42話 5月は逃げて走る
どうも!5月中に投稿したかったです!!
よろしくお願いします!
「・・・ここには色々あ・あるんだよ。これは宇宙から落ちてきた・・・・石で、こっちは・宇宙人、マゼラブートの足だよ」
「わぁー!!!すごいね!澤畑くん!!!」
「う・うん・・あの・・先輩」
「呪殺!!!!!」
「ひっ!」「どわぁぁぁ!!!」
禎と智晴はオカルト部の教室で先輩の紹介を受けていた。先輩は自分の爪を噛みながら嬉しそうに生き生きとしている。見たことのない石やヌメネメしていそうな変なものが展示されていたり、壁には見たことのない文字がたくさん書かれていた。智晴は不思議な展示物に目を輝かせており、禎は周りの空気に押しつぶされそうになっている。男はまたもや天井に向かって不思議な事をしていた。
「富士崎 万歳・・・」
「へ?」「えっと・・」
「僕の名前・・・何ごとも全ては自己紹介から始まるもんなんだよ。小さい時も社会に出てもそれは同じなんだって思うんだよね。宇宙人相手でもまずは自己紹介をしないと目から撃つレーザーで粉々にされちゃう。されちゃうよね!!うへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ」
「・・・澤畑です」
「・・雨森です!」
「あんころだ」
「・・・・・・・」「・・・・・・」
「・・・・・・・・」
禎の鞄から顔を出すとあんころも万歳に向かって挨拶をする。禎達は突然のことに驚いて全く身動きが取れずにいたが、頭の中で整理すると
「なんで今出てくるの!!!」
「どっちみ、いつか登場するのだから自己紹介に加わろうと思ってね。ばんさいくん、急でなんだが「君も火星ちゃんと同じ宇宙生命体かい?だよね!!」え?」
万歳は顔をあんころに近づけてきた。もうすぐ顔がくっつく寸前の所で止まると、あんころは焦りながら後ずさる。
「いや、残念ながら吾輩は宇宙生命体ではない。異能力ペット。君のペットと同じだよ」
「・・でも火星ちゃんは宇宙生命体だよ。君と似ているもの。、てことは君は火星ちゃんの仲間なんだよね。そうだよね!!」
「あの・・その火星ちゃんって・動物・ですよね」
「違うって、マゼラブート。猫耳の生やした宇宙生命体だよ。宇宙から降ってきたんだよ」
「マゼラブートの足あそこにありますけど!?」
「火星ちゃんの友達が置いていったやつだよ」
(胡散臭い・・・)
万歳は腕を大きく広げてその場で回転した。
「猫耳を生やしてるってことは、その火星ちゃんが」
「異能力ペット?だよね」
「どうやら異能力ペットバトルの事は知らないみたいだ。それに異能力ペットが宇宙から降ってきたというのが気になるが今は万歳くんに調子を合わせよう」
あんころは二人の耳に顔を近づけると小声で話した。万歳は未だにクルクルと回り続けている。
「わかった。火星ちゃんの友達である、君にお願いがあってね」
「へへへっ!いいよ!火星ちゃんの友達だし、宇宙生命体のお願いだもの。断る理由なんてないよ」
「話が早くて助かる。君と火星ちゃんに仲間になって加わって欲しいだけなのだ。どうだろうか?ここにいる二人も君と同じようにマゼマクール「マゼラブート」!マゼラブートのパートナーがいるんだよ。吾輩達がすべき事はこの地球に降り立ったナゼソーナル「マゼラブート」!!マゼラブート達が人間と組み、悪い事を企んでいる。それを食い止めるのだ!手伝ってくれるか?」
あんころは二人に間違った所を訂正させられて耳まで真っ赤になっている。
「僕は全然いいんだけど、火星ちゃんがなんていうかな・・・・」
「どういうことですか?」
「あの子、かなりの自由生命体だから」
「・・自由生命体」
万歳は爪を噛みながら回る椅子に体育座りで座り回った。
「君から言ってあげればいいのでわないのか?君の言う事は聞くのでは?」
「僕達は好きなように行動しているから、僕に火星ちゃんを縛る気はないよ。あの子が嫌だって言ったら、火星ちゃんは強力してくれない」
あんころは自分のポンチョに顔を埋めて考える。
(まずい・・・・完全に逆になってしまった。チームのどちらかが仕切っているわけじゃない。完全の自立。今の話を聞く限り、火星ちゃんもばんさいくん同様こんな感じなのだろうか。もしかしたら、さらに厄介かもしれない。どうする・・・・今からサシミくん達のところへ・・)
ドゴーーーーーーーーーーーーーン!!!!
