40話 犬だけの心
お久しぶりです!
毎度言っているような気がします!
「ふざけんなよ〜・・・全くイブの名前がのらねぇじゃねぇか。異能力ペットはまだ全然いやがるしよー」
イブが燃えてから一週間後。現在隆弘に呼び出され、虎太郎の家に全員が集合していた。
「それ程あのうさぎがこのバトルの先陣を切っていたという事さ。それにこの辺の異能力ペットは吾輩達くらいになっている。一週間誰にも出くわさないのが証拠だ」
「しかし少なくなってはきている。けん制していたもの達が動き始めているんだ」
「手紙とにらめっこしてないで一緒にこっち来て人生ゲームやるでちゅ!」
「そうだよ!途中参加ってできるのかな?」
「無理だと思いますよ。誰が参加したところで弁護士である由里香さんにはもう勝てませんね」
「ゴホッ、また子供だ。ご祝儀をくれ」
「お前これで3人目だぞ。ほれ」
「武捨さん、また借金です。約束手形を」
「借金までさせてご祝儀とは、厳しい人生だな」
「・・・・・・・」
「・・・・」
隆弘はある事を伝えるためにみんなを集めたはずだが、現在はボードゲームで遊んでいた。
剣山は壁にもたれており、サシミは手紙から目を離すとついにしびれを切らしたのか
「おいコラァァ!!さっきから何やってんだよ!!!」
身を乗り出し怒りをあらわにした。
「でちゅ?一生ゲームっていうでちゅ。なるほどでちゅ。ルール知らなかったんでちゅね。このハリちゃんが教えてあげるでちゅ。えっとでちゅね、この真ん中にあるルーレットを回して「ルールくらい知ってんだよ!!俺が聞いてんのはなんでボードゲームなんてしてんだよって事だよ!!」
「はーい!私が持ってきたんだ!せっかく仲間になったんだから遊ぼうと思って!」
智晴が元気よく手を挙げた。
「今日じゃなくていいだろうが!!そんでもって!ただし!弱すぎなんだよ!!!」
「だってこうゆうの苦手だし・・」
禎のお札が置いてあるところには約束手形が山のように積んであった。始まってすぐ金を落とし、車にひかれ、保険に入っていなかったので、ぼったくられ、家は炎上するなど散々である。
「こんな事やってる暇があんなら一茶街やら他んとこ行って迷惑異能力ペットをぶっ潰すぞ!!」
「・・全くだ」
剣山は一瞬でサシミの喉元に生み出した刀の刃を向けた。少しでも動くとあたる。そんな距離であった。
「貴様らには時間があっても、俺達には時間がない。今すぐにでもここにいる奴ら全員、俺の刀の餌食になってもらっても構わない。虎太郎がどれだけ友を欲していようとな」
「・・・・やるか?剣山今の俺は万全だぜ?焦ってんだろ?早くしないといけないって」
「・・・」
「剣山!ゴホッ」「サシミ!」
「・・・チッ!ヘビなどこの家に入れるんじゃなかった」
「ダメですねコイツら。まぁ、言いたいことはわかります。そろそろ本題に」
サックが悪魔目で剣山の動きを止めるとあんころに問いかけた。
「確かにね。そろそろ話そう。たかひろ・・」
「ああ、この一週間で異能力ペットについてわかったことが一つある」
「わかったことだぁ?」
隆弘が指を一本立てる。
「それがこれだ」
「あ?」
隆弘が後ろに置いていた紙袋からあるものを取り出した。
「コロッケ?」
「商店街のコロッケ屋さんだ!!」「知ってるでちゅ!」
「ただしがこの前買ってくれなかったやつか」「だから!食べたらダメなんだって!」
それは前にサシミが食べたがったコロッケであった。隆弘はそのコロッケをあんころに渡した。それをあんころは
「・・・はむっ」
「はむっ!!」「あんころ!!ダメだって!中には玉ねぎが!」
「ゴホッゴホッ!!」
「あ?ダメなのか?」
食べたのだ。猫に玉ねぎは絶対にダメなのにそれをあんころは食べたのだ。周りは焦っていたが、あんころはもぐもぐ食べていた。由里香は全く理解ができなかった。
「ごっくん。うん、美味しい」
「ごっくん!!」
「う、嘘・・・」
「これがわかったことだ。どうやら人間が食べているものを食べれるようになったらしいのだ。それどころか異能力ペットになる前に食べれなかったものを欲してしまう。おそらく身体の中の血液その他諸々全てが人間のようになっている。この前、サシミくん達が饅頭を食べたのが少し不思議でね。猫は甘さを全く感じないのにあんころは美味しいと言いながら食べ、サシミ君も二個食べた。好んで食べるものではない。案の定調べてみるとこの有様だ」
