!解散!」

「・・・・・・」

「糸が・・」


揺らいでいた糸も、剣山を追いかけていた糸もヤモリが手を閉じたと同時に木の中に引っ込んでいく。剣山は不思議に思ったが体勢を変えず、ヤモリに突っ込んでいった。


(なんていう速さべや・・・たかが犬如きが、調子に乗るんじゃないべや・・背中にジェット機でもついてるんべや?だけど、速いだけ。速いだけべや。動けなくすれば関係ない!)

(・・・・なんだ・・?)


ヤモリが両手を高く上げ、風を切るようにその手を下ろし、交差させた。


『卍糸 森』

「ッ!!」

「剣山!ゴホッ!!ゴホッ!」


その瞬間、サシミの時と同じように闇の中の木や辺り一面の木から糸が出てくると地面に突き刺さる。剣山はギリギリの所で避けて身動きが取れなくなってしまった。


「キョキョ・・キョキョ・糸を動かすのって案外難しいんべや・・一本一本操るのは脳みそが分裂するみたいに痛いんべや・・でもこうやって一気に決まった方向へ一直線に糸を伸ばすのは簡単だ・・・」

「・・・・・・ 」

「・・・剣山・・」


焦っていた顔を隠すように苦笑いを浮かべている。しかし剣山は全く焦っておらず腰の刀に手を置くと低い体勢を更に低くした。地面に顔がつくほど低く。


「何・・・してるべや・・」

「・・・・・・・・・」


構えている手の指で何度も鍔を叩き、リズムをとっていた。音が周りに響いている。


「カチャカチャカチャカチャうるさいべや!!」

「ヤモリ!!早く解散させろ!!!」

「言われなくても!解散!!」


ヤモリが右手を強く握りしめると同時に剣山は目を見開き、周りの地面から木に向かって糸が飛び出した。次の瞬間、


「フッ!!!」

「べ・べや・・!?」

「ウッ!!」


ヤモリの目の前には、一瞬にして、剣山が無傷で刀を構えていた。剣山の後ろで糸が暴れながら木の中に消えていっている。突然の事でヤモリは身動きが取れない。


「ッ!」

「べやッ!!!」

「マジかおい!」


腰から刀を抜き、ヤモリに斬りかかる。我に帰ったヤモリはすぐさま四足歩行になると刀を避けてと近くにあった木に登っていった。バクトも同じくその場から離れてヤモリが登った木の裏に避難する。刀を振り終えた剣山の足元には、ヤモリの尻尾が動いていた。木の上で息を荒くしているヤモリの尻尾は切れて無くなっている。


「初めて知ったぞ。尻尾切りをするのはトカゲだけかと思っていたが、ヤモリも尻尾切りをするとはな・・・」


クネクネしているヤモリの尻尾を剣山は力一杯踏みつけた。更に激しく動いたと思うと、尻尾は一瞬で動かなくなった。


(凄いスピードとかのレベルじゃねぇべや・・・異常・・異常べや・・・どれだけ自分を追い詰めればあれ程の集中力を、あれ程のスピードが出せるんべや・・・)

「尻尾が切れたということは、お前は俺に恐怖したということだ。追いかける側なのに、逃げる為に尻尾を切った・・・逃げるなよ・・・・殺人鬼・・」


木の上で体を屈めているヤモリを睨みつけ、持っていた刀を消し、刀身が更に長い刀を生み出した。


「少し焦っただけべや・・お前如き、俺の敵じゃないべや!師が言ってたべや・・俺は成長できるんべや!成長することができる逸材べや!!」

「・・・・・」

「お前もさっきの猫も、どっちも俺のお気に入り。殺してやらないとモヤモヤして気色悪いんべや!!」

「・・・もはや病気だな・・」


ヤモリの登った木の枝に手を置くと、木から複数の糸が剣山目掛けて降り注ぐ。いち早くそれに気づいた剣山はバックステップをしてかわし、走り出した。


(やっぱり、大したことないべや。速いのは速い。異常な速さ。だけど目に見えないスピードじゃないべや。落ち着けば、余裕で見えるべや!)

(さっきより格段に糸の操作が正確になっている・・スピードも上がっている・・・成長・・・)

「バクト!飼い主べや!お前はあそこの飼い主を抑えるべや!」

「おうよ!」


剣山が離れたのを確認すると木の裏からバクトが隠していたアイスピックを取り出すと、木陰に身を隠している虎太郎に近づく。


「ガァッ!」

「行かさん・・・」

「バクト!!」


木の裏からバクトが出てきた瞬間、剣山は素早くバクトの前に立つ。そしてそのまま持っていた刀身の長い刀の刃を喉に突き刺した。


「ガァ・・・・ァアッ!」

「こたろうに・・近づくな・・!」

「お前ぇぇぇ!!!」

「ッ!」


木から出した、太い五本の糸が剣山とバクトの間に割って入った。剣山は急いで刀を抜くとまた走り出した。


「ガハッ!オエッェ!ハァァ!ハァ・・」

「バクト!?生きてるんべや!?飼い主を狙うのは中止だ!飼い主は後回しべや!」

「あ・あぁ・・」

(刺しが甘かったか・・・それにあのヤモリ・・糸のスピードがまた上がった・・)

「お前・・そういう能力べや・・随分と優しい能力だなぁ!」

「・・・・・」


守るように、バクトを中心として糸が周りの木から出てくると、剣山目掛けて一直線に降ってくる。走り続ける剣山の前からも糸が襲ってくるが、軽く避ける。


「こたろう!もう少し離れろ!回り込むんだ!」

「わかった・・」

(俺がどんなに糸を出してもコイツは対応してくる。なんの変化もない・・・それどころかバクトの首を刺されて、逆に追い詰められている気がするべや・・これじゃ一向に進展しねぇ・・・」

「・・・・・」


虎太郎が木の裏に周り、更に糸を出そうとヤモリが両手を空に掲げた時、


「イテッ!」

「おい!どうした!!」

「・・・・・」

「・・・・」


何かヤモリの手に衝撃が走った。ヤモリは驚きその手を下ろし凝視した。


「何べやコレ・・針!?」


ヤモリの手の甲には一本の小さな針が刺さっていた。


「ッ!まさか・・・!」

「ゴホッ!剣山!あそこ!!」


虎太郎が指差した方を見るとそこには、


「ケンケン!助けに来たでちゅよ!!主役は遅れてやってくるんでちゅー!!アイツがあの糸を出してる異能力ペットでちゅね!」

「ハリちゃん待って〜!!」

「ハリ・・ヤマ・・・」

「雨森さん・・・」


草むらの中からハリちゃんがクルクル回りながら胸を張って飛び出してきた。智晴は後ろから息を切らしながら走って来ている。


「でちゅ?どうしたでちゅか?ケンケン」

「なんで来た!!殺されるぞ!早く逃げろ!!!」

「でちゅ・・・」


ヤモリはハリちゃんを見つめる。悪魔のような笑みを浮かべ、掌から長い糸を垂れ下げると、


「進展!みぃ〜け!!!!」

「あ・・ぁあ・あ・・・・」

「ハリヤマァァ!!立て!!逃げろぉ!!」

「ハリちゃん!!!」


ハリちゃんに向けて振り下ろす。ハリちゃんは足が震えて動けずにいた。剣山は遠く離れたハリちゃんの方に叫びながら走っていく。智晴も焦りながら手を伸ばす。次の瞬間、







「で・・・ちゅ・・」








振り下ろした糸とハリちゃんは赤く染まり、血が滴り落ちる。血の海が地面に広がった。








残り・404チーム




アリガトウゴザイマス


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