「!!!!」
「何!今の?」
「まさか!」
するとどこからともなくとてつもなく大きな音がした。
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禎達が万歳に出会う少し前、
「おい、絶対やばいだろ。ホントにアイツ仲間にすんのかよ」
「でちゅ!人を・・じゃなくて猫を見た目で判断するなでちゅ!そう言う事気にしてるから最近毛がよく落ちるんでちゅよ。やっぱストレスでちゅ。気づいたらザビエルさんでちゅ」
「なにテメェ、俺の毛抜け事情把握してんだよ!!」
「でちゅ!マジだったんでちゅか!?顔引っ張んなでちゅ!!バレるでちゅよ!」
サシミ達は火星ちゃんに遭遇していた。草陰と木の裏に隠れている2匹は火星ちゃんの様子を伺いながら小声で話している。火星ちゃんはというと、そこらを少し歩いては木に頭をぶつけたり奇妙な叫び声を上げたりしていた。
「見た目で判断するなだと?ハリヤマ見てみろ。アイツの顔面あんなの13日らへんの金曜しか出てこねぇ見た目してるじゃねぇかよ。異能力ペットかどうかも怪しくなってきた」
「じゃあ13日の金曜に手を繋いで仲良くするでちゅ。サシミンもあんころんも猫だからきっと仲良くなれるでちゅ」
「あんな奴、手を繋いだ瞬間完璧にぶった切るだろ。仲良くした瞬間に友情崩壊だぜ。目が血走ってるじゃねぇか。怖っ!」
火星ちゃんは仮面の奥から目をぎょろぎょろと輝かせている。
「あんな奴が近くにいたのかよ怖い、怖い」
「こ・怖いでちゅか?ハリちゃんは怖くないでちゅ・・・全然」
「さっき一緒に「怖っ』って言ってたじゃねぇか・・」
「・・・デチュゥ・・」
サシミは又もやハリちゃんの頰を引っ張る。ハリちゃんの頰は出来立てのお餅のようによく伸びた。
「もうほっぺ引っ張るなでちゅ!そんな事してたらばれ・・ちゃ・でちゅ?」
「あ?どうし・・た・・!!!あの猫!どこ行きやがった!」
気がつくとさっきまで目の前にいた火星ちゃんが消えていた。すると
「・・・呪呪呪・・・」
「!!!」「でちゅ!?」
火星ちゃんは木の上から降ってきた。それは一瞬である。その火星ちゃんの手には先の尖った、木の枝が握られている。サシミはその枝を見ると反射的に火星ちゃんを殴るが見事に避けられ、ハリちゃんを手に持ち抱えると草陰から飛び出した。
(さっきの会話聞こえてたか!それでも!猫だとしても!同じく猫である俺に聞こえないように近づけるなんて・・それに無駄のない動き。なんなんだよコイツ。怖っ!)
「サシミン!バレちゃったでちゅ!どうするんでちゅか!?」
「枝を持って、話し合いもできそうにねぇな。なら、おい!お前。今お前の飼い主のところに俺たちの仲間がいる。大人しくしてろ!抵抗したらどうなるかわかってか!!あぁ!!」
「やってることが悪役でちゅ」
サシミはハリちゃんを抱えたまま後ずさりしているが火星ちゃんもそれを追うように猫背を前屈みにすると
「殺呪殺!!!!!」
「マジか!!」「でちゅー!!!」
物凄いスピードで近づいてくると枝をサシミに向かって振り下ろした。サシミは振り下ろされる前にハリちゃんを後ろに投げると、枝を両手で止めた。白刃どりである。
「殺殺殺殺殺死殺・・・・」
「ぐぅぅ!!!」(力も強ぇ)
「サシミンから離れるでちゅ!!」
「呪!?」
ハリちゃんが火星ちゃんの下まで走っていくとポコポコと叩く。火星ちゃんは異様な出来事に驚いたのか、力が一瞬だけ緩んだ。
「ドラァ!!!」
「殺呪!」
「でちゅ!!!」
サシミは力が緩んだ瞬間に枝と共に火星ちゃんを後ろに押すと、またまたハリちゃん抱えて走り出した。
「サシミン!どうするんでちゅか!?」
「アイツは無理だ!!飼い主とかそういう問題じゃねぇ!お前、能力半径内か?」
「まだ入ってないでちゅ!」
「呪呪呪呪呪呪呪呪呪殺ーーーー!!!」
火星ちゃんは猫背になりながら凄い勢いで追ってくる。
「能力を使ってこねぇって事は、攻撃的な能力じゃないか能力半径外って事だ。なら俺たちが能力半径内に入ればコイツをぶん殴れる」
「待つでちゅ!倒すんでちゅか!?しかも今向かってるのがちはるんの方向ならあの猫の飼い主もいるんでちゅよね!もし能力半径内になったら・・やばいでちゅ!!」
「心配すんな。どっちみち力の差がかなりある。能力が使えた方がコイツに勝てる」
「呪殺・・・・殺!!」
サシミが首だけを後ろに向けるとフェンスを走ったり木を蹴って移動をしていた。それはもう猫ではできないような動きであった。
すると
ドゴーーーーーーーーーーーーーン!!!!
「!!!!なんだ!」「でちゅ!!」
大きな音がした。サシミは耳を音のした方へ傾ける。
「!!たかひろの方向じゃねぇか!!」
「でちゅ!?たかひろん、今一人でちゅよ!?」
音のした方は校門前。つまり隆弘のいる場所であった。禎達のいる方と真逆であった。
「わかってるよそんな事!隆弘は後回しだ!それよりも・・」
「呪殺死殺!!!!」
「先にコイツをぶっ飛ばす!!」
残り・427チーム
ありがとうございました!!
次は早めに投稿できるようにします!