「何にも考えずに食べてたぞ」「ハリは普通に好きでちゅよ。甘いもの」
あんころはコロッケを呑み込み。みんなは目を丸くして驚いていた。
「なんで・・」
「不思議だろ?人間の言葉が喋れるようになり、味覚、身体の中身が人間になっている。これがどういうことか・・分かるか・・」
「異能力ペットは動物も人間も全ての生物の頂点、例えるなら食物連鎖のトップになったということですか?」
「ああ」
「・・・・・・」
『これは異能力ペットになった特権カメ!!』
「なるほど、確かに特権だな」
「・・どうしたサシミ」
「別に・こっちの話だよ。それより刀どけろや邪魔で仕方ねぇ」
「・・・・・・こたろう、行くぞ。異能力ペットを探しに、ここらの異能力ペットがゼロになったわけでわない。一生ゲームなどやっている暇など・・・」
「おい・剣山・・コホッ!」
サックが目を離し剣山は刀を消すと玄関に向かって歩いて行った。虎太郎はその後ろを追うようについていった。
「・・・お前らは他の異能力ペットを倒した後に倒す・・それまでだ。この家を提供するのはな」
歩きながら剣山はそう語った。その後ろ姿は嘘偽りがないそんな後ろ姿だった。誰一人として剣山達を止めるものはいなかった。
「ずっと、ヘソ曲げてるね。剣山くん」
「でちゅ」
「・・なぁ・ハリヤマ」
「でちゅ?」
「俺達は・なんなんだろうな」
「何って・ハリはハリネズミで、サックンはヘビ、ケンケンは犬で、あんころんとサシミンは猫でっちゅ!」
ハリちゃんは胸を張りながら答えた。しかしサシミは納得のいっていない顔をしていた。
「・俺はそうは思えねぇよ。人間の言葉を喋り、人間の味覚、人間のような身体の中身。動物でも人間でもない」
「異能力ペットという生物・・吾輩達は何故選ばれ、戦わせられているんだろうね」
「・・・・・・・」
「・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・・」
──────────────────────
「・・・おい、こたろう。まだ仲良しごっこを続けるのか」
「っ!仲良しごっこなんかじゃ!!」
「そうだろ!!ただの仲良しごっこだ!!!」
「!!!」
側から見れば飼い主とペットが散歩しているように見えるが本人達にそんなつもりはない。頭に刀が刺さったまま気絶している犬に近づいているだけだ。
「・・はやくしないと・はやくこの戦いを終わらせないといけないんだ。それなのに異能力ペット共は全く減らない!思っていたよりずっとだ!全員!私利私欲の為に能力を使っているのだ!願いなど二の次!!俺はお前の病気を直さないといけないのだ!!!俺達には・・・時間がない。奴らはいつか敵になる。必ず・今仲良くしても必ず後が辛くなる」
「だが!アイツらは」
「お前は願いより友を選ぶのか!こたろう」
「!!!」
勢いよく犬の頭から刀を抜く。しかし出血はしていない。するとこたろうは剣山に顔を近づけた。
「・・・・いいや違う・・俺は友も健康もどっちも手に入れる!だから戦うんだ!アイツらと一緒に!ゴホッコホッ」
「・・・・・・・・信じろと」
「・飼い主の言うことが信じられないのか」
「・・・・・」
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同時刻、坂出家
「・・しまった。坂出くん達に伝えそこなってしまった」
「あ?何がだよ」
「君達の学校の異能力ペットの飼い主と異能力ペットの事だよ」
「何!!」
「それって武捨さん達が言ってた!」
「ああ、ここらで何も行動を起こさないからてっきり敗退したと思っていたが、昨日夜に学校を通るといたんだよ。
屋上にね」
「ゆ〜ら、ゆ〜ら、ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッドロロロロロロロロロロロニョニョニョニョ」
「・・・・・・・・・」
その屋上には制服を着た飼い主と何かを被った猫背の異能力ペットがいた。
残り・436チーム
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